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[WBS]ロシアを悩ます"ごみ問題"!「日の丸技術」が救世主に!?[日立造船株式会社]

2021年7月5日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

今や世界中が脱炭素に向けて動き出していますが、そうした中で再び注目されているのが日本企業が積み重ねてきた日の丸技術です。

世界の環境問題を解決する日本のインフラ輸出の最前線を追いました。

日立造船株式会社

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ロシアの首都モスクワからおよそ60キロの街、ティモホボ。そこにあったのは…

モスクワ市局のバレリー・ベロゼロフ記者、

私の後ろにあるのはヨーロッパ最大のゴミ置き場です。自然に囲まれた場所ですがすごく臭いです。

ここは巨大なゴミの処分場。広さは東京ドーム24個分もあります。

ロシアではごみの焼却施設が不足していておよそ9割のごみが埋め立てられています。

近くに住む人に聞いてみると、

もうここでは暮らせない。

「なぜ?」

ひどい臭い。

住んでいた人もみんな引っ越してしまった。

深刻化するロシアのごみ問題。我慢強いといわれるロシア国民ももう限界です。

これは法律にも反している。

毎日、ごみの埋め立て地で火が上がって、毒ガスのせいで息もできない。

プーチン大統領、

ロシアの国営企業がごみ焼却場をつくる。

日本の「ヒタチ」の優れた技術を使う予定だ。

プーチン政権がごみ問題の解決で頼ったのが日本の日立造船グループです。

モスクワ近郊の街、スビスチャギノ。すでに日立造船グループがごみ焼却施設の建設を始めていました。

2023年に完成予定のこの施設。最大の特徴はごみを燃やすだけでなく、その熱を使って発電もできることです。

ごみを廃棄物にするのではなく、資源として生かす発想です。

日立造船イノバのアーンスト・ゲルハルトさん、

いまから日立造船グループでがつくった最も重要なパーツを取り付ける。

ごみを空気に触れさせ、燃焼効率を上げる部品。排出する有害物質が少ない日本式の焼却場は海外から高く評価されています。

ここも合わせ今後モスクワ近郊の4ヵ所でゴミ焼却発電所をつくる予定。受注額は数百億円規模とされています。

日立造船グループはこのごみ焼却発電の分野で世界シェア1位に成長しました。

ロシア国営企業傘下、RTインベストのアンドレイ・シペロブCEO、

最高の技術で安全にごみ処理できるのは日立造船のおかげ。

このプロジェクトはロシアにとって非常に重要。

世界で注目される日本のインフラ輸出はイギリスにも。中部のノースヨークシャーにあるドラックス発電所。

2.6ギガワット、400万世帯の電力を供給する世界最大のバイオマス発電所です。

燃料は木質ペレット。

燃やすときにCO2を排出しますが、木が成長過程でCO2を吸収しているため、CO2の排出はプラスマイナスゼロと見なされています。

さらに、

ロンドン支局の中村航記者、

こちらバイオマス発電が排出するCO2、それがあの煙突の先から出るのですが、三菱重工の技術でこれを回収します。

三菱重工グループは先月、この発電所と連携し、世界最大のCO2回収施設をつくると発表しました。

年間800万トン以上のCO2を回収することで、プラスマイナスゼロだけでなく排出量マイナスを目指す計画です。

イギリスの発電大手のトップがWBSの取材にその巨大な投資額を明かしました。

CO2の排出をマイナスにする世界最大の事業。

この発電所全体では3,000億円以上の巨大事業になる。

一体、CO2をどうやって回収するのでしょう。三菱重工の現地トップ、細身健太郎常務執行役員の後をついていくと…

これが吸収塔。

まずガズを冷却して、ここでCO2を吸収させる。

このパイプの中を通っているのが独自技術で作ったアミン吸収液です。

発電所で発生した排気ガスをこのアミン吸収液に触れさせるとCO2だけを分離し回収できます。

実は三菱重工は関西電力と連携し、30年以上も前からアミン吸収液の研究をしてきました。

長年培ってきた技術がようやく世界の注目を集め、排ガスからのCO2回収の分野で世界シェア7割を占める事業にまで育ったのです。

2050年のカーボンニュートラルという世界的に明確な目標があるので。

ようやくそういう技術が世界に花開く時代が来た。

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