自動車産業が100年に1度の変革期と言われるなか、日本ではEV(電気自動車)の普及率が1%程度にとどまるなど各国と比べて立ち遅れが指摘されています。こうした状況を受けて岸田総理大臣は11月2日にトヨタ自動車の豊田社長らと会合を開きました。メーカー各社も次世代車両の開発を急ぐなど官民の動きが活発化しています。
"100年に1度の変革期"
「カメラ映像」だけで自動走行
ホンダは独自のAI(人工知能)を搭載した1人から乗れる小型の自動走行車両「CiKoMa」を公開しました。
特徴は…
利用者

ビーツバーガーに迎えに来て。
言葉を認識して、自動運転で利用者の元に迎えに来てくれます。
自動走行車両

スマホを見ていますか?
利用者
そうだよ。

自動走行車両

目の前に止まりますね。
利用者
あっちの自動販売機に止めて。

会話や利用者のジェスチャーなど細かく認識。周りの様子を分析して自ら場所の提案をします。
自動走行車両

危ない場所のため黄色のコーンの近くに停車でいいですか?
中はどうなっているのでしょうか?
こちらは2人乗りの車両。
宮下祐佳里記者

中は実際にハンドルが備え付けられているのと、足元にはアクセルとブレーキも付いています。
ただ使用するのは手元にあるジョイスティックのみということです。
アクセルを踏んだり、ハンドルを握ったりする必要はなく、曲がりたい時に小さなスティックを倒すだけ。
宮下祐佳里記者

通常の運転でウインカーを出す動作をするだけで自動で曲がってくれるような感覚があり、非常に楽です。
こうした自動走行のカギを握るのがカメラです。
カメラの映像から歩行者や立体物など状況をリアルタイムで解析し、走路を割り出しています。
高性能なセンサーや地図情報を必要としないため車道以外の場所でも走行できるほか、コストも大幅に抑えられるといいます。
本田技術研究所
先進技術研究所
安井裕司さん

短い距離を気軽に安全に移動できるモビリティー(移動手段)がいる。
二輪車だと高齢者は厳しい。
安全性が高いものが欲しい。
二輪と四輪の間みたいなモビリティーがいのるでは。
今月から実証実験を始め、早ければ2030年ごろの実用化を目指すとしています。
乗用車では去年、世界初となる自動運転レベル3のレジェンドを発売したホンダ。
様々な車両で開発を進め、自動運転の実用化を急ぐ考えです。
本田技術研究所
先進技術研究所
安井裕司さん

技術のノウハウは自動運転・運転支援を搭載した車にもフィードバックしていく。
"100年に一度の変革期"
岸田総理「自動車核に経済成長を」
次世代車両の開発をめぐってはCASEと呼ばれる領域が重視されています。
CASEとは走行する車自体の通信機能を高め、運転や走行のデータを車内環境の向上や安全運転などにつなげるコネクテッド、自動運転、カーシェアリングなどの新しい利用方法。そして、脱炭素社会につながる電動化、これら4つの領域の頭文字を取った造語です。
CASEが自動車産業の将来を決めるといわれる中、特にEV(電気自動車)をめぐっては今年度上半期の国内販売が3万台を突破。普及率が初めて1%を上回りました。
ただ、ヨーロッパではすでに10%を上回るなど世界に比べ日本は低い水準にとどまっていて、立ち遅れが指摘されています。
およそ60兆円にのぼる日本の基幹産業をどう成長につなげていくのか。
11月2日、岸田総理大臣とトヨタ自動車のトヨタ社長ら業界関係者が意見を交わしました。
岸田総理

自動車を核として街づくり、サービス、エネルギー、ITなどさまざまな産業が広がりをもってるながることで、経済成長につなげ、持続可能な社会をつくっていく。
会談で岸田総理は自動車産業が変革期を迎える中、官民の連携を強化して経済成長につなげる姿勢を強調。
総理が特定の業界と協議の場を設けるのは異例で、次回の会合では官民で優先的に取り組む課題を議論します。
会談に同席した西村大臣は…
西村経済産業大臣

自動化、電装化をはじめとするCASEと言われる自動車産業にとっては100年に1度の大変革期。
自動車で世界をリードしていく。
一方、2030年にEVの世界販売350万台を目指すトヨタの豊田社長。今後の議論について…
トヨタ自動車
豊田章男社長

政府への要望という意味では自動車関係諸税は高くなってきた。
世の中がこれだけ変化していく中で抜本的にそういう財源をどう使えば国の競争力はどう上がるかという議論がスタートした。