
8日に投開票が迫ったアメリカの中間選挙。歴史的なインフレを背景に野党・共和党が議会の上院・下院の戦いでともに勢いを増す中、上院の勝敗を最終的に決めるといわれているのが南部のジョージア州です。トランプ前大統領が全面的に支援する共和党の候補者か、現職の上院議員の民主党の候補か、どちらが勝利するのか、その現場を取材しました。
アメリカ中間選挙の命運握る
ジョージア州を制するのは?
アメリカ南部ジョージア州のアトランタ。中間選挙の投開票日を4日後に控え、ある現象が起きていました。
ニューヨーク支局
植村友里記者

ジョージア州にある投票所ですが平日の朝9時から期日前投票をするために多くの人が並んでいます。
ジョージア州では10月17日から期日前投票が始まり、すでに250万人以上が投票。4年前の中間選挙を2割以上上回る記録的なペースで投票が進んでいます。
投票した人

投票しなければ文句は言えない。
投票した人

みんなが注目している証拠だ。
投票することが大事だとみんな思っている。
ジョージア州は長年、共和党の牙城とされてきたものの2020年の大統領選挙では民主党のバイデン大統領がおよそ1万2,000票の僅差で勝利。
今回の中間選挙では敗北したトランプ前大統領が推薦し、強く後押しするある候補が勝利するのか注目されているのです。
司会者

ハーシェル・ウォーカーです!
それが共和党の上院議員候補、ハーシェル・ウォーカー氏です。ウォーカー氏はアメフトの元プロ・スター選手。
トランプ前大統領の長年の親友で、トランプ氏の強い要請を受け出馬しました。
共和党
ハーシェル・ウォーカー候補

たった2年の間にバイデン大統領は何を与えてくれた?
2年の間にもたらしたのは記録的なインフレだ。
高まるインフレなどで民主党への不満を訴えるウォーカー氏。しかし、ある疑惑の渦中にいます。
先月行われた会見。
被害を訴える女性

ウォーカー氏はうそつきで上院議員にふさわしくない。
彼は私に中絶をすすめ、その資金を提供した。
ウォーカー氏は人工妊娠中絶の原則中止を政策として掲げていますが、過去の複数の交際相手が妊娠した後、ウォーカー氏に中絶を求められ、その資金も提供されたと主張しているのです。
ウォーカー氏はこれらの疑惑を否定。しかし…
ウォーカー氏の息子

家族思いの候補だって?
彼は4人の女性とそれぞれ子どもがいて、誰一人育てなかった。
すべてがうそだ。
ウォーカー氏の実の息子が訴えたのは…
ツイッターに自ら投稿した動画で訴えるのはウォーカー氏の息子、クリスチャン・ウォーカー氏。
父親への投票を考え直すよう呼びかけたのです。
ウォーカー氏の息子

これまで壊してきた人生についてうそつくのはやめろ!
共和党はよく考えろ!
一方、ウォーカー氏の疑惑が浮上するとトランプ氏は…
トランプ前大統領

民主党は素晴らしい人間の将来をつぶそうとしている。
と擁護。
ウォーカー氏をめぐり有権者は…
有権者

中絶を求めたことが本当でも許す。
私が批判することじゃない。
国のためにやると言ったことをやってくれればいい。誰でも間違いはある。
有権者

何よりインフレに苦しめられている。
退職後の貯蓄が消えてしまう。
ウォーカー氏のスピーチを聞いて支持者になった。
一方…
民主党支持者

ウォーノック!ウォーノック!
ウォーカー氏に対抗するのは民主党の現職上院議員、ラファエル・ウォーノック氏。中絶の権利を養護する立場です。
民主党
ラファエル・ウォーノック候補

ウォーカー氏は自分のスタッフにさえ病的なうそつきだと呼ばれている。
ウォーカー氏は上院議員としてふさわしくないと繰り返し強調。自らへの支持を訴えました。
民主党
ラファエル・ウォーノック候補

ジョージアの有権者、特に女性がかわいそうだ。
最新の世論調査では支持率はほぼ拮抗。ウォーカー氏の疑惑が浮上した直後、一度支持率が低下しましたが、その後すぐ持ち直したのです。
ウォーカー氏を支えるトランプ前大統領は週末、自らも再激戦州をめぐり支持者にこう呼びかけました。
アメリカ
トランプ前大統領

もうあと本当にすぐに皆さんにとても良いお知らせができると思う。
2024年の大統領選への出馬を間もなく宣言することを匂わせたのです。
アメリカのメディアは中間選挙後の来週にもトランプ氏が次期大統領選挙への正式な出馬表明をすると伝えています。