地域で奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は静岡県浜松市からです。高付加価値の売れる野菜作りをシステム化し、日本の農業所得を高めようとする企業を取材しました。
株式会社Happy Quality
[blogcard url="https://happy-quality.jp/"]
静岡県のとあるハウス。トマトを栽培しているようです。
よく見るとカメラが。この小型カメラでしおれた葉をAIが検知し…
ちょうど水出た。
これで水やりを自動で管理している。
日の光に応じて水やりもやっている。
日照状況や葉がしおれかける度に養分を含んだ水を自動で与えることや、肥料や水のコントロールがしやすい繊維で栽培を行うことで糖度が高い高品質なトマトが生産できます。
栗林農園の栗林伸明さん。
機械仕掛けの水やりの仕組みを導入することで僕みたいな素人でも安定して高品質なトマトが栽培できる仕組みに。
それがタピトマというトマト。
通常の2倍以上のリコピンを含有し、その栄養価の高さや糖度から高値で取引されています。
値段は割高ですが機能性表示の安心感から購入者も増えています。
KOマートの青果部、川添丈記部長。
健康を意識した人に売れている。
味もおいしくてリコピンが含まれた機能性表示食品だから導入した。
取り扱いはイオンなどのスーパーや飲食店と全国1,000店以上に広がっています。
Happy Qualityの下でフランチャイズとしてやっている。
トマトは全量買い取りの契約なので収益も安定して栽培できている。
作り過ぎたり、売り先に困って廃棄することがない。
農家の栗林さんは1年前から農業を始め、生産から販売までの仕組みを導入しました。
一般的な農家だと1kg250~300円の買い取り価格。
うちだと1kg600円。普通の農家より2~3倍の金額で買い取ってもらっている。
静岡県の西部に位置する浜松市。農業産出額は全国7位を誇ります。
ここに生産から売り先までのシステム化を仕掛ける企業「Happy Quality」が。
2015年に創業したHappy Quality。従業員10人、売上高は2億7,000万円に上ります。
Happy Qualityの宮地誠社長。
お金がうまく稼げないから次の担い手がいないという課題があった。
生産量が減って売り上げが減る。負のスパイラルになっていた。
農業界を活性化しないと流通業界も活性化しないということで前職の市場を退職して起業したのが発端。
社長の宮地さんは静岡で20年以上卸売市場の競り人を経験し、マーケットのプロとして農産物の流通に携わってきました。
全国のバイヤーに買ってもらうものを作る顧客の声重視のマーケットインの発想。
先に出口・売り先を決めてしまう。
衰退していく農業を活性化させるためマーケットインの発想でシステムを開発。売れるものだけを作り提供します。相場に左右されない稼げる農業モデルです。
6年前にHappy Qualityを起業した宮地社長はバイヤーたちに意見を求めました。
藤倉昌幸さん。
夏になったら気温が上がってくるので酸が少なくて甘いやつ。
そしてお客様が望むトマトのコンセプトを聞き出しました。
大玉トマトでもなく、ミニトマトでもない。
中玉の真ん中くらいのトマト、8度以上の高糖度のトマトを一年中欲しいという答えだった。
この3つがハードルが高かった。
農業経験が全くなかった宮地社長。
肥料・水のタイミング、栽培方法などハピトマのマニュアル作りに4年の歳月を費やしました。
完成した栽培ノウハウは農家へ技術指導して生産を委託。
収穫されたトマトはHappy Qualityがすべて買い取り、バイヤーや小売店に販売します。
農家はトマトを確実に売り切ることができます。
しかも安定した生産で価格変動の影響を受けずに高単価で販売し続けられ、利益を確実に生むことができるのです。
このビジネスモデルは静岡県のニュービジネスモデルを受賞。
農家の収入増加のための生産から流通までの一貫したサプライチェーン、フランチャイズ展開も進められています。
参加農家は年々増え、来年は30件の依頼が入りました。
就業5年目の中山昴さん。
栽培技術がマニュアルで確立されている。短い期間で習得ができる。
全量買い取りなのでいくらもうかるのか分かるのがいい。
そして今年、ドコモとタッグを組んで水やりシステムを強化。
初めての人が今までより早くトマトの栽培が始められるよう。
さらにVRを使った収穫体験ソフトを開発しました。
バーチャルプラットフォームの構築を視野に入れて新しいサービスを考えている。
他の農産品のサービスも広げたい。
日本は四季があるので日本の夏に適した農産品や作り方を今後海外まで展開していく。
Happy Qualityは3年後には海外のグローバルスタンダードになりたい。