お寿司などで人気のクロマグロのニュースです。実はこのクロマグロの漁獲量がいま大きな問題となっています。
日本は30キロ未満の小型のクロマグロの漁獲量は年間4,007トンまでに抑えると2015年に国際社会に約束をしています。
ところが今期はあと2ヶ月を残しているのにもかかわらず、すでに4,007トンを超えて4,008トンになってしまいました。
水産資源の保護を重視する国際社会の圧力が増すのは必至ですが、そんな中小さなクロマグロだけを逃す網の開発も進められています。
太平洋クロマグロ
先週、農林水産省は資源が減少してる小型の太平洋クロマグロ(30kg未満)の漁獲量が国際合意で決められた枠を初めて上回ったと発表。
2016年7月から2017年6月末までに日本に割り当てられた漁獲上限は4,007トンにもかかわらず4月末時点で4,008トンに達してしまいました。
原因のひとつが西日本を中心とした想定外の豊漁。もうひとつが混獲です。他の魚を捕る定置網にマグロが入るケースが相次いでいます。
東京海洋大学の勝川俊雄准教授は、
捕るつもりがなくても取れてしまう場合がある。「混獲でいっぱい捕れてしまったため国として漁獲枠守れなかった」では国際社会に通用しない。
勝川俊雄准教授は、国際的信用を取り戻すためにも国による仕組みづくりが急務だと話します。
混獲がある中で国の漁獲量を約束の範囲に抑えていく仕組み作りが必要。
深浦町
こうした中、混獲を防ぐ取り組みが始まっていました。
青森県の西南に位置する深浦町。漁港にはブリやカレイなど日本海で育った海産物が次々に水揚げされます。そして間もなくシーズンを迎えるのがクロマグロ。
新深浦町漁業協同組合の福田博明参事は、
青森県で一番マグロが捕れるところが深浦町。普通、大間のマグロだが量的には深浦のマグロ。
ただ深浦町では定置網漁での水揚げの回数を減らし、捕る時期も遅らせています。それは小型マグロの量を規制の上限に達しないようにするためです。この規制によって他の魚を捕る機会も失っていたのです。
常に不安、今の漁業で不安だらけ、漁獲量の規制があるから。
株式会社ホリエイ
[blogcard url="http://www.horiei.net/"]
ここで大型の定置網漁を行う株式会社ホリエイ。
野呂英樹取締役は、
黄色い玉が浮かんでいるのがうちの定置網。
ホリエイは2年前から東京海洋大学などと研究グループを作り定置網に入った小型のクロマグロを生きたまま逃がす技術の開発を進めています。
一番先に弱るのがマグロ。常に泳いでいないと呼吸が止まるので。
これまでの調査では定置網に入ったクロマグロをタモ網ですくっていけすに放した場合、大部分が死んでしまいました。
しかし定置網の一部に逃避口という穴を設けたところ次々とマグロが逃げていくのが分かります。生存率は9割近くに上ったといいます。
そして今度の実験では、
クロマグロの小型は上の方を泳ぐ特性があるので、それを現場でやってみる。
深い所を泳ぐブリに対し、浅い所を泳ぐクロマグロ。逃げ道となる穴を上の部分につけることでクロマグロだけを逃します。
また大型のクロマグロは逃したくないので網の目を規制対象の30kg未満のマグロだけが通れるほどの大きさにして実験を行う予定です。
定置網は地元にある産業の柱でもある。マグロの小さいのが入ることで定置網操業ができないということが万が一発生することになれば影響が大きいので防がないといけない。