ガイアの夜明け ビジネス関連

[ガイアの夜明け] 「働き方が変わる」 今こそ、社員を鍛える!(1)

2016年9月27日

シリーズ「働き方が変わる」第14弾今こそ、社員を鍛える!

株式会社日立製作所

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大手電機メーカー、株式会社日立製作所。

主に企業向けのソフトウェアを開発するITプラットフォーム事業本部。

株式会社日立製作所の社員数は約3万7,000人。

その一人、入社3年目の石黒康平さん(30歳)。

石黒康平さんはある悩みを抱えていました。

午後8時には帰路に着きます。

判で押したような毎日です。

ただ往復して、朝起きて仕事行って、帰ってきて寝て。

会社から電車で30分、ワンルームマンションで一人暮らしをしています。

石黒康平さんは宮城県出身。

「首都大学東京」大学院でIT技術を研究し、卒業後、第一志望だった株式会社日立製作所に就職しました。

ところが最近、自分の仕事にやりがいを見出せず壁にぶつかっていたのです。

どうお客様から評価されているのか、自分の作ったものがどう評価されるのか、そういう実感がほしいと。

NOP法人クロスフィールズ

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2015年12月、企業向けにある人材育成プログラムの説明会が開かれていました。

スクリーンに映し出されていたのは「留職」という聞きなれない言葉。

「新興国で社会課題に挑む」と書かれています。

本業を通じて社会に貢献していくことで、社員が元気になり、会社も元気になる。そういうメリットがある。

NOP法人クロスフィールズが開発したプログラム。

すでに日産自動車株式会社、NEC(日本電気株式会社)、パナソニック株式会社など30社がこのプログラムを導入しています。

会場には石黒康平さんの姿もありました。

何かを変えたいと自ら手を挙げたのです。

すごくチャレンジングで面白い。留職に行けば自信が付くと思い志願した。

会社もまた、こうした社員に壁を乗り越えて欲しいと考えていました。

株式会社日立製作所の人材統括本部、田宮直彦さんは

社員は大きな組織の中で役割を果たすことに慣れているので、それ以外のことを要求されると戸惑いがある。自分自身で考えて誰かを巻き込んで解決する。自分自身の行動としてできるようになる。チャレンジしてきてほしい。

ラオス

東南アジアの国、ラオス。

石黒康平さんはこの国で3ヶ月に及ぶ留職に臨むことになりました。

仕事に「やりがい」を見出したい、悩める社員は壁を超えられるのか?

留職

ラオスの北部の町、ルアンパバーン。

ラオスの人口は約650万人。

国民の3割が1日200円未満で暮らしているといいます。

3月下旬、留職でここに来たのは株式会社日立製作所の石黒康平さん。

これまで海外旅行の経験もありません。

海外は初めてなので全てが新しい。匂いも違う。新鮮な感じ。

石黒康平さんが働くのはラオ・フレンズ小児病院。

2015年2月に出来たばかりです。

ここでは貧しい子供たちを無償で診療しています。

運営は寄付金で賄われ、海外からやってくるボランティアスタッフによって支えられています。

そこに派遣された石黒康平さん。

任されることになったのは病院のITシステムの改善です。

着任早々、診察室に呼ばれました。

トラブルが発生したようです。

患者さんのレントゲン画像が見つからないんです。

システムに入っているはずの画像が出てきません。

石黒康平さん、株式会社日立製作所で培った技術ですぐに解決します。

すると今度は別の部屋に呼ばれました。

カナダ人の医師が患者さんの情報を記録する電子カルテの使い勝手が悪いと困っていました。

同じ名前の患者さんが何人もいるのよ。

同姓同名の患者さんがいるため、本人のカルテを見つけるのに手間が掛かるといいます。

石黒康平さん、詳しく要望を聞いて改善策を探るようにしました。

すごく刺激的ですね。日本の職場で経験できないことを経験させてもらっている。プレッシャーはあるけど、貢献したいというモチベーションはあるので応えていきたい。

留職の課題

勤務時間は朝8時から夕方5時まで。

病院から自転車で30分ほど離れたゲストハウスに寝泊まりしています。

留職期間は3ヶ月。

石黒康平さん、部屋に帰ってからもまだやるべきことがありました。

自分で現地の課題を見つけ、会社で培ったスキルを生かして解決する。それが「留職」最大のミッションです。

訪問診療

ラオスに来て2ヶ月。

この日、石黒康平さんは訪問診療を行うチームを訪ねました。

そこにいたのは、この病院に常駐している唯一の日本人、看護師の赤尾和美さんです。

実際の仕事の流れを見てみたい。

患者さんの生活を見てもらうと、自分の仕事がどういうふうに村人の生活の改善につながるのか、見えてくると思う。

石黒康平さん、まだ現地の課題が見つかっていませんでした。

そこで赤尾和美さんの訪問診療に同行させてもらうことにしました。

かなり遠い所なので、通常は1泊2日くらいで。

片側は断崖絶壁、凸凹の山道をひたすら進みます。

ボーカーン村

4時間掛けてようやく到着したのが、70世帯が暮らすボーカーン村。

竹を編んで作った質素な家屋が並んでいます。

待っていたのは生後10ヶ月の女の子。

この子は生まれてすぐ栄養失調になり命が危ぶまれました。

そのため、赤尾和美さんが月に1度訪問して無償で診療を続けてきたのです。

幸い経過は順調のようです。

スタッフが生活状況を聞き取ります。

ご主人は出稼ぎに行っているんですよね、収入はどれくらいですか?

日雇いで1日300円です。

貧困のため、栄養が取れずラオスでは子供の死亡率が高いといいます。

この家でも去年までに生まれた7人の子供がみんな亡くなっていました。

ターポー村

休む間もなく次の村へ向かいます。

ところが急にクルマが止まってしましました。

道に迷ったようです。

ラオスの山岳地帯には詳細な住所がありません。

正確な場所が分からないため無駄に遠回りすることも多いといいます。

目的地へたどり着くこと自体がすごく大変。「着かないから行かない」というわけにはいかない。どうやって行くか、地図とにらめっこ。

最初の村から約2時間。

ようやく到着したのがターポー村。

この村で診療するのは6歳になる女の子。

この子も栄養失調のため経過観察に来ました。

体重を計ると、わずか12キロ。

ラオスの同じ年の子の平均より4キロも少ないのです。

1月前に来た時より体重が減っていました。

そこで女の子が暮らす家の中を見せてもらうことになりました。

来るたびに下痢なんです、あの子。衛生上の問題で下痢を繰り返していると体重が増えない、子供の場合はなおさら。こういうところに問題があるのかなと。

ラオスでは下痢が原因で命を落とす子供も多いそうです。

結局、この日回れたのは2つの村だけでした。

石黒康平さん、何か思うことがあったようです。

「この人たちを助ける」というのが明確に見えているので、そのためにシステムがどうあるべきか。社会に対して、どう自分の技術が役に立つのか。

問題解決のシステム

帰国まで約1週間の6月中旬。

石黒康平さんはあるシステムの開発に取り掛かっていました。

訪問診療で見つけた現地の課題。

培ってきた技術で解決しようと必死で取り組みます。

そうして出来上がったのがGPSを使って「患者の居住地を記録するシステム」。

どんな山奥でも正確な位置を地図上に表せるようにしたのです。

電子カルテともつなぎました。

これを使えば、どんな病気がどの地域に広がっているかひと目で分かるようにもなります。

住所データを集めると、後々、地域に関連した解析ができる。「この地域は感染症がはやっている」とか分析できるようになる。将来的にいろいろとつながっていく。

早速、赤尾和美さんたち訪問診療のチームを呼びます。

使い方を説明すると、

すごい!

村から村の正確な距離が分かり、道に迷うこともなくなります。

1度に回れる村の数も増やせそうです。

回れる、他の所も。その分、患者さんに時間を費やせるので、もちろんプラスです。

6月22日、あっという間に留職の期限が来ました。

日本では仕事の「やりがい」に悩んでいた石黒康平さん。

彼にとって、ここでの3ヶ月とは

いろいろなことを経験させてもらった。日立で働いている時は基本的にプログラマー、ここではITに関することは何でもやらないといけなかった。何をやれば役に立つか、考えながら動いた。日本でも小さいところから、いろいろやっていこうと思う。

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