著名な経営者から生きた経済を学ぶモーサテ塾のコーナー。今回は星野リゾート代表の星野佳路さんを講師に迎えた「モーサテ星野塾」の最終回です。星野さんが20代の聴講生の質問に本音で答えます。
星野さんへの質問タイム
星野さんの講義の最終回。教科書の内容から人生観まで聴講生の質問に星野さんがとことん答えます。
フラットな組織文化がスタッフの能力を引き出す
星野リゾート
星野佳路代表

自分の意見を自由に発信することが自分の評価や人間関係に問題のない状態をつくれるか。
「フラットさ」を維持する大事なポイント。
大学院のアメリカンフットボールでコーチをしている髙坂將太さん。フラットな組織が成り立つためにはメンバー1人1人の成長が必要だと感じていました。
大学院 物理探査の研究
アメフトチームでコーチも
髙坂將太さん
フラットな組織はメンバーの成長が必要?

星野リゾート
星野佳路代表

フラットな組織文化とスポーツは似ている部分がある。
アメフトは作戦通りにいくことはない。
相手が予想外の動きをした時に監督・コーチに相談する時間がない。
相談する時間がない、その場で自分が判断しないと。
ホテルでは最前線で接客するスタッフが顧客から言われたことに対して瞬時の判断に任されているので権限は最前線に与える。
戦略を分かっていないと判断できない。
普段から人間関係をフラットにし、情報を提供し、優先すべき内容を自分で判断できる状態にしておくと正しい判断ができる。
大学院 物理探査の研究
アメフトチームでコーチも
髙坂將太さん
アメフトのコーチをしていて自分で判断できる人は少ないと思う。

星野リゾート
星野佳路代表

人のレベルの問題ではなく環境の問題だと思っている。
情報が足りなかったり、考える時間が与えれられていない。
議論に参加できる状態ではないことが一番の原因。
私は長い経験の中で思っていることは能力を出せていない人が多い。
能力を伸ばす必要はない、今ある能力を出してもらうことが大事。
能力を出せさえすれば十分な能力を持っている人が大半。
出してもらうためには情報を提供し、判断する自由を与えて、会社の優先事項が頭に入っていれば正しい判断をしだすと思う。
「今ある能力を出してください」ということがフラットな組織文化が目指している状態。
大学院 物理探査の研究
アメフトチームでコーチも
髙坂將太さん
そういうメッセージを出すことを大切にしていきたい。

理想の経営者の脚本通りに演じる
製薬大手 財務・経理職
「経営戦略に興味」
千葉大輔さん(27歳)
組織文化の醸成で心がけていることは?

星野リゾート
星野佳路代表

「うちの会社もフラットにしたい、どうすればいい?」と聞かれる。
トップがコミットしない限り組織はフラットにならない。
トップが果たすべき役割とは、星野さんが経営者に求められる資質について語り始めました。
星野リゾート
星野佳路代表

経営者としての自分の質をどうコントロールするかは大きなテーマ。
いい経営者は演技力だと思っている。
物の本を読めば良い経営者はこういうものだと書いてある。
本島の自分とはギャップがある。
そのギャップを埋めるには演じるしかない。良い経営者と優秀な経営者は演じるのがうまい人だと思う。
意識しています、実際の自分と経営者としての星野佳路は違う人格。
ITメディア 営業職
「行動力が強み」
髙橋智香さん(24歳)
結構違う?

星野リゾート
星野佳路代表

全然違う。
こちらを演じ切ることこそが経営者としての大事な役割。
ITメディア 営業職
「行動力が強み」
髙橋智香さん(24歳)
話の仕方とか、人への接し方とか?

星野リゾート
星野佳路代表

自分が思い描く理想の経営者の脚本通りに演じられるかどうか。
ITメディア 営業職
「行動力が強み」
髙橋智香さん(24歳)
意外な一面でした。

ITメディア 営業職
「行動力が強み」
髙橋智香さん(24歳)
なぜ世界を目指すのか?

星野リゾート
星野佳路代表

1980年代にアメリカにいた。
私は海外でホテル経営を勉強し、海外進出に携わった20代だった。
あの時の世界進出はうまくいかなかった。
「バブルの崩壊」という言葉で片付けられているが実際は違う理由。
日本の会社が西洋ホテルを運営することが受け入れられなかった。
日本のホテル会社が来たらちょっと違うことを期待してしまう。、1980年代、90年代のリベンジをどうしても果たしたい。
海外に行きたい、行って試したい。
その海外進出のカギを握るのは今回のモーサテ星野塾の舞台「星のや東京」です。都心のビルの中の日本旅館には星野さんの熱い想いが込められていました。
星野リゾート
星野佳路代表

東京のど真ん中に日本旅館のニーズがあるか調査するとない。
ないんだけど日本旅館にして成功する必要があった。
都市に通用する日本旅館とはどういうものか試す必要があった。
それを模索しない限り日本のホテルが世界で通用する道はない。
ファミリービジネスの成長こそ日本の成長だ
家業の温泉旅館を4代目として引き継いだ星野さんにこんな質問。
農事組合法人に務める
家業の農家を継ぐ予定
渡辺浩基さん(27歳)
家業を継ぐ人に期待することは?

星野リゾート
星野佳路代表

日本の企業数の98%ぐらいファミリーなんですね、同族企業。
日本の98%のファミリービジネスは利益が倍になる可能性が十分ある。
今の経営がまだ「イケてない」からという部分もある。
私の旅館はやらなければいけない。改善できる所がごろごろ転がっていた。
教科書を持ってきて当てはめるだけで利益が2倍、3倍になるチャンスがある。
どうしてもファミリービジネスは世襲だとか言われますけど自信を持って引き継ぎ、リスクをとって伸ばそうとする。
堂々と継げるものを継ぐことが日本にとって大事だと思う。
IT大手 営業職
NYのホテルで勤務経験も
塚田由夏さん(26歳)
もし違う人生を歩んでいたら?

星野リゾート
星野佳路代表

家業で継ぐ事業がなければ僕はスキーの分野に行っていた。
自分の中で後悔がある。
仕事にまい進する人が理想とされるけど仕事は永遠に続いていくものだし、やめてしまったものがあれば復活させ続けたほうがいい。
モーサテ星野塾はこれにて終了。20代の若者に残したものは…
農事組合法人に務める
家業の農家を継ぐ予定
渡辺浩基さん(27歳)
ファミリービジネスに少なからずネガティブな面や引け目を感じていた。
自分のやりようによってはすごい可能性があると言ってくれた。
家業に携わっていくことに希望が持てた。頑張っていこうと思った。
