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[WBS]追跡 日本は安い?激しさ増す人材争奪最前線[GMOインターネット株式会社]

ワールドビジネスサテライト(WBS)

今年度の最低賃金をめぐる議論がスタートしましたが、実は海外と比較してみると日本の賃金水準は低いです。台湾の半導体大手TSMCが熊本進出に向けて提出した給与が相場より高く番組でも取り上げましたが、待遇の良さで外資系企業を志望する人も少なくないようです。日本の人材が海外に流出する動きは加速するのでしょうか。その最前線を追いました。

日本は安い?"外資"の給与事情

都内に住むこちらの男性、この4月からITエンジニアとして働き始めた新社会人です。給与明細を見せてもらうと…

角谷暁子キャスター

支給総額が85万2,154円。
新入社員?

ITエンジニア
Aさん

そうですね。
基本的に年棒制。ベースの給料が1,000万円

Aさんの場合、ボーナスなどの手当を含めると年収は1,200万円ほどになるといいます。実はAさんが働いているのは海外に本社を構えるIT企業。アマゾンやグーグルといった外資系企業を中心に就職活動を行いました。外資系を志望した理由の一つが給与の高さです。

ITエンジニア
Aさん

理系人材の給与が全体的に低いのが日本の傾向としてはあると思うが、その一例になってしまうのが個人的には嫌だった。

角谷暁子キャスター

日系企業で働くことはどう思う?

ITエンジニア
Aさん

報われないかなと思っていて。
日系の会社に勤めても給与のテーブルがある程度決まっている。

海外を目指す若者はほかにも。松岡玲音さん(30歳)です。

松岡玲音さん

メタ、もともとフェイスブックだった会社のロンドンの支部に転職することが決まった。

松岡さんは東京大学や海外の大学院で学んだ後、今年5月まで3年半、国内のIT企業で働いていました。

角谷暁子キャスター

前の企業で年収どれくらい?

松岡玲音さん

最終的には額面上で1,500万円ぐらい。

しかし、転職先のメタが優秀な人材を確保するために支払う給与はそれをさらに上回っていたそうです。テレビでは明かせないということなので角谷キャスターにだけ教えてもらいました。

松岡玲音さん

だいたいこんなもの。
だいぶ上がりました。

角谷暁子キャスター

夢がありますね。

松岡さんの話を聞いて人材確保にかける外資系企業の本気度を見せつけられた思いがしました。

松岡玲音さん

日本の経済はしぼんできているのもあって、そこを危惧していて。
暗くない社会で働いてみたい。

なぜここまで給与に違いが出てくるのか。人材紹介のエンワールド・ジャパンによると…

エンワールド・ジャパン
キャリアコンサルタント
山下拓さん

まさにIT人材はレッドオーシャン(=競争が激しい市場)。取り合いになっている。
マネーゲームの様相を呈して、あちらの企業がこの年収でオファーを出すならうちはこう出す。どんどん積み上がっている。

日本企業が世界的な人材獲得競争についていけない状況だといいます。

そして、日本の給与の安さはエンジニアだけではありません。大手企業の年収を国際的に比較すると日本は新入社員の頃、アジアの中では高い給与をもらっていますが、出世して課長や部長になっても大きく伸びず台湾やタイなど抜かれてしまいます。この調査を行った人事のコンサルティングなどを行っているマーサージャパンは…

マーサージャパン
伊藤実和子さん

優秀な管理職や経営幹部層の海外流出というリスクが考えられる。
日本としては非常に国力低下につながるようなリスク

"新卒710万円"巻き返す日本企業

こうした流れを変えようと日本の企業でもさまざまな取り組みが始まっています。

IT大手GMOで行われていた人事部の会議を覗いてみると…

GMOインターネットグループ
西山裕之副社長

インターンシップの募集状況はどう?

GMOインターネットグループ
社員

全体で1,600人。
エンジニアは去年の倍ですね。

GMOインターネットグループ
西山裕之副社長

710万円結構効いているね。

会議で出てきたのが710円という言葉。一体どういうことなのでしょうか。

GMOインターネットグループ
西山裕之副社長

23年度に入社する人は思い切って今までの水準の倍、年収710万円にする。
すぐに経営層になれるようなそういう人たちに絞って採用。

GMOインターネットグループは来年春に入社する新卒社員から給与を年収710万円に設定。入社から2年間はこの額を保証します。リモートワークの活用などで浮いたコストを人材投資に回すことで優秀な人材を確保する狙いです。さらにこちらの企業では新入社員だけでなく、社員全体の給与に関しても…

GMOインターネットグループ
西山裕之副社長

これ(=平均給与率)を仮に倍にできれば10年で給料を全社員倍にできる。
そのぐらいの目標を経営陣としては持ちたい。
人材獲得は今ものすごく熾烈な戦い。外資も含めてしのぎを削ってやり続けないといけない。

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