北京オリンピックでは2月14日もカーリング女子で日本が中国に勝利するなど連日熱戦が続いていますが、実は今回の開催を機に中国では冬季スポーツの市場が急拡大しています。政府が参加人口を3億人に増やす計画を打ち出したことなどが背景にありますが、その波を逃すまいと国内外から熱い視線が向けられています。
冬スポーツ"3億人市場"に熱視線
上海中心部のショッピングモール。
その一画でいま人気を集めているのが室内スキー教室の「SNOW 51」です。
コンベア式で回転する白いベルトの上をスキーやスノーボードで滑る仕組みです。
一体どんな滑り心地なのか体験してみました。
本物の雪と比べると平らで感覚は違いますが、それでも狭いスペースでスキーの疑似体験ができるのはかなり面白い。
レベルに合わせてベルトの速度や勾配の調整も可能です。年会費は56万円。
9割以上のお客さんがスキー経験ゼロですが、3~4ヵ月の練習で中級レベルに到達できるといいます。
親子で1年以上毎日特訓しているというお客さんは…
スキーは今やファッションのようなスポーツ。
みんなスキーをやっているし、スキー場に行くのも好きだわ。
オリンピックは中国開催なのでみんな楽しみにしている。
現在23店舗を展開するSNOW 51ですが今年中に60店舗まで増やす計画です。
Snow 51の朱驥副総裁。
北京オリンピックの開催に加え、業界関係者やスキー愛好者の力で中国のスキーのレベルを上げたい。
ウインタースポーツ市場の拡大、その背景には政府の後押しがあります。
習近平国家主席。
冬のスポーツの普及率と競技水準はまだ十分ではない。
冬季オリンピックの開催によりこれを飛躍的に高めます。
今回をきっかけにウインタースポーツを全面的に普及させる。
北京オリンピックの招致に際して中国はウインタースポーツの参加人口を増やす計画を打ち出しました。
各地にスキー場やスケート場を建設し、学校の活動に取り入れることも奨励。その甲斐もあってか参加人口は3億人を突破したといいます。
市場の急激な広がりに目をつけた巨額の投資が雪のない上海で進んでいます。
上海郊外にやって来ました。いま私の後ろで建設を行っているのが巨大な屋内スキー場です。
およそ1,100億円を投じ、2023年にオープン予定。
高低差およそ60メートルの人工の山に総延長1キロ弱のゲレンデが作られます。
さらに…
上海耀雪置業の李丙瑞社長。
こちらは水の楽園。
屋上プールの下には室内プールもあり、年中365日営業できる。
巨大なプールリゾートを建設。国際試合にも対応したスケートリンクやホテル、商業施設も併設します。
実は中国国内の屋内スキー場は世界最多です。
日本のバブル期にあった過剰な投資になる懸念もありそうですが…
経済発展により国民の生活の質向上へのニーズが高まっている。
オリンピック開催によってウインタースポーツ人口はますます増える。
開業後の来場者数には自信がある。
中国政府は2025年までに関連市場を17兆円に拡大させようと計画しています。
その巨大市場に海外メーカーも熱い視線を送っています。
ファッションの中心地である北京市の三里屯地区。
こちらのアディダスの店舗ではスキーウェアを着た人形が屋根の上を滑ります。
その隣にはナイキ。さらにデサントといった大手スポーツブランドが軒を連ねています。
"3億人市場"日本企業が参戦!
その激戦区に新たに挑むのが日本のゴールドウイン。
日本国内ではザ・ノース・フェイスなどを手掛けるメーカーです。
去年12月、中国初となる旗艦店をオープン。店内には主力のスキーウェアなどが並びます。
北京支局の佐藤真人記者。
かなり軽い、これでおよそ6,000元、日本円で10万円くらい。
姚琳琳店長。
外側が湿気を逃がす機能を備えた素材。雨や風を防ぐ効果がとても優れている。
高い機能性を売りにするゴールドウイン。壁には栃木県産の大谷石を使い、質感を出すため手彫りで仕上げました。
商品トレイには日光杉を使うなど日本ブランドならではの品質をアピール。
お客さん。
良いブランドだよ。前から知っているけど機能性が高いから間違いない。
ネット通販が急速に広がる中国ですが、体験の場でもあるリアルの店舗を出店することでブランド力を高める考えです。
ゴールドウイン ゴールドウイン事業部長、木南拓也さん。
世界2位の経済大国ということで非常に素晴らしいスピードで成長している市場だと思う。
この北京の店舗をきっかけに中国は広い国土なので他の都市での出店も意欲的に検討したい。