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[モーニングサテライト][モーサテ星野塾]独自性を維持するための戦略[株式会社星野リゾート]

モーニングサテライト

著名な経営者の方に生きた経済を学ぶモーサテ塾。2回目のシリーズは星野リゾート代表の星野佳路さんを講師に招き、モーサテ星野塾としてお伝えしています。

リゾート運営会社として日本の観光業界で独自の地位を確立してきた星野リゾートですが、その経営は研究者が書いた論文を教科書として採用し、その通りに実践しているのだといいます。教科書通りの経営戦略とは一体どんなものなのか、星野さんが分かりやすく解説します。

まずは前回の復習から

2時限目の教科書は前回に続き「マイケル・ポーターの競争戦略」です。前回は商品やサービスが機能や品質で差別化できない状態、コモディティー化している現状を学びました。

星野リゾート
星野佳路代表

ホテルもコモディティー化してきている。
以前はひどい目に遭うホテルがあった。
今はどのホテルに泊まっても不満がない。
コモディティー化している時は「安くしてくれ」という要望がある。

2時限目 独自性を維持するための戦略

今回はコモディティー化の波の中で企業が独自性を維持するための戦略について学びます。

星野リゾート
星野佳路代表

競争市場の中で真似されにくい独自の姿を確立し、それを維持する方法。
3つのステップを踏めば持続可能な競争力を得られる。

ステップ① 「生産性のフロンティア」を達成する

星野リゾート
星野佳路代表

顧客に提供する価値を世の中で一番安く作る力。
企業がやるべきことをやっている状態が生産性のフロンティア。
おいしくないカレーを出しているお店は6ヵ月持たない状態。
ただこれだけでは競争優位な状態はつくれない。

ステップ② トレードオフが伴う活動を選択する

「トレードオフ」を伴わない良い活動はまねされて「生産性のフロンティア」になる

星野リゾート
星野佳路代表

トレードオフは何だと思いますか?

製品大手 財務・経理職
千葉大輔さん(27歳)

何かを得ようと思うと何かを失わなければいけない状態。

星野リゾート
星野佳路代表

トレードオフは一方を追求すれば他方が犠牲になる状態。
右に行くことを選択すれば左に行くことを犠牲にする状態。
これがトレードオフを伴う活動です。
お昼を食べに行きました、カレーか牛丼、これはトレードオフを伴っているか?

農事組合法人に勤める
渡辺浩基さん(27歳)

伴っていない。

星野リゾート
星野佳路代表

すごい食べる人は伴っていないと言いますが、通常トレードオフを伴う。カレーを食べる人は牛丼を食べることを犠牲にしている。
青森屋は2011年に津軽三味線のショーを始める。
大ヒットして10年したら青森の大きな旅館は大体同じことを始めた。
なんですぐに真似されるのか?

ITメディア 営業職
高橋智香さん(24歳)

始めやすいから。

星野リゾート
星野佳路代表

つまりトレードオフを伴わない活動。
やれば収益が上がる。何も犠牲にしていない。
リゾナーレトマムで「雲海テラス」を始めて大ヒットした。
10年したら日本中のスキー場が夏にゴンドラを動かし展望テラスをつくった。
トレードオフを伴わない活動は簡単に真似される。

この教科書ではトレードオフを伴わない活動はすぐに真似をされてコスト競争に陥ると指摘しています。

星野リゾート
星野佳路代表

真似をするのは日本の言葉として良くない。
英語では「ベストプラクティス」「一番良い事例を学ぼう」と言う。
「生産性のフロンティア」に乗っかるために必要。
雲海テラスや津軽三味線は実は「生産性のフロンティア」だった。

運営特化というトレードオフで成長スピードを買った

大学院 物理探査の研究
髙坂將太さん(24歳)

トレードオフのデメリットは?

星野リゾート
星野佳路代表

ホテルは「開発」「所有」「運営」「金融」の機能がある。自分で開発して、自分で土地も建物も所有して、自分で運営する。
92~93年に運営特化に専念する選択をします。

星野さんは会社の代表に就任した翌年の1992年には運営に特化する将来像を発表。2005年から旅館の運営を受託し、その再生を手掛けてきました。

星野リゾート
星野佳路代表

運営特化は誰かに投資してもらい、誰かに所有してもらうことが必要。
自分で所有していれば自分の自由になる、自分の自由にならないことが生じる。
もう一つの犠牲になる点は利益が出ている時に一番得をするのは所有者。
運営特化することで犠牲が生じる。
逆にメリットもある。
所有していないので借金がなくなる。リスクが減る。
リスクが減ると展開が速くなる。
星野リゾートが1軒だった2000年から2022年6月時点までに58施設になった。
成長のスピードを買った。これがトレードオフ。

星野さんが選択した重要なトレードオフはほかにも。

フラットな組織文化は発言の自由を保障するため

星野リゾート
星野佳路代表

「フラットな組織文化」が一番重要。
「フラットな組織文化」をつくるのはかなり犠牲を伴う。
お互いに言いたいことを言える環境があればいい。
「無礼講だから何でも言え」はフラットじゃない証拠。
普段の人間関係からフラットにしておく必要がある。
まず「偉い人信号」をなくす必要がある。
なぜか総支配にのオフィスが大きいにも「偉い人信号」の1つなので我々のホテルにはない。私もオフィスはない。

野沢春日キャスター

給料の違いや評価制度はフラットの組織と相反するが?

星野リゾート
星野佳路代表

我々もピラミッド組織。誰かが決めないと意思決定が遅れるので。
評価制度もあるし、貢献度に合わせた給与体系になっている。
議論をする時に言いたいことを言いたい人に言いたい時に言える。
自分の意見を自由に発信すること自体が自分の評価や人間関係に何ら問題がない状態をつくれるか。

ステップ③ 活動間に「フィット感」をつくる

星野リゾート
星野佳路代表

トレードオフを伴う活動の間にフィット間をつくる。
1つ1つはある程度の犠牲を払えば真似ができるが、星野リゾートがやっていることの効果を出すためには全部同時に真似するか全部同時に真似をしないか。

大学院 物理探査の研究
髙坂將太さん(24歳)

運営だけをやるリスクを背負う。覚悟を示さなくてはいけない。
自分がこれから生きていく上で通じるものだと思う。
そういった気持ちを忘れないようにしようと思った。

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