中国の通信機器大手ファーフェイは5月21日、スマートフォンの新モデルを発表しました。
トランプ政権がアメリカ企業にファーウェイとの取引を原則禁止させることでファーウェイは半導体やソフトウェアの調達で大きな打撃を受けると見られています。日本でのスマホの販売に影響はないのでしょうか、幹部を直撃しました。
ファーウェイ・ジャパン(華為技術日本株式会社)
[blogcard url="https://www.huawei.com/jp/"]
ファーウェイデバイスの日本・韓国リージョン、呉波プレジデント、
アメリカの規制は私たちを倒すことができない。
反対にファーウェイがもっと強くなる再出発になる。
アメリカへの強いメッセージで始まった発表会。ファーウェイが5月21日に発表したのは世界戦略モデルのP30シリーズです。
Huawei P30
アップルのiPhoneやサムスンのGalaxyと比較し、性能をアピールしました。
最大の特徴は3つのカメラ。ドイツの老舗カメラメーカー、ライカと共同開発しました。
その最上位機種には…
この箱の中、真っ暗で人の目には何も見えません。撮影してみますね。
これはスゴい。キリンやシマウマが見えます。
イメージセンサーを新しくしたことで暗闇の中でも撮影が可能になりました。
さらに離れた場所にあるものを撮影する時には、
ズーム上げていきます。50倍までいきました。HUAWEIの文字がくっきり見えます。
左がiPhone XSのデジタル10倍ズーム。右がP30のデジタル50倍ズームです。
最上機種「P30 Pro」は8万2,800円で10万円を超えるiPhoneを意識した価格に設定。
ほかのシリーズは大手キャリアのほか、格安の携帯キャリアも採用します。
実はいまファーウェイのスマホが徐々に存在感を増しています。
スマホの国内出荷台数全体では第5位に位置するファーウェイ。
ただ、どの通信会社でも使えるSIMフリースマホに限っては2年連続で首位になっています。
株式会社ピーアップ
[blogcard url="https://www.p-up.jp/"]
都内の携帯電話販売店「テルル 西新井本店」。
中に入ると一番目立つところにファーウェイ製品のポスターが。
こちらの店ではグループ全体で総販売台数のおよそ20%をファーウェイのスマホが占めているといいます。
一体、どんなお客様が買っているのか?
テルル 西新井本店の川上修平マネージャー、
ファーウェイの製品はコストパフォーマンスが優れている。
スマホデビューする人から上級者まで幅広い層から支持されている。
幅広い価格のスマホを展開しているファーウェイ。中でも人気を集めているのが低価格帯のスマホです。
1,640万画素のカメラを搭載したシャープのスマホ「Android One X4」。価格は6万7,932円。
それに対し、ファーウェイの「HUAWEI P20 lite」はカメラの画素数はほぼ同じであるにもかかわらず3万1,644円。
ファーウェイのスマホは半額以下となっています。
しかし、
勧めやすい端末というイメージがファーウェイ製品にあった。
米中の対立でファーウェイ製品を勧めづらくなると思う。
制裁の影響
アメリカの商務省は15日、アメリカ企業が電子部品などを政府の許可なくファーウェイに輸出することを禁止すると発表しました。
2018年にファーウェイがアメリカから調達した部品はおよそ1兆2,000億円と全体の16%を占めています。
アメリカメディアによるとインテルやクアルコムなど半導体メーカーがファーウェイ向けの部品提供の停止を従業員に伝えたということです。
さらにグーグルはスマートフォンを動かすのに欠かせない基本ソフト「アンドロイド」の供給停止を発表しています。
日本の消費者への影響について、
すでに販売したスマホ、および発売中のスマホとタブレット端末は安全なアップデートが可能。
ファーウェイのユーザーに対し安心を呼びかけました。
しかし、専門家は…
株式会社MM総研
[blogcard url="https://www.m2ri.jp/"]
MM総研の横田英明常務取締役、
グーグルのアンドロイドがあってこそスマートフォンは動く。
ファーウェイにとっては結構大きなボディーブロー。
グーグルが基本ソフト「アンドロイド」の取引停止を打ち出したことはファーウェイの世界での販売に今後、大きな影響を与えると指摘します。
アップデートをかけていかないと対応のアプリがどんどん減っていく。
中国ではグーグルのアプリが使えなくてもいいが、世界的な市場ではグーグルのアプリが使えないのはものすごい足かせになる。
そもそも中国ではグーグルのサービスは利用が制限されています。
しかし、日本やヨーロッパなどではGmailやYouTubeのような主なアプリが使えないことは大きな逆風となるからです。
こうした中、任正非CEOは5月21日、スマホに欠かせない半導体について中国メディアの取材に対し、
アメリカと同様の半導体チップを作ることができる。
こう述べ、中国国内の内製化に自信を示しました。
半導体を中国で国産化
中国での半導体の国産化の実態とは…
先週末、中国・南京で開かれたのは世界半導体大会。ここ南京は半導体の生産拠点が多く集まる、いわば半導体の国産化の重要な地域です。
上海支局の吉田知可記者、
半導体の国産化に取り組む中国企業が多く出展していますが、会場を見るとご覧のようにガランとしていて、来場者の出足はイマイチという感じです。
ファーウェイへの制裁が発表された直後とあって会場はどことなく重い空気です。
「米政府の制裁対象になっていますが?」
そういう話はしませんので。
習近平国家主席の映像が流れるこちらは国有の半導体関連企業グループ「紫光集団」。半導体国産化プロジェクトの最大の担い手です。
ブースではこのグループが設計した半導体を搭載したスマホが…
その中には去年4月、アメリカから一時半導体の供給を止められ操業停止の危機に陥ったZTEの端末も。
このZTEのスマートフォンにはことし新たに搭載された。
アメリカとの取引停止のリスクを恐れ中国国内の企業からの受注が急増しているのだといいます。
しかし、大きな役割を担う一方でこんな実情も…
国有半導体メーカー、紫光展鋭の担当者は、
中国の技術力は国際的な先端レベルに比べ、まだ差がある。
だから中国のスマホメーカーの多くは海外の半導体業者を使っている。
一方、半導体受託生産の世界最大手、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)。中国本土にも生産拠点を持ち、去年、南京に最先端の工場を開設したばかりです。アメリカ企業に代わり、ファーウェイに製品の供給で存在感を増すと見られていますが…
TSMCの担当者は、
いまのところは様子を見ている。アメリカ側がどう出るかわからない。
現地のアナリストはファーウェイとの取引を安易に話せばアメリカ政府に目をつけられるリスクがあるため、TSMCは板挟みの状態にあるといいます。
ファーウェイが半導体の国産化を打ち出す一方、中国では混乱の様相も見えています。
一方、5月21日の発表会でファーウェイ・ジャパンの幹部は今後の展開について、
2ヶ月間で用意ができたら、いつでもメディアの取材を受けることができる。
2ヶ月間の準備期間は何を意味するのか?
口を閉ざしたまま会場を去りました。