台風19号による甚大な被害が発生してから1周間が経過しました。被災地では懸命な復旧作業が続いていますが先月の台風15号から続く災害で被災者の方の生活を支えるあるものがいまフル生産されています。国産で圧倒的なシェアを誇る知られざる日本企業を取材しました。
台風19号
栃木県から茨城県にかけて流れる那珂川。
台風19号の影響で川が氾濫。堤防が決壊しました。
住田瑠菜記者、
あちらには国が管理している河川がありますが、そのすぐ横で決壊した堤防の緊急復旧が急ピッチで行われています。
10月20日の時点では全ての河川で仮の堤防が完成。現在は補強作業が続いています。
周辺の住民は…
不安材料はあるが決壊した所をそのままにしておくより突貫でもなんでもいいから、とりあえず堤防という形になっていた方がいい。
消防庁によると今回の台風による住宅への被害は5万8,076棟で去年の西日本豪雨を上回る規模となっています。
さらに10月22日にかけて被災地は大雨による警戒が必要です。
太平洋に発生した2つの台風。このうち台風20号は午後6時、温帯低気圧に変わりました。
ただこの低気圧の北側には前線が停滞し活動が活発になっています。
多くの住宅被害があった千葉県や茨城県も10月22日にかけ大雨が見込まれていて被災地では洪水の危険度が高まる恐れがあり警戒が必要です。
一方、先月の台風15号で住宅の被害が大きかったのが千葉県鋸南町ですが…
復旧まで時間がかかりいまも屋根にブルーシートを張った住宅が多く見られます。
雨漏りに悩む男性も明日予想される大雨に備えていました。
ブルーシートをかけ直している。たるんでしまって水が中に入ったので。
被災地の生活に欠かせないブルーシート。
こちらの住宅で町役場で配られたブルーシートを見せてもらうと萩原工業と書いています。国産のブルーシートです。
地元建設業者は、
国産のものと海外のもので品質にばらつきがある。
日本のものの方が質は良いです。
萩原工業株式会社
[blogcard url="https://www.hagihara.co.jp/"]
そのブルーシートを作っているのが岡山県倉敷市の萩原工業。
国産のブルーシートでおよそ9割のシェアを占めます。
10月21日、ブルーシートを各地に発送している倉庫を訪ねてみると…
萩原工業の村澤龍一さん、
ここは日ごろ全て埋まった状態になっている。台風15号、19号の影響でシートが出ていった。
台風が来る前は在庫が天井近くなまで並んでいましたが、いまは空の状態です。
そのため現在も24時間体勢で増産を続けています。
海外の製品に比べて質が良いとされる理由は製造方法にあります。
これがポリエチレンの原料。
これを溶かしてフィルムを作って糸を作る。
ポリエチレンの樹脂を溶かして作られる薄いフィルム。
これを細く切って伸ばすとブルーシートの元となる強い糸が出来るのです。
この糸を巻き取り、シート状に織り上げていきます。
白い織物を青くコーティングすればブルーシートが出来上がります。
萩原工業のブルーシートはホームセンターなどで売られている輸入品と比べて価格はおよそ3倍から8倍だといいますが…
萩原工業の浅野和志社長、
品質と大きさもきちんとある。厚みもきちんとある。
備蓄される方は防災用ですから品質が悪いものではだめ。
今回は国産を再認識していただけたかなと。
台風の被災地では壊れた家屋の復旧に時間がかかると見込まれるため、ブルーシートも長く使われることが想定されます。
そのため太陽光や雨風に強い耐久性のある製品が必要とされます。
1年分に相当する紫外線などを浴びたブルーシート。
右は萩原工業の製品、左が輸入品です。
同じ厚さのブルーシートですが比べてみると劣化の度合いが違うことが分かります。
もちろん海外品でも十分使えるシートはあるが、輸入品はコストを最優先したそれなりの品質のものがある。
やはり萩原工業、品質にこだわっている。どうしても値段的に高いものが多くなる・
水が漏れないとか長持ちするとか高品質なものを提供するようにしている。