3月7日、株式会社三越伊勢丹ホールディングスは取締役会を開き大西洋社長が業績悪化の責任を取り、退任する人事を発表しました。
5年前に社長に就任し数々の改革を打ち出すカリスマ経営者として注目を集めてきた大西洋社長。
任期途中での社長交代劇の背景には一体何があったのでしょうか?
株式会社三越伊勢丹ホールディングス
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午前9時半、株式会社三越伊勢丹ホールディングスの本社で取締役会が始まりました。
「今日はどんな話を?」
社外取締役は、
あとで会社がちゃんと発表すると思う。
取締役会では大西洋社長の退任が正式に決まりました。
後任には4月1日付けで杉江俊彦取締役専務執行役員が就任します。
突然の社長交代。株式会社三越伊勢丹ホールディングスに一体何が起こったのか?
就任当時
2011年12月の映像で社長就任が決まった大西洋社長は、
当然、百貨店の復活です。
この2ヶ月後、旧株式会社伊勢丹出身の大西洋社長による経営体制がスタートします。現場主義の大西洋社長を慕う社員は多いといいます。
その大西洋社長、退任の背景について流通業界に詳しい日本経済新聞社の田中陽編集員は、
三越サイド、伊勢丹サイド、両方から突き上げられたということ。不満が沸々とマグマのようにたまっていた。
三越サイドの反発
近年、大西洋社長が進めてきたのは不採算店舗の閉鎖。3月20日にはグループ内で赤字額が最大だという千葉三越、さらに同じ日に多摩センター三越も閉店します。
こうした状況に旧株式会社三越の出身者からは「三越ばかり」と不満の声が出ていたといいます。
一方で株式会社三越伊勢丹のある幹部は、テレビ東京の取材に対しこう答えました。
三越と伊勢丹の対立や構造改革を進める社長と社内の抵抗勢力の対立という短絡的な話ではない。彼(大西洋社長)大西洋社長はいろいろなところで構造改革と言ってきた、その言い方が問題。社内で審議されていないことを突然言って報道された。
構造改革の「言い方」
例えば2016年11月8日の決算会見。地域店舗の見直しについて記者から具体的な店名を聞かれたとき、
支店でいうと伊勢丹の松戸、府中。地方でいうと三越の松山。
この発言、社内ではまだ決定事項ではありませんでした。何も知らない従業員たちの動揺を招いたといいます。
株式会社三越伊勢丹ホールディングスの幹部は、
そういう責任を取ったということ。経営の一体感がなくなってきた。彼は外では改革者といわれる。社内では違う見方をされていた。
その大西洋社長、取締役会が始まる約2時間前、
大西社長はテレビ東京の取材に対し、悔しそうな表情を浮かべながら応じました。これまで行ってきた改革に対し逆の見方もあると社内に否定的な意見があったことを明かしました。
また報道が流れた3月6日の社内の様子について、こうのべて悔しさをにじませました。
昨日なんかも従業員みんなが店頭で泣いてくれたりとか、そういう声は届かないので、経営はみんな現場に行かないですからね。