地域で奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。今回は北海道東神楽町からです。イチゴの端境期である夏のいま旬を迎える夏イチゴを開発した日本最北端の上場企業を取材しました。
夏でも甘い"夏イチゴ"!百貨店などで人気
銀座の老舗百貨店「三越銀座」。お中元に人気のフルーツ、美味しそうなマスカットや桃が並ぶ中でいま人気なのがイチゴ。イチゴの季節といえば一般的には冬や春ですがこれは…
サン・フルーツ銀座三越店
小峯豊春店長
夏に旬を迎える夏イチゴ。
夏は傷みが早いので今までは酸っぱいものが多かった。
これはとてもジューシーで甘いのでお客様に喜ばれる。
北海道産の夏瑞(なつみずき)。ゴルフボールほどの大粒が特徴。甘さも格別、メロン並みの糖度になることもあります。1粒600円以上で販売されることもあるブランドいちごです。大手百貨店のギフトだけでなくふるさと納税の目玉商品としても採用されています。
品種改良から販売までを一貫!
北海道中部の東神楽町。この辺りは盆地で寒暖の差が大きく米をはじめ農業が盛んな地域です。
ここに夏イチゴの大量栽培に成功したホーブがありました。1987年創業、従業員25人、日本最北の上場企業です。
2021年6月期の売り上げは30億円を超え、純利益はおよそ1億円。
生産だけでなく新たな品種の開発も手がけ夏イチゴを中心とした事業を行っています。
あの百貨店で見た夏瑞はしっかりと熟していました。品種改良を重ね20年がかりで完成したといいます。
ホーブ 生産事業部
小島丈明課長
イチゴは全般的に暑さに弱いが北海道の冷涼な気候を生かせば栽培できる。
ホーブは北海道や東北といった夏でも涼しい土地で農家と専属契約を結び、夏イチゴの栽培を委託しています。
朝7時、ホーブの物流センターにトラックが。中は当然イチゴ。栄養価が高まる早朝のうちに収穫されたイチゴが次々と集まってきます。これらのイチゴ、実は…
ホーブ 事業促進部
嵯峨智子さん
市場に農家のイチゴを出していない。
製パン工場や町のケーキ店、ふるさと納税のお客様に出荷している。
市場を通さず直接取引をすることで価格を維持しています。契約農家一軒一軒をホーブが直接回って全てのイチゴを買い取り選別。大玉サイズで見た目がいいものを百貨店など、小さめのサイズは洋菓子メーカーなどに販売しています。
ホーブは品種開発から契約農家への技術面のサポート、そして出荷、販売までを一貫して手掛けているのです。
国内初の夏イチゴの栽培に成功した会長の髙橋巖さん。静岡大学農学部を卒業後、北海道でワサビの研究を行っていました。
ホーブ
髙橋巖会長
北海道の地域に合ったもの、付加価値を高める農業をやりたかった。
日本のイチゴは世界一おいしい。
夏場に作ってもおいしいイチゴを作りたいと始めた。
以前は国内に夏イチゴはなく、夏場はアメリカから固くて酸っぱいものを輸入していました。1995年に髙橋さんは8年の研究を重ね国内初の夏イチゴ「ペチカ」の大量栽培に成功しました。
ホーブ
髙橋巖会長
一番のヒット商品がイチゴ大福。
ペチカができた途端に夏でもイチゴ大福ができるようになった。
年間売上2億円だった事業が4年で10億円に伸びました。国内の夏イチゴ市場を開拓したことで創業からわずか10年でイチゴ業界のトップ企業に。
2005年には北海道から優れた企業として表彰されています。
現在、収穫量を増やすために温暖な地域でも収穫できる夏イチゴの新品種を開発中。香川県で試験的に栽培が始まっています。
さらに…
ホーブ
髙橋巖会長
夏瑞の一番おいしい時期は6~7月の2か月間。
期間をもう少し長くできないか、温度・湿度・光を制御して将来は植物工場で夏瑞がどんどんできていくことを考えている。