世界トップの小さな翼がついに日本の空を羽ばたきます。
ホンダの小型ビジネスジェット「ホンダジェット」。
去年はこのクラスの世界販売台数で首位を獲得するなどいま上昇中ですが、12月20日に日本で初めて顧客に引き渡されました。
5億9,000万円のジェット機を一体誰が購入したのか?
日本ではまだ馴染みの薄いビジネスジェットを購入した狙いを聞きました。
本田技研工業株式会社
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12月20日にお披露目されたのは国内販売1号機のホンダジェット・エリート。
主翼の上にエンジンを配置する独自構造により広い室内空間を実現し、最大7人乗りです。
低燃費を追求し、航続距離は2,661キロ。東京から北京や台北まで給油せず飛ぶことができます。
2015年のアメリカでの発売を皮切りにヨーロッパを中心に中国や中東など世界中で展開。
航空分野では新参者にもかかわらず2017年は43機を出荷。アメリカのセスナを抑え小型ジェット機で初の世界一になりました。
ホンダエアクラフトカンパニーの藤野道格社長は、
このホンダジェットは日本のお客様にも今までにない快適な移動手段が提供できると確信している。
日本では今年6月に受注をスタート。すでに10機を越える注文を受けています。
機体価格はおよそ5億9,000万円。
千葉功太郎氏
今日の引渡式に現れた購入第一号はこちらの投資家のチーム。
発起人となったのはオンラインゲーム、コロプラの創業者の一人、千葉功太郎さんです。
テレビCMを見て思わず買ってしまった。
家族と見ながら「欲しいな」と。
なんと最初のきっかけはテレビのコマーシャル。
せっかくなら自分で運転したい。
自分で練習用の飛行機を買って、今年8月から集中特訓を航空自衛隊の先生をつけて毎週やっている。
ホンダジェットを操縦するために練習用の飛行機まで購入。
そこまでしてなぜ自家用ジェットを手に入れたかったのか?
忙しい合間を縫い独占インタビューしました。
「維持費はどれくらい?」
維持費がいくらかかるのか全く分からないのが壁。
アメリカだとゼネラルアビエーション(ビジネスジェット)が普及しているのであれくらいの飛行機を持つと年間コストがどれくらいか一発で分かる。
日本にはゼロなので比較どころか選択肢もないという状況からスタートした。
実はビジネスジェットが普及していない日本では何もかもが手探りの状態。
もっと分からないのがパイロット。
飛ばす人間がいない。置く場所がない。
駐機場やパイロットの確保などもこれから。
実際に飛ぶことが出来るまでには5ヵ月以上も掛かるといいます。
これを単なる金持ちの道楽の買い物と見られたくなくて、相当なリスクと覚悟を持ってこのプロジェクトに取り組んでいる。
空の移動革命
実は千葉さんはドローンに特化したファンドを立ち上げるなど「空の移動革命」に取り組んでいます。
ビジネスジェットの普及は移動の時間を圧倒的に短くする空の移動革命の第一歩なのだといいます。
空のインフラができると社会全体の構造が根底から変わる。
当然、経済効果はプラス。
1日24時間が30時間くらいの効率になれば、それだけ経済が動く。
国内のビジネスジェット市場で第一歩を踏み出したホンダも社会を変えていきたいと意気込みます。
日本で言えば将来的に部長クラスが自由に使えるくらいに持っていきたい。