大学の学費が値上がりを続け学生生活にも影響が出ています。
滝田洋一キャスターが入学した1975年を見てみると国公立大学の授業料は年間3万6,000円、私立大学だと18万2,677円でした。
それが相内優香キャスターが入学した2004年はどうなっているかというと、国立で52万800円、私立の場合は81万7,952円ということでずいぶん変わっています。
しかも相内キャスターの時代からもさらに値上がりをしているということです。
こうして学費による家計への負担が重くなっていく中、今では大学生の2人に1人が奨学金を受けながら大学に通う時代になっていて、学生生活や学び方が変わりつつあります。
その現場を取材しました。
大学の学費
今の大学生は学費をどう払っているのでしょうか?
私立大学3年・文系の女性、
親と奨学金。家族だけでは賄えないものもあるし、大学出てから就職するのが当たり前なのは親も自分も同じ考えだった。
私立大学3年・文系の男性、
親に払ってもらっています。値段は知っているので、バイトして給料もらったときに全然届かないなと思います。
いまや大学生の2人に1人が奨学金を受けている時代。
背景にあるのは学費の高騰です。
30年前と比べて国立大学の授業料は倍増、私立大学も1.7倍以上増えています。
一方、世帯の平均所得はほぼ横ばい。
家計への負担は重くなる一方です。
法政大学
[blogcard url="http://www.hosei.ac.jp/"]
志願者数、東日本トップの法政大学。
今年度の入学生からおよそ3%授業料を値上げしました。
校舎を案内してもらうと最新のオフィスビルのような雰囲気。
教室にはプロジェクターに加え、全ての机にコンセントを完備。
さらに…
法政大学の廣瀬克哉常務理事副学長、
無線LANのアクセスポイントがあってWi-Fiでネットワークにつながっています。
かつて大学の授業といえば一人の教員が大勢の学生を相手にするスタイルが主流でした。
しかし今はゼミ形式の少人数。
学生参加型の授業が増えたことで教員の人件費や設備投資が大幅に増えました。
さらに日本私立大学連盟によると収入の3割を占めていた国の補助金は財政難などからいまでは1割程度に。
こうした状況に法政大学は、
学生にとってはきめ細かくいろいろ学べる。教員と学生の比率もよい。
経済効率は悪くなった。
「学費は上がり続けるか?」
上限ぎりぎりになっていると感じている。
東洋大学
[blogcard url="http://www.toyo.ac.jp/"]
こうした状況に大学も動き始めています。
遠山大地さん
東洋大学の職員、入試課の遠山大地さん(22歳)。
高校生向けの学校説明会などを担当しています。
この日、見学に訪れたのは栃木県の公立高校の生徒たち。
医務室では無料で診察が受けられる。医者と看護師が常駐している。
遠山さんには実はもう1つの顔があります。
夕刻、
お先失礼します。お疲れ様でした。
仕事を終えた遠山さんが向かったのは、
教育関係の授業に行きます。
実は遠山さん、昼間は大学職員、夜は学生と二足のわらじを履いているのです。
遠山さんは東洋大学の「独立自活」を支援する推薦入試に合格しました。
合格すると昼間は大学で働きながら夜間に学ぶことができます。
大学職員としての収入のほか、年間の学費の半分、26万5,000円が奨学金として支給されます。
遠山さんがこの制度を選んだ理由は…
弟が2人いて、これから進学していくだろうと考えた時に親に経済的な負担をかけたくないというのが一番大きな理由だった。
しかし、昼は仕事、夜は勉強のハードな生活に悩んだ時期もあったといいます。
親に授業料全部出してもらっている人もいて、差は存在すると感じた。
でも、それを今から埋められるかというと、そうではない。いかに自分がくぐり抜けるかにシフトして考えた。
4年生の遠山さん、就活でも無事内定が出ました。
現在、24人の学生がこの制度を使っています。
高木桜子さん
そのうちの一人、高木桜子さんは岩手県大槌町出身。
震災で自宅が流されました。
国際地域学部国際地域学科の高木桜子さん(20歳)、
被災地出身で将来地元に関われたらいいなと思い街づくりや観光の勉強をしている。
「独立自活」制度
加藤建二入試部長は、
この制度を見つけなかったら大学の進学をあきらめていた学生が多い。
学ぶ場はお金を持っているだけでなく、いろいろな方に提供するのが大学としての使命だと思う。
東京通信大学
[blogcard url="https://www.internet.ac.jp/"]
学費を抑えながら大学で学ぶ方法はないのでしょうか?
あるお宅を訪ねました。
実はこの2人、大学の授業中だといいます。
福地恵さんは、
スマホやタブレットやパソコンが教室。
福地恵さんとスミレさんの2人は親子。
入学したのは東京通信大学という今年出来たばかりの通信制の大学です。
学費は4年間で62万円。
最大のメリットは授業料に加え、授業の受けやすさ。
授業はすべて15分程度の動画で配信されるためアルバイトや仕事の合間に勉強することもできます。
授業の動画は事前収録。
専門の教員によりスタジオで収録されます。
中には従来の大学で講義経験もある著名な著名な教員の姿も。
教員たちは授業の内容から履修の相談まで学生たちにメールでアドバイスをします。
東京通信大学の加藤泰久教授は、
1回でもメッセージのやり取りをすると学生が手前にきた感じで通常の大学に近い感じになる。
学びやすさを追求したスタイルに学生は、
時間も場所も関係なく、自分がやりたいときに15分ずつ勉強できるのはすごくいい。
さぼろうと思えばいくらでもさぼれる。
目標をきちんと持った人のほうが向いている
大学側はこうした試みには可能性があると話します。
木村泰己常務理事は、
ICTを活用した通信教育はまだまだ可能性を秘めていると思う。
本当に学びたい人に対しては、しっかりとした教育環境を提供しないといけない。