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[WBS] 小さな町で人口増!?全国初の町立日本語学校![東川町立東川日本語学校]

2018年12月4日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

連日、国会では人手不足を補おうと外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法改正案が審議されています。

そうした中、人口減少対策の切り札としてすでに外国人の存在を活用している自治体があります。

国内初の自治体が運営する日本語学校を設立して外国人を呼び込むというある町の挑戦を取材しました。

東川町立東川日本語学校

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北海道の中央に位置する東川町。

人口8,000人ほどの小さな町です。

深刻な過疎に悩んでいたこの町に3年前から新たな移住者が増えています。

「どちらから来た?」

台湾から。

韓国から。

ベトナムから来た。

その秘密がここ。

東川町が3年前に開校した全国で初めての自治体が運営する日本語学校です。

日本語学校を作り町をあげて留学生の呼び込みに取り組んでいます。

教室を覗くと…

学校にあるのは半年と1年の2つのコース。

この3年間でアジアの学生を中心に延べ230人を受け入れてきました。

東川町立東川日本語学校の奥山富雄校長は、

日本語も教えるが日本文化や日本人の考え方、気持ちも一生懸命伝える。

ぜひこの町を気に入ってもらって、この町を第二の心のふるさとだと思ってもらえるようがんばっている。

ホウジョさん。

ベトナム人留学生のホウジョさん(22歳)、

土曜日、AKB48のベトナムの姉妹グループが出場した。

ベトナムから来た留学生のホウジョさん、将来日本で働きたいという夢を持ち、今年4月東川町の日本語学校に留学しました。

先生の教え方とシャレが面白い。

留学生が集まる理由

どうしてこの小さな町の日本語学校にこれだけ多くの留学生が集まるのでしょうか?

授業料が安い。

学費も安いし、いろいろな条件がよかった。

実は年間90万円ほどの学費の半分を町が負担しているのです。

学生寮

こちらは町内にある留学生が暮らす学生寮。

朝夕2食付きで寮費は月6万7,000円。

この寮費もおよそ半分を町が補助しています。

国からの支援はあるものの、こうした奨学金や寮費補助など留学生への手厚いサポートを行っているため町としての日本語学校の儲けは大きくありません。

留学生を呼び込む理由

では、なぜそこまでして外国人留学生を呼び込むのでしょうか?

町が期待するのは人口の増加です。

3ヶ月以上、町に住んでいる留学生は住民とみなされ人口8,000人の東川町の場合は国から1人あたり20万円の交付税が入ってきます。

町には250人ほどの留学生がいるので年間およそ5,000万円の交付税が入ってくるのです。

行政サービス

町ではそのお金をさまざまな行政サービスに充てています。

こちらは東川町にある小学校。

町は人口増加で増えた交付金を使って老朽化したり壊れたりした学校の椅子を買い替えています。

東川町の松岡市郎町長は、

人口が減ると一定の水準の行政サービスを提供できなくなるから、ある程度の人口規模は維持しなければいけない。

財源を確保して住民の幸せづくりにどう貢献するかが一番大きな課題。

地場産業の活性化

しかも小学校に納入されていた椅子は木工業が盛んな東川町の家具職人による手作りです。

留学生を増やしたことで得たお金で地場産業も活性化させているのです。

インテリア ナスの水谷松治さんは、

うちがメインになって東川のメーカー全6社で作った。

きちんと東川に木工業を残したい。

留学生の消費

週末の日曜日、ベトナム人留学生のホウジョさんが友人と出掛けたのは町内のレストラン「ワインカフェヴェレゾン」。

留学生の消費も町にとってはプラスになっています。

ときどき外食します。

この日、ホウジョさんたち留学生4人がお店で使ったのはおよそ6,000円。

食事のほか、地元の商店街でも買い物をします。

今日は休み?勉強終わった?

留学生の地元での消費は年間5,000万円ほどになると町では試算しています。

労働力

さらに留学生は地域の労働力にもなっています。

留学生のホウジョさんは週に3日、町内の機械メーカー「エノ産業」の事務所でアルバイトをしています。

ホウジョさんは伝票入力などの事務作業に加え、お茶出しなどの来客対応もこなします。

ビジネスマナーは勉強になった。姿勢とやり方。

ベトナムへの進出を考えているこの企業は彼女に期待をよせています。

エノ産業の野呂千晶副社長は、

将来、ベトナムで取引を始めるときのため、アルバイトに来てもらい、ホウジョさんからベトナムのことを学びたい。

移住者を増やす取り組み

日本語学校を作り、移住者を増やす東川町の取り組み。

町は少しずつ活気を取り戻してきています。

いろんな意味で元気になっている。消費が増えている。

人口は減っていくかもしれないが移住者によってその部分がカバーできる。

ただ留学生が町にいてくれるのは長くても2年。

卒業後、町の企業に就職したのはたった4人です。

今後は近隣の旭川市などと協力し、就職支援にも力を入れていきたいといいます。

課題は出口。

卒業時、いかに希望する就職口を見つけてあげられるか。

もう少し力を入れていかないといけない。

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