納豆ですが原材料のところを見てみると「丸大豆(遺伝子組換えでない)」と表示されています。
遺伝子を組み替えた農産物や、それを使った食品にこうした表示制度(食品衛生法・JAS法)が設けられたのが2001年のことです。
導入から15年以上が経った今、実際に表示を見たことがあるという人は7割を超えています。
しかし表示の対象となるのは大豆、トウモロコシ、なたね、パパイヤ、ジャガイモ、綿、アルファルファ、テンサイの8種類の農産物と、それを原料に使った33種の加工食品のみです。
実は遺伝子を組み替えた農産物を使っていても表示されていない食品も数多くあります。
この遺伝子組み換え食品に対して国は安全性を確認しているとしていますが、それでも「不安がある」と答えた人は4割にのぼっています。
そこで遺伝子組み換え食品に対して消費者庁は表示義務の対処を見直すための議論を始めました。
遺伝子組換表示制度に関する検討会
4月26日に始まった遺伝子組換表示制度に関する検討会。
表示が義務付けられる対象の食品を拡大することを念頭に議論が進められます。
消費者行政担当の松本純大臣は、
消費者の自主的で合理的な選択に資するよう遺伝子組み換え表示制度について議論をいただきたい。
遺伝子組み換え食品の表示を巡っては、これまでも消費者団体から対象を拡大や表示を分かりやすくすることを求める意見があがっていました。
たねと食とひと@フォーラムの西分千秋事務局長は
消費者が知ったうえで選択することが大事。消費者が選べるようになるには、どういう表示ができるかという議論になればいい。
一方、食品メーカー側の日本植物油協会は、「流通している遺伝子組み換え食品は国が安全性を確認したもの、突然新たな表示が表示が加わると消費者の不安をあおることにもなる。」などと慎重な対応を求めています。
ただ表示の見直しは避けられない別の事情もあるみたいです。
農水省関係者は、
TPPもあり、今後食品の表示は国際基準のルールが求められる。またアメリカも表示対象の拡大を決めた。
元々、規制が厳しいヨーロッパに加えアメリカでも2016年に表示を義務付ける法律が成立。世界的な流れになりつつあります。
遺伝子組み換え食品
現在、日本で遺伝子組み換え食品の表示義務があるのは豆腐、納豆、味噌などの大豆を使用した製品、さらにポップコーンやポテトチップスのようにコーンやジャガイモを使ったものです。
一方、表示の義務がないものは、醤油や酢などは原料に大豆やコーンを使っていますが加工の際に遺伝子が分解される食品として表示義務の対象外になっています。
食用油の原料を見てみると食用なたね油と書かれています。実は食用油の原料となる「なたね」ですが、ほとんど輸入に依存していています。多くはカナダから輸入されています、そのカナダでは年々遺伝子を組み替えた「なたね」の栽培が増えていて、今ではほとんど遺伝子組み換えという状態になっています。
これから先、仮に表示が義務化された場合に「遺伝子組み換えでない」商品を求める消費者に食用油のメーカーは対応できるのでしょうか?
平田産業有限会社
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福岡市から車で1時間ほど、食用油を製造・販売する平田産業有限会社。創業115年の老舗です。
原料となる「なたね」。その特徴を安達和秀工場長は、
遺伝子組み換えをしていないので、オーストラリアの南の島と国際産直契約をして搬入している。
平田産業ではカナダ産を使っていましたが、カナダが遺伝子組み換えを導入したため遺伝子組み換えを行っていないオーストラリア南部で生産されたものに切り替えました。
平田産業は遺伝子組み換えの表示について食用油にも表示対象を広げてほしいと訴えます。
平田繁實社長は、
「この商品は一切使っていない」、「使っている」。そこで消費者が見る。そうしないと分からない、今の状態じゃ。
ただ遺伝子組み換えではない「なたね」は値段が高く、商品の販売価格は大手メーカーの2倍近くになります。
それでも需要は確実にあるといいますが課題も、
原料の確保が非常に厳しくなっている。今はオーストラリアだが、その先を見据えて違う産地も探している。
食品メーカーとしても消費者に対して選択肢は提供したいが肝心の遺伝子組み換えでない材料がどんどん手に入らなくなっているジレンマを抱えています。