70周年を迎えるホンダ。
ホンダの創業者といえば本田宗一郎氏。
そしてホンダの信念というと「自前主義」というものがあります。他の会社と組まずに自分たち独自で技術を開発していくことに特徴のある会社です。
ただ自動車業界は電動化や自動化の流れがあり、競争がかなり厳しくなっていて自前主義は限界ともいわれています。
そんな中、ホンダはイノベーションの聖地、シリコンバレーで面白い戦略を加速させています。
それが現地のベンチャー企業との二人三脚です。
本田技研工業株式会社
[blogcard url="http://www.honda.co.jp/"]
アメリカ西海岸、サンフランシスコからサンノゼにかけての一帯がシリコンバレーです。
アップルやグーグルなど世界的なIT企業が数多く立ち並んでいます。
住宅地にある一軒家であるものを見つけました。「シリコンバレー発祥の地」と書かれています。
1939年に創業したHP(ヒューレット・パッカード)の創業の場所であるガレージです。
写真に写っているのは世界的企業ヒューレット・パッカードを作ったパッカード氏とヒューレット氏の2人の共同創業者。
このガレージでモノづくりを初めたのです。道具や機械は当時のまま残されていました。
ヒューレット・パッカードの歴史がその後、さまざまなベンチャー企業に引き継がれて、色んなベンチャーが最初にガレージからスタートアップするシリコンバレーの1つのモデルとなりました。
日本でも同じくガレージ同様の場所から世界的企業になった会社があります。
ホンダです。
本田宗一郎氏が本田技研工業を設立して2018年で創業70周年。
そのホンダは今、シリコンバレーで次世代を見据えた開発を行っています。
Honda R&D Innovations, Inc.
研究開発拠点「ホンダR&Dイノベーションズ」。
今研究しているのは車のナビゲーションシステムです。
日本でカーナビといえば専用機器が一般的ですが、海外ではスマートフォンのアプリを使うケースが多いといいます。
チーフエンジニアの赤間信一さん、
車につながると自動的にアプリが起動して、その後は触ることなくハンドルのスイッチで使う。
ホンダは今、アプリを車本体のボタンで操作できる新しいシステムを開発しています。
開発風景を見てみるとあることに気付きました。
あるスタッフの服には「drivemode(ドライブモード)」も文字…、シリコンバレーに拠点を置くベンチャー企業です。
カーナビのアプリを開発しています。
ホンダはドライブモードと3年前から協業しています。
この他にもさまざまなベンチャー企業と組む戦略を加速させているのです。
「ホンダといえば自分たちで独創的なものを作るという文化が非常に強い会社という印象。自動車業界は今、自前主義ではダメなのか?」
最近では「CASE」という【C】コネクテッド(つながる)、【A】オートノマス(自動運転)、【S】シェアリング(共同所有)、【E】エレクトリック(電動化)、こういった流れが自動車メーカーを変えていく。協業から新しい技術やアイデアをいち早く取り込みたい。
世界のホンダが組んだドライブモードとはどんな企業なのか?
Drivemode, Inc.
[blogcard url="https://drivemode.com/"]
ホンダと協業しているドライブモードのオフィスが一軒家だといいます。
4年前に創業したドライブモード、社員は22人。まさにガレージが作業場です。
創業メンバーの1人、日本人の古賀洋吉CEO。
ドライブモードは独自の運転支援アプリを展開しています。
2015年7月のサービス開始からユーザー数は200万人以上に増えました。
最大の特徴は画面を見ずに声で操作できるところ。
5分後、そちらに着きます。
メールも声だけで送信。
さらに、
「スターバックスコーヒー」へ案内して。
目的地も声で設定可能。
今後、カーナビが普及していない新興国にも広がる可能性があると注目を集める企業です。
2階のリビングが会議室。アプリのさらなる改善点や新しい機能が追加できないか常にアイデアを出し合っています。
壁には一面に付箋が、出てきたアイデアは書いて全員で共有。要点を整理しながら新しいアイデアを出していきます。
するとスタッフが別室へ…
彼はデザイナーです。会議で出たアイデアをすぐさまカタチにしていきます。
今のプロトタイプ(試作品)は10分くらいでつくった。複雑なものでも数時間でできる。
アイデアをいち早くカタチにして検討を重ねる。このスピード感がシリコンバレー流です。
Honda R&D Innovations, Inc.
ドライブモードとの協業を進めているホンダ。
現場では変化が…
カーナビの操作ボタンの試作品、ホンダの開発チームが作りました。
日本だと試作品を作るまでに数ヶ月掛かることもあるといいますが…
「どれくらいの期間でつくった?」
1週間くらい。
シリコンバレーのベンチャーと組むことで開発のスピードが格段にアップしたといいます。
ホンダR&Dイノベーションズのトップ、杉本直樹CEO。ベンチャー企業との協業を推し進める旗振り役です。
ホンダも元々はベンチャー企業。新しいアイデアを毎日ミーティングする中で、うまくいかないケースもあるが、まずやってみようじゃないかと。
創業者、本田宗一郎氏の言葉、
成功は99%の失敗に支えられた1%だ
時を経て、海を超えたシリコンバレーで実践されていました。
Plug and Play Japanキックオフ
そんなシリコンバレーのベンチャーに学ぼうとするのはホンダだけではありません。
現地のスタートアップ企業と日本企業が集まっている場所。
現地のベンチャー企業と日本企業とのマッチングを図るイベント。
有望なベンチャーにいち早くアプローチしようと日本側も真剣です。
最近では金融業界の担当者の姿も目立つといいます。
SOMPOホールディングス株式会社
[blogcard url="https://www.sompo-hd.com/"]
損害保険会社、SOMPOデジタルラボの担当者、貝原太郎さん。
SOMPOホールディングスは1887年創業の東京火災などが前身、約130年にわたり損保事業を行ってきました。
「なぜ損害保険会社がシリコンバレーで活動している?」
130年間、保健事業、特に損害保険事業をやってきた。お客様や企業のビジネスモデルが変わる。デジタルが大きな影響を与える。
保険業界でもIT技術を組み合わせた「インシュアテック」と呼ばれる動きが加速していることが背景にあるといいます。
シリコンバレーから大きなムーブメントが起きる潮流がある。チャンスに変えるべく、こちらに来て活動している。