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[WBS] 中国の習近平体制強化の中、日立の成功のコツは「政策先取り」!

2017年10月26日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

中国の今後5年間の舵取りを担う共産党の最高指導部の顔ぶれが決まりました。

中国では共産党大会がスタートして以降、1週間政治の季節が続きました。

最大の焦点となっていた最高指導部の人事の結果は習近平国家主席への権力の集中がさらに進む形となりました。

中国の最高指導部メンバーに「習近平派」が多数に…

10月25日の日本時間の午後1時前、最高指導部が披露される会場には世界中から報道陣が集まりました。

2期目の習政権を支える顔ぶれは留任した習主席と李克強首相のほか、新しく選ばれた5人の内、3人が習主席に近い人物です。

習主席自身を含めると最高指導部の過半数を占めました。

一方で習主席の後継者候補といわれていた50代の若手指導者、胡春華氏と陳敏爾氏の2人の起用は見送られました。

後継者をあえて選ばないことで長期政権への布石を打った形です。

習主席は、

中華民族の偉大な復興は改革開放の過程で必ず実現されると確信する。

10月24日の共産党大会閉幕式の表情とは打って変わった満面の笑み。

増々権力が集中する習政権、新たな5年間がスタートします。

そして政治面だけでなく経済面でも習近平国家主席の一強体制は一層強まるものと見られます。

習主席は民間企業への影響力を強める方針を打ち出していて中国に進出する日本企業の経営戦略を左右するかもしれません。

株式会社日立製作所

[blogcard url="http://www.hitachi.co.jp/"]

北京市中心部、日立製作所の中国での本拠地があります。

日立が中国に本格的に進出したのは1960年代。日中国交正常化よりも前で日系企業では先駆けといえます。

火力発電所のプラントやテレビといった多岐に渡る事業を次々に転換。

今では中国での売上高だけで年間約1兆円。日立グループ全体の1割以上を叩き出しています。

中国事業のトップを務める小久保憲一中国総代表。長年、日立の中国ビジネスの成長を支えてきました。

「習近平体制からの政府との関連性?」

我々としては変わっていない。中国の「発展していこう」という方向は明確になっている。

小久保氏が着目したのは習近平主席の10月18日の演説、

「インターネット強国」「交通強国」「デジタル強国」「スマート社会」の建設に強力な支援を提供する。

中国で普及するシェア自転車やスマートフォンによる決済、政府の後押しで急速なIT化が進んでいます。

こうした変化に対応し、ビジネスを成功させるためには中国政府とのパイプが不可欠だと小久保氏は強調します。

「中国で事業展開するコツ?」

政府との関係を良くすることが一番大事。政府として何を求めているのか、どういうふうにこの国を持っていこうとしているのか、そのためにはどういう技術・ソリューションが必要なのかをいち早く理解して、その成長や意見に従う。それを満たすことを先取りしてやっていくことがコツ。

さらに今、小久保氏が熱い視線を送っているのが習主席の肝いりで打ち出された「一帯一路」構想。中国からヨーロッパにかけて大きの国を巻き込む経済圏を作ろうという野心的な構想です。

「『中国を利することに帰結する』と警戒する見方?」

そういう見方もある。ただ私はビジネスチャンスだと思っている。実際われわれがなかなか対応できない国、たとえば資金がない国、政情が不安定な国、そういう国に一帯一路で中国の企業が出ていって、われわれはその中国の企業の下に入って技術や製品・部品材料を納め、結果的にそういう国にわれわれの製品技術、部品材料が入っていく。われわれが自分でその国と仕事をするより効率的。

アサヒビール株式会社

[blogcard url="http://www.asahibeer.co.jp/"]

北京市の中心部から車で約1時間。アサヒビールの北京工場です。

作っているのは日本でもお馴染みのスーパードライ。アサヒは1998年に中国でスーパードライの販売を始めました。

日本のトップブランドは中国でも受け入れられているのでしょうか?

アサヒビール(中国)投資、西野昌男総経理、

「スーパードライは最初はどうだった?」

最初はなかなかまだ受け入れられる状態ではなかった。スーパードライは「濃い」と、ビールが濃いので酔っ払うとよく言われた。

中国の飲食店では10元(約170円)以下の手頃な価格のビールが主流です。

しかしここ数年、価格では2倍以上する「プレミアムビール」の市場が急速に拡大しているといいます。

そのプレミアムビールで勝負をするアサヒ。

一番こだわっているのは泡。泡をきれいに出すとおいしい。最高品質のものを提供している。

アサヒがこだわるのは生ビールの品質。生ビールに馴染みのない中国人従業員でも自動でキレイな泡の入ったビールが注げる独自の装置を設置しています。

少しずつこういうものを求めている人が増えてきていると感じている。

アサヒの中国進出は今まで誤算の連続でした。

2009年に中国2位の青島ビールと提携し、約600億円を投じて株式の2割を取得。青島のブランド力を生かし市場の開拓を加速させる狙いでした。

しかし手頃な価格のビールが主力の青島と高価格帯のスーパードライでは販売面で相乗効果を得られず10月、アサヒは青島ビール株を売却する方針を発表しました。

「シナジーを生み出そうとは?」

もともとはそれを考えていたがうまく進まなかった。

さらに習近平政権による、いわゆる「ぜいたく禁止令」で酒を出す飲食店街が突然姿を消すといった出来事も…。

こうした政治のリスクが今後もあるものの、西野さんは巨大な中国市場の魅力は大きいと言います。

13億人市場だから、そんな大きいマーケットはどこにもない。

日本流の生ビールの好調もありアサヒの中国でのビール事業は2014年に初めて黒字化を果たしました。

「やっと中国で出番きた?」

それが今かと思ってチャンスが来たと、待っていたかいがあるなと。

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