ふちこの突撃マーケットです。今回のテーマは「メタネーション」です。メタネーションは二酸化炭素と水素からメタンを合成する技術です。メタンは大気中に存在すると温暖化の原因になりますがメタン自体は燃えやすい気体なので燃料などに利用されています。ということで国内最大のメタネーション施設で世界初の試みを取材しました。
国内代再施設で世界初の試み
訪れたのは神奈川県小田原市。
片渕茜キャスター
実際にこちらでメタネーションが行われているということです。
案内してくれるのは日立造船の大地佐智子さん。こちらでメタネーションの実証運転を行っているということです。
そしてメタンを作っているのがこちらの装置。
日立造船
大地佐智子さん
二酸化炭素と水素からメタンを作っています。
メタネーション中は200度。
片渕茜キャスター
二酸化炭素と水素が合わさると勝手にメタンガスになるんですか?
日立造船
大地佐智子さん
そんな都合が良くなくて、メタン化反応触媒を使って反応を起こしています。
ニッケルが主体の触媒になっています。
片渕茜キャスター
触媒を通すとメタンガスに変わるんですか?
日立造船
大地佐智子さん
そうです。
24時間稼働させるとおよそ2,700世帯分のガスが作れるそうです。そして実験のカギは使用する二酸化炭素。
片渕茜キャスター
これ(二酸化炭素)はどこから来ているんですか?
日立造船
大地佐智子さん
実証実験のキーポイントは"どこから"二酸化炭素を回収しているか。
ということでパイプの元を追ってみました。
片渕茜キャスター
実験場の外に延びてますね?
施設の外に続いていました。さて、このパイプの先はどこにつながっているのでしょうか。
片渕茜キャスター
実験場の外に来ましたが、ゴミ収集車が並んでいます。
日立造船
大地佐智子さん
使っている二酸化炭素は清掃工場から出てくるもの。
ごみを燃やす時に出る二酸化炭素を回収して資源としています。工場から出た二酸化炭素と水素で合成メタンを作り、そのメタンを燃料用として工場に送ります。燃焼する時に発生した二酸化炭素を再び回収し、再度メタン化すれば炭素の循環利用ができます。
清掃工場の二酸化炭素を利用したメタネーションは世界初。今後は民間工場などからも回収し、将来的には大気中の二酸化炭素が増加しないカーボンリサイクルを目指します。
日立造船
大地佐智子さん
一つ一つは完成された技術だが組み合わせてうまく動くかというと別の問題がある。
早ければ2025年くらいから有効利用できる。
2030年までに100億円事業にしていきたい。
"メタンバス"が街を走る?
IHIも実証実験を始めます。
福島県相馬市内を走るバス1台の燃料を合成メタンに切り替え11月から試験運用を開始。満タンに充填すると180キロ走ります。
都市ガスが合成メタンに?
さらには東京ガスも取り組んでいます。
メタンは燃えやすい性質から都市ガスに使われていて成分の9割が実はメタンです。2030年に都市ガス量1%相当の合成メタンの導入を目指しています。しかし、製造コストは天然ガスの3倍の想定だそうです。
東京ガス
矢加部久孝さん
やる価値というよりやらねばならぬと思っている。
技術開発でコストを下げる努力をしていく。
現状は精度が決まっていないので、今後そのコストの差をうめるような補助の制度を国と協議しながら進めていく必要がある。
げっぷのメタンは削減可能?
コストは高いがメタンを資源として利用できれば循環利用もできて有益。とても未来が明るい話ですが大気中にもメタンが存在していて、それが温暖化の原因になっています。
メタンといえば牛のげっぷが話題に上がりますが、げっぷはメタンの排出量の27%を占めています。そんな中で畜産業界も動き出しました。
全国肉牛事業協同組合。6月に温室効果ガス削減に取り組むことを発表しました。そのために導入されたというのが牛のげっぷ中のメタンを測定できる温室効果ガス濃度アナライザー。
うしのげっぷの代わりにメタンガスを使って実験。メタンガスを袋に入れてホースを差し込むとメタンの量が可視化されます。
全国肉牛事業協同組合
酒井豊さん
カシューナッツの殻を餌に混ぜると試験管レベルでメタンを35.7%減らすことが証明されているので、実際の牛を使って試験をしてみたい。
肉質がよくなるという理由でカシューナッツの殻が使われましたがメタン削減に効果があると分かったそうです。温暖化対策としてもカシューナッツへの期待が高まっています。
全国肉牛事業協同組合
酒井豊さん
げっぷに対してそうとうな逆風が吹いていた。
畜産を今後やめていかないと地球環境が守れないという話も出ていた。
牛に代わってイメージアップをしたい。