原材料高騰で注目!昆虫産業
週末の渋谷、そこに現れた筋骨隆々の男たち。
彼らが配っていたのは…

コオロギ入りのプロテインバーをもらった。
こちらは粉末状にしたコオロギを使ったプロテインバー。
実はコオロギにはタンパク質が豊富に含まれているんです。
昆虫を食べることに抵抗がある人もいますが、実際に食べてみると…

おいしい。
じつはいまコオロギ食品が人気なんです。
無印良品で販売しているコオロギせんべいは製造が間に合わないほどの人気で、その後発売された新商品と合わせてコオロギ食品の販売点数はおよそ3倍に増加しました。
なぜここまで人気なのか、コオロギ生産の現場を訪ねました。
ここは2019年に創業した徳島大学発のベンチャー企業「グリラス」。
廃校を活用した生産工場には…
グリラス
渡邉崇人社長

このようにコオロギを大量に育てている。
こちらでは年間数千万匹のコオロギを生産。
ほかにも加工食品用のコオロギパウダーや菓子などの食品を製造しています。
現在、商談を進める企業は2年前に比べ20倍に増加。
一体なぜなのでしょうか。
コオロギが人気なワケ?
グリラス
渡邉崇人社長

環境負荷が低く、大量に養殖ができる。
餌を食べて体重が増える「飼料変換効率」がコオロギはかなり優れている。
例えば牛の肉を1キロ増やすためには25キロのエサが必要だといいますが、コオロギの場合2キロと10分の1以下で済みます。
そしてもう一つ注目される理由がその味。
増田洋一記者

ちょっとエビっぽい。
噛めば噛むほど旨味みたいな、エビのような味が出てくる。
粉末の需要が高く、生産量を来年までに6倍に増やす計画です。
グリラス
渡邉崇人社長

原材料高騰でさまざまなメーカーが新たな資源を探している。そこにしっかり供給していく。
昆虫は将来懸念される世界的な食糧危機の代替食品として注目されていて、昆虫食市場は2030年には1兆円規模になると試算されています。
そして食材以外の用途で注目されている昆虫も。
こちらは2016年創業のムスカ。
ムスカ
串間充崇社長

ここで使っている昆虫はイエバエ。一般的なハエ。
こちらはハエを産業に活用する研究を行っているベンチャー企業。
物価高を受けて問い合わせがおよそ5倍になっているといいます。
一体なぜハエが注目されるのでしょうか。
物価高でハエに注目?
ムスカ
串間充崇社長

幼虫が有機廃棄物を肥料と飼料に1週間で変える。
出来上がった有機肥料は品質がいい。幼虫も鶏・魚の餌として付加価値が高い。
まず始めにハエの幼虫に家畜の排泄物などの有機廃棄物を与え、分解させます。
すると1週間ほどで廃棄物は有機肥料に生まれ変わります。
使用しているのはこの処理能力を高めるためにおよそ50年、1,400世代にわたって選別交配したサラブレッドのハエです。
また大きくなった幼虫は栄養分が豊富に含まれた飼料として利用されます。
実際に宮崎県のブランド鶏「地頭鶏」にハエの幼虫をエサとして与えたところ…
石坂村地鶏牧場
中村秀和さん

やはり肉質がいい。
まず脂が違う。
鶏の体重が約1割アップした。
付加価値の高い肥料や飼料が国内で安定して生産できると期待されています。
ムスカ
串間充崇社長

ゴミを再資源化し、国産である。
何らかの形で食の安全保障に貢献できると思う。