今までの常識や社会のあり方を変える若きゲームチャンジャーに迫る企画です。

2回目となる今回は窓口で待たない行政サービスの実現を目指すベンチャー企業、グラファーの石井大地さんです。

自らプログラミングを行い、新たなサービスを開発する石井さんですが、東大医学部に進学し小説家になったという異色の経歴の持ち主です。
若き天才は日本をどう変えようとしているのでしょうか。

株式会社グラファー
[blogcard url="https://graffer.jp/"]
先月、横浜市内の役所「神奈川区役所」を訪ねると…

滝田務記者、
午前10時過ぎですが、1階の総合窓口の辺りはかなり大勢の人が待っています。

窓口で待っていた人、その数34人。
この部分に生年月日を書く。

転出届を出しに来たというこちらの女性。
終了です。

かかった時間は、
1時間半くらい。

だいぶ待つのがしんどかった。

役所に来ずに手続きをできたらいい。

どこの街でも抱える問題です。

つくば市役所にはこうした状況を変えようとする男性の姿が。
窓口の前に記載台があって、みなさん紙をとって記入している。これを無くしたい。

窓口に行かない行政サービスの実現を目指すグラファーの石井大地さんです。

この日、市長と話を進めていたのは…
つくば市の五十嵐立青市長、
夏に印鑑証明についてはオンラインサービスをやってほしい。

窓口に行かなくても自宅に印鑑証明が届くサービスについてです。
石井さんはスマートフォンを使ったサービスを続々と開発しています。
スマホだけで引っ越しの転出届が終わらせることができる。

専用のアプリをダウンロードし、転出先の住所など必要な情報を打ち込みます。スマートフォンをマイナンバーカードにかざせば終了。
氏名、住所をうつだけなので5分程度。

つくば市や横浜市など10の自治体がグラファーのオンライン転出届を導入しています。

使った感想は、
全然楽ですね。家でできたらすごくいい。

そのサービスを作るグラファーのオフィスを訪ねると黒いパテーションで仕切られた部屋が…

そこには大勢のプログラマーが。

2017年にできたグラファーの社員数は徐々に増え50人ほどです。

現在、開発中だというこちらのサービス。
クラウド窓口と言ってビデオ会議で話しながら申請できる。

実際に見せてもらいました。
男性は自治体職員の役、女性は市民の役です。


画面を共有しながら申請の手続きなどを進めることができます。
さらに、
こちらの方で入力するので名前を教えてください。

自治体の職員が代筆することも可能です。
現在、グラファーのサービスを導入している自治体は全国でおよそ60に上ります。それには理由があります。

ゲームチャンジャーの強み。

早い!安い!

これまで自治体が新たなサービスを導入する場合、自治体ごとにシステムが異なるため開発に時間がかかっていました。

それに対しグラファーは自社でサービスを開発した後、そのサービスを使いたい自治体と契約し、アカウントを渡す仕組みです。導入も早く費用も安いといいます。

従来はシステムを作ってくださいと自治体から企業が発注を受けて、何ヵ月かけて作ってということをやる。

われわれは出来上がったものを用意しておいて契約すれば、比較的早く安く使い始められる。

グラファーのサービスを導入しているつくば市の市長は、
ものすごい短期間で自治体のニーズに合わせたサービスをコストを非常に安く作ってくれる。

今では行政向けサービスを手掛ける石井さんですが、その経歴は異色そのものです。

赤門、東大理科三類に入学。医学部に行く前のステップ。

東京大学医学部に進み、脳科学を学びましたが、その後意外な行動を取ります。

昔から好きだった道を究めた方がおもしろいかなと。

小説家になりたいと決めて文学部に行った。

そして今村友紀のペンネームで小説家デビューを果たします。

その小説は現実と虚構が入り交じる世界で戸惑う少女の姿を描いたもの。2011に文藝賞を受賞しました。


その後、作品を発表する場を求めて小説投稿サイトを立ち上げた石井さん。独学で学んだプログラミングで今は行政サービスのIT化に挑んでいます。

小説を書くにしろ、プログラミングをするにしろ、基本的には同じ。

使う人、読者、受けとる側にどうアプローチするかが大事。

基本的には変わらない。ウェブサービスも一緒。

サイトにやって来て、この順番でこう使って楽しむみたいなことがある。

その設計が似ている。

ただプログラミングの方がやれることが非常に多い。

かなり大きな可能性を感じた。

若きゲームチェンジャーが思い描く未来とは…

行政というのは人々のためにある。

何時間も役所に並ばない社会にしたい。
