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[WBS] 過熱するドメイン争奪戦!新登場「.shop」の衝撃!

2016年9月14日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

GMOインターネット株式会社

[blogcard url="https://www.gmo.jp/"]

東京・渋谷に拠点を構えるインターネットサービスの会社があります。

GMOインターネットグループです。

2015年の売上は約1,260億円、傘下のネット証券会社、GMOクリック証券は外国為替の取引額で世界一となっています。

.shop

2016年1月、そのGMOインターネットグループの会議室。

社員たちはインターネット上で行われているオークションに参加していました。

売りに出されたのは「.shop」というドメインの販売権です。

最終ラウンド、もういいでしょう。

GMOインターネットグループと「.shop」の獲得を競っているのはアマゾンやグーグルといったインターネット業界の巨人たちです。

そしてオークションが始まって9時間以上が経ったとき…

Oh my god!

ぎりぎり50億円。

約149億円でGMOインターネットグループが落札に成功したのです。

ドメインの落札額としては当時、史上最高額となりました。

熊谷正寿社長

なぜGMOインターネットグループは「.shop」の獲得に執念を燃やしたのか?

GMOインターネット株式会社の熊谷正寿社長に話を聞きました。

「.com」「.jp」というドメインはいい文字列が空いていない。「.shop」は明らかにモノを売っていることを意味している。営業している人にはドメイン名そのものが商標になる。検索した人はドメインを見ることでモノを売っていると判断できる。私は投資としては極めて安いと感じている。

どのくらいで回収できる?

数年で回収が可能だ。

自信の裏にあるのは世界的に加熱しているドメイン名の争奪戦です。

ドメイン名売買額ランキング(現金取引のみ)

順位ドメイン名金額
1位sex.com13億3,000万円
2位fund.com10億2,000万円
3位porn.com9億7,000万円
4位porno.com9億1,000万円
5位we.com8億2,000万円
6位diamond.com7億7,000万円
7位z.com6億9,000万円
8位slot.com5億6,000万円
9位toys.com5億2,000万円
10位clothes.com5億円

1位の価格は13億円を超えています。

9位の「toys.com」、オモチャのドメイン名も5億円を超えました。

購入したのはアメリカのオモチャ量販店「トイザらス」です。

海外ではアドレスを直接入力してサイトを訪れる人が多いので分かりやすいドメイン名はお客様の流入に直結します。

だから価値が高いのです。

販売開始

7月1日、GMOインターネットグループは約49億円で手に入れた「.shop」の販売を始めました。

その「.shop」の販売で重視するのが中国です。

塚原廣哉さんによると

非常にEC(電子商取引)が伸びているマーケットなので「.shop」のど真ん中のマーケットになると思う。

8月、GMOインターネットグループは中国のネット大手、アリババと協力して中国で「.shop」のドメイン名のオークションを開催しました。

出品した20件のドメイン名は完売。

約600万円を売り上げました。

miso.shop

日本でも動きがありました。

販売開始と同時に「.shop」のドメイン名の獲得に動いたのが株式会社ビジュ。

日本全国から味噌を買い付けて販売する味噌の専門店です。

このお店が取得したドメイン名は「miso.shop」。

価格は約150万円でした。

株式会社ビジュの大場鉄矢社長は

一般的なドメイン名からみたらめちゃくちゃ高い。それだけの価値あるものを対価を支払って得たと思っている。

大場鉄矢社長は分かりやすいドメインの取得が味噌を輸出するときの重要なインフラになると考えたのです。

早速、海外展開のためのサイト製作に取り掛かります。

やって来たのはウェブデザイナーの秋馬ユタカさん。

味噌は訳されないので「MISO」のまま海外で通用。

響きがいい「miso.shop」って。

「.shop」という名前が持つ可能性に期待が膨らみます。

ソフトバンクグループ株式会社

[blogcard url="http://www.softbank.jp/"]

一方、大手企業も「.shop」の取得に動いていました。

ソフトバンクグループは今回「softbank.shop」を約13万円で取得しました。

ブランド推進室の網野圭亮さんは

「softbank.shop」は使用しない方針。ソフトバンクショップが全国で2,500店舗以上ある。そこと同一文字列のドメイン名なので第三者にとられてウェブサイトを立ち上げられるとお客様に混乱が生じてしまう。

「.shop」の購入はブランドを守るためだったのです。

危機感の裏にあるのはドメイン名が誰でも自由に取得でき、早い者勝ちなところです。

ドメインの取得

実際に体験してみることになりました。

5分ほどで「heitaro.com」が取得できました。

料金は税抜きで毎年1,040円。これが一番安い金額の設定です。

一方、「wbs.com」と入力してみると

「wbs.com」だと釣りのページに行く。とられたな。

「wbs.com」というドメイン名は海外の釣りの団体がすでに取得していました。

「wbs」のような短い文字列は競争率が高いのです。

定例会議

ソフトバンクグループ株式会社では毎月、社名をドメイン名で不正に使用されていないか調査結果を報告する会議が開かれます。

今回特に確認されたのが出会い系サイト。19件が。

19件!新規取得で?

8月、「softbank」がドメインに入った出会い系サイトが19件見つかりました。

お客様が間違ってアクセスするとブランドイメージを損ないかねません。

ソフトバンクグループ株式会社はこのような問題の対応策として不正に使われそうなドメイン名を100件近く自ら取得しています。

調査の費用など合わせた対策コストは年間1,000万円に及ぶといいます。

新規ドメインは企業の負担か?

非常にコストが余計にかかると企業目線では考えられる。

熊谷正寿社長

防衛目的の購入も覆いドメインの争奪戦。

「.shop」を手に入れたGMOインターネット株式会社の熊谷正寿社長はこの現状をどう見るのでしょうか?

退蔵される(使わず持つ)ドメインは確かにある。インターネット社会の仕組み上やむを得ない。「.shop」はモノを売っている人には価値のあるドメインだから、退蔵されるドメインよりも活用されるドメインになる。

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