私が着ている黒いジャケットに白いパンツ、グリーンのニット、これら全てがメンズ服、男性向けの服です。
今こうした性別の垣根を超えたジェンダーレスファッションが存在感を高め、企業の戦略や売り上げにも影響を及ぼしています。
背景には何があるのか取材しました。
急拡大ジェンダーレス市場!
女性マネキンに男性服
11月30日に来年の春夏に向けた事業戦略を発表したジーユー。
さらなる強化を打ち出したのが…
ジーユーの柚木治社長。
ジェンダーレス、エイジレスにあらゆる人にファッションを楽しんでもらう。
ジェンダーレスファッション。つまりメンズ、レディースの垣根を超えた着こなしです。
一体どういうことなのか、売り場を訪ねると…
こちらのGUの店舗、1階はレディースフロアですが、女性のマネキンが着ているのはメンズアイテムです。
実は今、メンズ商品を買い求める女性が増えていて、購入客の半分を女性が占めるメンズ商品もあるといいます。
着替えました、いま私が着ているアイテムは全てメンズのSのアイテムです。腕のあたりに余裕があって、着ていてとても楽です。普段は黒やネイビーが多いのでこういったメンズ用のジャケットでも私は違和感がないです。
なぜジェンダーレスファッションが存在感を高めているのか、柚木社長はその背景をこう分析します。
若い女性が男性服を着ることがすごく多い。
「女性は女性らしく」「女性ものを着なくてはいけない」みたいなステレオタイプや概念が自由になっている。それに男性が触発されている。
お客様の方が進化している。
こうした需要に応えるためジーユーではメンズ商品でも女性が着やすいXSサイズの在庫を強化。反対に男性がレディース商品を着ることも想定し、コーディネートを提案したり、大きめサイズのXL~3XLの在庫を増やす方針です。
けん引するZ世代…本音は?
こうした新たなジェンダーレスファッションの市場をけん引しているのが2000年前後に生まれたいわゆるZ世代の若者たちです。
大学4年生の山口さくらさん。
今日は全身メンズの服で来た。下は古着、上は彼氏から借りたもの。
だぼっとしてメンズライクですね。
彼女たちはファッション関係のサークルに所属する大学生。
男性用のトップスやパンツも自分なりに着こなします。
そんな彼女たちの買い物に同行すると…
大学4年生の内山響さん。
そもそも服を選ぶときにウィメンズから見ようという意識もない。
古着店はメンズ・レディースを意識せずに服を購入できるのが魅力だといいます。
買っちゃいました。きょうは全部メンズです。
あしたはもしかしたらスカートを履いているかも。
ジェンダーレスとか古着とか新品とか、そういう選択肢を持っておくと楽しい。
彼女たちはなぜこうした考えをするようになったのでしょうか。
当たり前の一部。自分にもいいし、地球にも優しい。
プラスしかないので自然なアクション。
彼女たちはジェンダー平等やサスティナブルを目指すSDGsの考え方に強く共感しているといいます。
去年からファッションを通じてそうした考え方を広める活動も始めています。
Z世代の若者たちから始まり、ジーユーではすでに幅広い世代に受け入れられているというジェンダーレスファッション。
企業としてもその市場に大きな可能性を感じているといいます。
「ジェンダーレスファッションは供給する側に経済的メリットはあるか?」
ウィンウィンだと、お客様が望む形で顧客層が広がる。
お客様の満足と事業としての成立、これは両立していける。
2,000校導入男女兼用学生服
ジェンダーレスファッションの広がりはこんな分野にも…
菅公学生服のスクール営業課、中村広正課長。
こちらの壁面に飾っているのが当社で企画している最新の制服デザイン。
それが学生服。
シェアおよそ3割の業界大手「菅公学生服」では2016年に男女共用の"ジェンダーレス学生服"としてこのブレザーを開発しました。
詰め襟の学生服やセーラー服だと男女の性別がダイレクトに伝わりやすいデザイン。
ブレザーのスタイルであればそういったジェンダーレスへの配慮がしやすい。
ブレザーなら同じデザインで男女兼用が可能。
ボタンを付け替えて前合わせを自由に変えられるものも用意しています。
さらにスラックスは女子生徒も履けるものも用意。
スカートを選ばない女子生徒も増えているといいます。
詰め襟の学生服やセーラー服を今でも販売をしていますがショールームには置いていません。
新しく公立中学校の制服を改定する目的の中には、ほぼ100%の割合で性の多様性に配慮。ジェンダーレスにも対応できるデザインを提案してくださいという要望がある。
ジェンダーレスに配慮した学生服を導入した学校はすでに2,000校に上っていて、その数は今後も増える勢いだといいます。
時代にあった新しいユニホーム(学生服)のあり方を業界全体でしっかり取り組んで提案していく。