ロシアによるウクライナへの侵攻の口実がウクライナ東部にあるドンバス地方に住むロシア系住民の保護でした。そして今、隣国のモルドバでも同じことが起こる可能性が指摘されています。
実は14年前、ジョージアでも住民を保護するとしてロシア軍が進行し、南オセチアなど2つの地域を独立した国家と承認しました。そして今もロシアによる実効支配が続いています。このジョージアでも今後、攻撃の対象になるのではないかと緊張感が高まっています。
ウクライナ侵攻の次は…緊張感高まるジョージア
ロシアの隣国ジョージア。人口400万人の小国です。
現在国土の20%をロシア軍に占拠されています。
取材班はロシアの支配地域、南オセチアとの境界に向かいました。途中何ヵ所も国境警察のチェックポイントを越えた先には…
中村航記者
ジョージアの端っこですが、フェンスの向こう側に行くとロシアに支配されているエリアです。
フェンスには有刺鉄線が張られ、上には大量の監視カメラも。ジョージア側の警護なしでは近づくこともできません。
中村航記者
こうみると普通の都市ですが、ここで2008年から激しい戦闘があったということです。
フェンス越しに見えるのがロシア軍が駐留する南オセチアです。現代的な建物はなく、赤い屋根の建物が目立ちます。
国際的には承認されていない南オセチア共和国の旗も見えます。
南オセチアとの境界線から200メートルほどの所に博物館「エルグネティ 2008年博物館」があります。
焼け焦げたおもちゃ、ガラスの容器、2008年の紛争でロシア軍は新ロシア派地域の占領に加え、ジョージアに空爆を行いました。
自宅の一部を博物館にしているリア・チュラチーゼさんが当時の様子を話してくれました。
エルグネティ 2008年博物館
リア・チュラチーゼさん
占領しに来たロシア軍はこの村だけで12人殺した。
隣人だった、障がいのある90歳の老人をベッドごと家と一緒に燃やした。
ジョージアがソ連だった時の記憶も鮮明で常にロシアを警戒しているといいます。
エルグネティ 2008年博物館
リア・チュラチーゼさん
ロシアに支配されたらどんな目にあうか知っている。
だからジョージアの国も、私も、ウクライナ支援をする姿勢を貫く。
境界線近くのジョージアの村ニコツィ。ここも14年前、ロシア軍に空爆されました。
この芸術学校ではいま戦闘を知らない世代の子どもたちが学んでいます。
子どもたちを預かるイサイア司教も目の前のロシア軍の脅威を感じながらウクライナでの戦争の行方を見守っています。
ジョージア正教会
イサイア主教
ロシアは何世紀も勝ち続けたため犯罪行為の責任を負ってこなかった。
今回はロシアが代償を払う前例となることを望む。
一方、南オセチアに住む記者にも話を聞くことができました。
南オセチア在住ジャーナリスト
ザリーナ・サナコティさん
ロシアは南オセチアにとって救世主のイメージだ。
ロシア軍が来なければ紛争で殺されていたと全員思っているからだ。
ただ、新ロシア派ではない別の記者からは「全てが監視されている」「ジョージアが絡むことは常に安全が懸念される」とのメッセージが取材班の元に届いていて実態を掴むのは困難です。
南オセチア在住ジャーナリスト
ザリーナ・サナコティさん
ウクライナでのロシア軍の行為について批判も支援も難しい。
勘違いしないで欲しいがロシア軍の行為について話したくない。