オンライン医師相談システムAskDoctorsの協力で約1,000人を対象に番組独自で調査をしたところ6割近くが待ち時間に不満を持っています。
さらに実際に通院している病院でどれくらい待つのかを聞いたところ30分~1時間以内という人が約7割もいました。
診察時間が5分以内だったという人が全体の7割を占めています。
これが日本の医療の現実です。
この問題の原因となっているのが医師の数です。人口1,000人あたりに医師が何人いるかのOECDの調査では日本は2.4人。これは調査できた加盟国の中でいうと32カ国中28番目、下から数えたほうが早い順位です。
一方で医師の数は簡単には増やせません。
こうした医療の問題を技術の力で解決しようという企業を取材しました。
GEヘルスケア・ジャパン株式会社
[blogcard url="http://www3.gehealthcare.co.jp/"]
7月6日に開かれたGEヘルスケアの新型医療機器の発表会。
多田荘一郎社長がポケットから取り出したのはスマートフォンではなく、ポケットサイズの超音波診断装置「Vscan Extend」、いわゆるエコー装置です。
端末からの伸びたケーブルの先にはプローブと呼ばれる肌に触れる部分がついています。
診断装置はWi-Fiにも対応していて画像データを離れた場所にいる医師に送ることもできます。
「通常、どんなかたちで使われますか?」
東京ベイ・浦安市川医療センターの渡辺弘之ハートセンター長は、
心臓は胸の真ん中からよく見られる。ここに当てると心臓の構造を見ることができる。学生、ナースでも使える。スイッチを入れるだけだから。
心臓の映像では弁が開閉する様子もはっきりと捉えることができます。
「パッと見は簡易的な装置に見えますが、画質も含めて十分ですか?」
初期診断として尿器のあるなしをある程度推定するには十分。
さらに血液の流れを色で表すこともできます。赤は心臓に戻る血液、青は心臓から出る血液が表示されています。
心電図では心臓の動きは分からない。診察には限界がある。超音波診断装置を当てるだけで動きが良いか悪いかが分かる。画像を見ることで患者に安心してもらえる。
早期診断につながり、医師不足にも一役買いそうなこの新型装置。
災害時にも活用できるといいます。
多田荘一郎社長は、
災害地における医療は限られるが、エコノミー症候群などの症状はエコーがあればある程度見ることができる。今まで見ることができなかったところで使うことができる。
聖路加国際病院
[blogcard url="http://hospital.luke.ac.jp/"]
技術の力で医療のサービス向上につなげる動きは東京都内の聖路加国際病院でも。
地価2階にある臨床工学室は点滴用ポンプなど小型の医療機器、約2,000台を保守・管理しています。こうした機器は複数の診療科をまたいで使われていて課題がありました。
聖路加国際病院の臨床工学室、秋葉博元さんは、
漠然といろいろなところに放ったらかしになっていたり、病棟によっては専用のストック棚を設けたり、その管理はまちまちでした。
そこでこの病院が導入したのが素材メーカー帝人が開発した「レコピック」という医療機器管理システム。
電波を発するシートを保管棚に置き、医療機器に電波を受信するICタグを貼ることで、どの課にどのような医療機器があるかをパソコン画面で把握できます。
例えば内科で保管していた機器が急遽足りなくなった場合、これまで看護師が地下2回の臨床工学室まで取りに行っていました。システム導入後は必要とする機器の場所がパソコンで確認が分かるため近くの課から機器を持ってくることができるようになりました。
聖路加国際病院は地上10階、ここは地下2階で実質12階ある。往復20分もかかるケースもあるので、その時間をいかに短縮するかは大事なこと。
システム導入から1年、看護師が臨床工学室に移動する回数が約85%削減されました。これにより看護師による患者への対応が拡充したといいます。
さらに、
短い時間で機械を準備することができて結果的には患者の安全につながる。
またこうした効率的な運用で今後約2,000万円の医療機器を削減できるといいます。
最新技術で無駄を省きながら医療サービスの向上につなげる動きは今後も加速しそうです。