世の中にイノベーションを起こそうとするベンチャー企業に焦点を当てるイノベンチャーズ列伝。
お金がなくても誰でも車が持てる仕組みを普及させ、アジアで1万人の人生を変えた日本のベンチャー企業があります。
今後、日本でも展開するというこの仕組みは一体どのようなものなのでしょうか?

Global Mobility Service株式会社
[blogcard url="https://www.global-mobility-service.com/"]
フィリピンの首都マニラ。

日本では見慣れない三輪自動車が街中に溢れています。

市民の足として活躍するトライシクルです。

フィリピン国内ではおよそ400万台が走っているといいます。

アントニオ・ナギさん
ドライバーの一人、アントニオ・ナギさん(44歳)。

ドライバー歴は14年、この間ずっと悩んできたことがあります。

トライシクルを買うお金がなかった。

仕方なく借りていた。

そのトライシクルのレンタル料は収入の3分の1を占め、真面目に働いても手取りは少ないといいます。

ただ多くのドライバーは車両を買いたくても信用力が低くローンを組めないのです。

とろこが最近、ナギさんの生活が変わったといいます。

こちらが自宅です。

この部屋に妻のアルマさんと息子3人の5人で暮らしています。
子どもたちが「暑い」と言うのでクリスマス前に扇風機を買った。

最近、手取りが2倍に増えたのです。

息子が欲しがっていたバスケットボールシューズも買うことが出来ました。
ふらっと買い物に出掛けて子供が必要なものを買えるようになった。

実はナギさん、あるローンを使って3年前にトライシクルを購入。

返済を終えたことで手取りが一気に増えました。

この新型ローンで車両を購入できた人はフィリピンでおよそ1万人に上るといいます。

その仕組みを作ったのがグローバルモビリティサービス、日本のベンチャー企業です。。

中島徳至社長
創業した中島徳至社長(53歳)です。

信用力の低いドライバーにローンを提供するためにある仕組みを作りました。
私たちが開発したMCCSというユニット。この車両についている。

このMCCSと呼ぶ装置をトライシクルに取り付けます。
これによって遠く離れた場所からエンジンを制御できます。

試しにスイッチを赤にすると…

エンジンをスタート。

エンジンが全く動きません。
ローンの返済が滞ったら車両を止めてしまうのです。

ただし、
入金すると約3秒で車が動く。

コンビニエンスストアなどで入金すれば、すぐに車両が使えるようになるのです。

そのため貸倒率は1%未満という驚異的な低水準。

この仕組みが信用力の低い人にお金を貸すことを可能にしているのです。
中島さんは元々このビジネスをやろうとフィリピンに来たわけではありませんでした。
なんでフィリピンに来たのだろうと当時は思った。

かつて中島さんはEV(電気自動車)のメーカー「ゼロスポーツ」を経営していました。

しかし、受注した大型案件が破談となり事業譲渡を余儀なくされました。

日本でかなり悔しい思いをした。

フィリピンに来たら、みんな頑張っている。

僕にできることはあると思った。

そこでEVで培った遠隔制御技術を生かしてフィリピンで再起したのです。

マニラにある国際会議場。

1,000人以上が入れる会場のステージに中島さんが立っていました。
乾杯!

これはローンを完済したドライバーやその家族を招いたパーティー。

先ほどのナギさんも祝福を受けました。

中島さんもドライバーと喜びを分かち合います。
そして手紙を読み始めたこちらの女性…

ドライバーである父親の収入はかつて不安定だったと言います。
お父さんを誇りに思う。

お父さんは自分のトライシクルを持つためGMSに加入して一生懸命働いてくれた。

いろんな方たちの人生を変えていますね。

人を幸せにするのは自分が生きている証。

だから僕は頑張る人の味方になりたい。

最後は参加者を盛大に見送りました。
株式会社大垣共立銀行
[blogcard url="https://www.okb.co.jp/"]
所変わって岐阜県大垣市。

そこに中島さんの姿が…

日本でも次の展開に動き出していました。
行き先は岐阜県を地盤とする大垣共立銀行です。

フィリピンで成功した新型ローンを日本でローンを組めなかった人にも広めようとしているのです。
大垣共立銀行の境敏幸頭取、
この地区は車がないと生活ができない。

車を通して金融が果たすべき役割を少しでも間口を広げて。

チャレンジできる機会をもらった。

4月以降、新サービスを東海3県からスタートできる。

大垣共立銀行はこの春、GMSと提携した新型マイカーローンの取り扱いを始める予定です。

中島さんは2030年までに国内外の1億人に金融サービスを提供したいと考えています。

金融にアクセスできなかった人にしっかりとサービスを提供する。

そういうテクノロジーを僕はサービスで提供したい。

これから様々な地域や国でサービスを提供するため頑張りたい。
