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[モーニングサテライト]【Marketリアル】"異色企業"日立造船[日立造船株式会社]

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いまマーケットで起こっているリアルな事柄を伝える「Marketリアル」。

今回取り上げる企業は大阪に本社がある日立造船です。

まず日立造船の株価をご覧ください。去年、低迷していましたが去年の年末から上昇を始め、今年3月にはストップ高になる場面もありました。

この株高の背景には何があったのでしょうか、日立造船が事業を展開する国内外の現場を取材しました。

日立造船株式会社

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大阪湾に面した日立造船の堺工場。

その敷地は東京ドームの5倍もあり、工場内はご覧の広さ。今年創業140年の歴史ある企業です。

岩城光記者、

今、工場の中にある2号ドックと呼ばれる場所にやってきました。ところがご覧の通り、ドッグの中に船はありません。

代わりにそこで造られていたのはフラップゲートと呼ばれる可動式の防波堤。波の力を利用して自動的に作動する防災装置です。

実は日立造船、社名に日立とありますが資本関係はありません。

造船業も1980年代に造船不況が直撃。2002年に分離しました。

そんな日立造船の主力事業のひとつが機械・インフラ事業。売上高の3割を占めます。

実際に造っている製品がこちら。

日立造船の製造部、上西龍也課長、

シールドマシンといってトンネルを掘る機械を造っている。

造船の技術、鉄を切る、曲げる、機械加工、溶接、組立が受け継がれていて、時代に合わせてチャレンジしながら最先端のものを造っている。

造船技術を活用

造船の技術やインフラを活用して製造業としての生き残りの道を模索し続けてきたといいます。

率いるのは三野禎男社長です。インタビューの場でもその挑戦の跡が…

「社長の右側にあるのは杜仲茶ですか?」

今、小林製薬で扱っている。

一斉を風靡した杜仲茶。

すでに小林製薬に事業譲渡しましたが開発したのは日立造船だったのです。

そんな日立造船、株価は去年400円前後と低迷しました。

「株価は『さらに評価されても』との思いは?」

もちろん、そういう思いはある。

昨年の株価は、どうして評価してくれないのかという低いレベルにあったと思う。

ところが10月、風向きが変わります。

菅政権が脱炭素社会の実現を全面に押し出したのがきっかけでした。

現在、日立造船の売上の実に6割以上が環境事業なのです。

特徴あるデザインのここは大阪市舞洲清掃工場。

日立造船が設計・製造したごみ焼却発電のプラントが稼働しています。

廃棄物の焼却時の熱を利用して電力を得るシステム。

日立造船は国内でおよそ500件の納入実績があるのです。

そして今、環境ビジネスの舞台は世界に移っています。

モスクワ中心部から車で1時間ほど走ると…

モスクワ支局のバレリー・ベロゼロフ記者、

わたしの後ろに見えているのはヨーロッパ最大のごみ置き場です。自然に囲まれた場所ですがすごく臭いです。

巨大がごみ処分場が周囲に悪臭を放っていました。

ロシアではごみの9割が埋め立て処分され、ごみ問題はプーチン政権の課題でした。

もうここでは暮らせない。ひどい臭いだよ。

住んでいた人たちもみんな引っ越していった。

このごみ問題の救世主となったのが日立造船の焼却発電プラントでした。

ロシアで開かれた国際会議で安倍総理もプーチン大統領を前にこう発言。

ごみ処理を近代化する必要は年次教書でプーチン大統領が強調した項目。

日立造船のグループ企業がこの7月、モスクワ近郊のごみ焼却プラントを受注した。

こちらがそのごみ焼却プラントの建設現場。

この日、ごみを焼却するための重要な部品が到着しました。

日立造船イノバのAGサイトマネージャー、エルンスト・ゲルハルト氏、

ここに日立造船イノバの冷却火格子が取り付けられる。

このプラントで最も重要な場所だ。

現場を仕切っているのは日立造船の小会社、イノバのスタッフです。

2010年に買収したスイスの企業。ごみ焼却プラントの設計から建設・運営を手掛けます。

モスクワ近郊で4件のプラントを受注しており、この施設は2023年までには稼働する予定です。

M&Aで海外売上高3割に

イノバのM&Aで海外の売上比率を3割にまで高めることができました。しかし、危機感も…

「今後の日立造船の最大のリスクは?」

これはチャンスでもあり、リスクでもあるが脱炭素化の流れがある。

ごみ焼却発電がいつまで続くのか。

将来的には焼却発電ではなくなっていく可能性もある。

3月、日立造船の株価が年初来の高値を更新。

そのきっかけとなった新たな技術というのが、

発表した1000mAh(ミリ・アンペア・アワー)のセルがこちら。

業界最大容量の全固体電池の開発です。

リチウムイオン電池が液体の電解質を使うのに対し、こちらは固体。

液漏れなどのリスクが抑えられ、容量も大きくなる次世代の電池なのです。

日立造船は意外な分野で実用化を目指すといいます。

日立造船の電池グループ長、西浦崇介さん、

全固体電池の特徴が生かせる分野で使っていこうと。一例として宇宙に。

宇宙分野に投入

今年秋にはロケットで打ち上げられ、真空の宇宙空間での実証実験が始まる予定です。

「全固体電池については長い目でマーケットに見て欲しい?」

今の液体リチウム電池では対応できない特殊な環境で使用してもらい、課題をひとつずつ解決していきたい。

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