去年、大規模な浸水被害が発生した台風19号の上陸からおよそ1年になります。
台風や大雨による水害への警戒が高まる中、10月13日に新たな対策を施した住宅が公開されました。
それは水に浮かぶ家です。

株式会社一条工務店
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茨城県つくば市にある国立研究所の施設「防災科学技術研究所」。

10月13日に公開されたのは大手住宅メーカーが開発した水害に強い新たな家の実証実験。


河川の氾濫などによる浸水の状態を再現して行われました。
実験開始からおよそ50分…

久木和人記者、
水深1.5メートルほどに達し、住宅がいま浮き上がり始めて少し傾いています。

水中に設置されたカメラを見てみると家が地面から離れ浮いているのがわかります。

水位が上がるにつれて水に浮いている家も上昇。
いま水深3メートルに達しました。左側の一般的な住宅は1階部分が完全に水没しているのに対して、右側の新しい住宅は水に浮いているため玄関も半分ほど見えています。

さらに濁流や強風に晒されても流されることはありません。

一体どういう仕組みなのか。
家の角にはポールとワイヤーが。

一条工務店の開発責任者、萩原浩さん、
浮上したとき水の流れによって建物が移動するので、それを船のようにつなぎとめる必要がある。

発想は船の係留と同じ考え方。

敷地の四隅にポールを設置。そのポールを家をワイヤーでつなぐことで浮いても流されないようになっているのです。

またワイヤーに設置されたダンパーと呼ばれるバネ状の装置によって浮いた家が元の場所にとどまるように調節。

水がひいて家が地面につく際、最大3cmほどのズレに収まるといいます。

通常の家は水害の時に屋内に水が入り流されることはないが性能のいい家ほど流される。

一般的な住宅と比べてみると新たに開発された防水対応の住宅は密閉度が高く、その分水に浮きやすいのです。

そこで水害の際にあえて水に浮かせて流されないようにすることで被害を軽減するよう開発しました。

さらにライフラインを維持するための工夫も。
地面とつながっている給水管や排水管は家が浮かぶと分離する構造に。

水がひいた後、手で差し込むだけで復旧します。
これらの対策を施すためにかかる費用は100万円ほど。
先月から販売を開始し、すでに120件ほど注文が来ています。

水害時、コロナの影響で避難所の確保が難しい。

3密を防ぐためには長期で滞在することはリスクが高い。

水害の真っただ中では避難の必要はあるが、水さえ引けばすぐに自宅に戻って今までの生活に戻れる。
