ガイアの夜明け ビジネス関連

[ガイアの夜明け] 「地方からの挑戦」「知らない町」で再出発(2)

2017年1月25日

シリーズ「地方からの挑戦」(3)「知らない町」で再出発

谷和香苗さん

2015年9月、島根県浜田市。ガイアの夜明けではシングルマザーの移住一期生が浜田市にやってきた様子を取材しました。

大阪から引っ越してきた谷和香苗さん(当時45歳)。一人息子の諒也君(当時14歳)は当時中学2年という難しい年頃。

大阪では仕事をいくつも掛け持ちし息子と向き合う時間がなかったといいます。そんな生活を変えたかったのです。

あれから1年、谷和香苗さんが勤める老人ホーム「有料老人ホーム サンガーデン輝らら」を訪ねました。

浜田市が進める1人親の移住支援は人材不足が深刻な介護施設で働くことが条件となっています。

介護は未経験だった谷和香苗さん、食事や移動介助などの技術を身に付け、いまでは仕事を任されるようになっていました。

谷和香苗さんならではの取り組みも始めています。大阪時代に培ったアロマテラピーの技術をほかのスタッフにも教えているのです。

高齢者の場合はそんなに力を入れない方がいい。コミュニケーションのツールとして使う。

いまでは多くのスタッフがハンドケアをできるようになっていました。

仕事場に一人息子の諒也君が遊びに来ることもあります。地元のフットサルのチームに入り練習に励んでいるそうです。体が一回り大きくなりたくましくなっていました。

胸幅がめっちゃ広くなった。

お年寄りに優しく付き添うこともできるようになっていました。

2年目に入り仕事に余裕が出てきた谷和香苗さん、娯楽の少ないお年寄りのためにこんなことまで始めました。お年寄りに人気の落語です。

「寿 限り無し」と書いて寿限無じゃ。これ以上に幸せな永遠の命という名前はない。風の行く末、雲の行く末、これも永遠と限りがないという、めでたい名前じゃ。

落語はインターネットの映像を見て練習をしたそうです。谷和香苗さん、いまでは介護の仕事にやり甲斐を感じています。

ここに来て良かったというのは、ここでの体験がすごく良かったから。1年通して私が感じている思い。

浜田での生活は順調なようです。

浜田市

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島根県浜田市。全国に先駆けて始めたひとり親の移住制度

約400万円という支援の手厚さには市民から疑問の声もあります。

ここら辺で400万円といったら年収より多いくらい。働いている人の。

すでにひとり親で浜田市で頑張っている人には、されに相当するサービスを考えているのか。

取り組みが進むにつれて新たな問題も浮かび上がっています。

浜田市役所

浜田市が2ヶ月おきに開いている移住したシングルマザーたちの集まりです。

これまでに移り住んできたのは10人。

ある女性は幼い子供を抱え特別養護老人ホームで働いています。

結構夜勤が大変。金銭的な問題も負担がかかる。

この女性は2ヶ月後、仕事を辞めてしまいました。子育てしながらの夜勤は負担が大きすぎたのです。

有料老人ホーム サンガーデン輝らら

谷和香苗さんが勤める老人ホーム。2016年5月から谷和香苗さんも夜勤を担当するようになりました。

16時間の勤務を月に3~4回、夜8時以降はスタッフ2人で48人を見なければいけません。

部屋にいるお年寄りから次々に呼び出しがあります。

どうした?

ヤクルト。

飲み物がほしいようです。

まだある? もうないんじゃない? 見てこようか。

動かれる人は夜中じゅう。

中には昼夜が逆転している人もいます。

外に出ようとするおじいさんも。

夜だから。今日クマが出たと言っていたよ。私も見に来たのよ。

見なさいよ。

クマがいるかもと言って無事止めました。

また、定期的に部屋を回り下の世話をしなければいけません。

こうして働いているときも家で一人留守番をしている中学3年生の諒也君のことが気にかかります。ましてや小さな子供を持つ母親ならなおさらだろうといいます。

私みたいに子供が大きくなっても全然知らない土地で1人で放っておくのがどれだけ重荷になって負担になるか。呼び込む時には行政ももっと力を入れてあげれば良かった。

見学

島根県浜田市が取り組んでいるひとり親を対象にした移住支援制度。

体育館が見えると思います。4月に開校したばかりなので新しい学校です。

今も1年に2回のペースで募集が行われ、移住を希望する親子が見学に訪れます。

浜田市も途中で辞める人が出ないように努力を始めています。

ツアーの最後に行う面談。以前よりさらに細かい情報を伝えるようになりました。

夜勤の勤務とか、そういったところに心配は?

夜、子供を預ける所は?

ひとり親についてはファミリー・サポート・センターを使う場合、2分の1を市が補助します。

はまだファミリー・サポート・センター

はまだファミリー・サポート・センター。夜勤の時はここに登録している一般家庭に子供を預けることができます。

一晩で1万円以上の費用がかかりますが、ひとり親家庭には市が半額を補助するようにしました。

またこれまでは職場は老人ホームだけでしたが夜勤のないデイサービスの職場なども加えました。

政策企画課の宇津光課長は、

せっかく「浜田市に来たい」という、そういう人の初志が達成できるようにこちらとしても支援する必要がある。

立松凛さん

山あいにある弥栄地区。浜田市内でも雪深い場所のひとつです。

ここにも移住一期生の女性が暮らしています。一人娘と一緒に名古屋から移り住んできた立松凛さん(25歳)。

名古屋では保育園に空きがなく娘を預けることができませんでした。そのためパートでしか働けず生活は厳しかったといいます。いまでは自宅から歩いていける保育園で預かってもらっています。

立松凛さんが勤める「特別養護老人ホーム弥栄苑」。お年寄り10人が生活する部屋を担当しています。

いまや欠かせない戦力となっている立松凛さん。この施設では子供が小学校に入るまで夜勤を免除してくれています。

ほかの所だったらどうだったか。まだ続いていましたという自信はない。

しかし娘が小学校に入ればどうなるのか、将来への不安は消えませんでした。

再出発

立松凛さん、ひとり親の移住支援制度に応募し島根県浜田市で暮らしています。

いつも娘と二人で来ていたお気に入りの公園。いまでは3人で遊びに来るようになりました。

去年の春、地元のスーパーで働いている男性と知り合いになり意気投合。娘もなついてくれたことが決断を後押ししました。

男性とは2016年11月に入籍しました。

いつでもニコニコ笑っていられたらいいな。大変なことも一緒にだったら何とかなるかな。

介護の仕事が好きになったという立松凛さん。

この浜田市でこれからも新しい家族とともに暮らしていくつもりです。

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