ふるさと納税
制度が簡素化されたことで急速に利用が広がっているふるさと納税に新しい現象が起きています。
ふるさと納税の2015年度の推計は前年度の3倍以上の1,300~1,400億円になる見込みです。
ふるさと納税として自治体に寄付をすれば返礼品がもらえますが、返礼品として商品券や旅行券などの金券を渡す自治体に人気が集まる状況が起きています。
大多喜町
千葉県南部の大多喜町。
小江戸とも呼ばれ古い古い建物が並ぶこの町で税収が急激に伸びています。
町には至るところに黄色いのぼりが立っています。
2014年12月から「ふるさと感謝券」と呼ばれる金券を配り始め、2015年度の寄付額は前年度と比べ40倍近い約18億円に急増しています。
大多喜町は過疎地でいいんじゃないの、少しでも活性化につながる。
週末になると町には金券を使おうと多くの人が訪れます。
電器店を訪ねると地元でない首都圏からもお客様が来るといいます。
金券を使った買い物は2~3万円で掃除機やドライヤーなどが売れすぎといいます。
われわれは恩恵を受けている方、だから続けてもらいたいし悪くない制度。
ふるさと納税の仕組み
好きな自治体に寄付すると返礼品がもらえるふるさと納税。
年収500万円のAさんが自治体に6万円の寄付をすると自治体からは約3~4割の返礼品が貰えます。
さらに寄付金の6万円の内、自己負担金の2,000円を引いた5万8,000円が所得税と住民税の控除の対象になります。
利用者には減税効果と返礼品、自治体にとっては税収が増えます。
地方活性化のための制度です。
ふるさと大多喜百貨店
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大多喜町では金券を使用するお客様を狙いネットショップが地域外から出店しています。
お店を訪ねても営業している気配はありません。
ふるさと大多喜百貨店では大多喜町の感謝券で購入できる高級時計やブランドバックなどを販売していました。
4月以降は行政の指摘を受けて店舗に足を運ばないと変えない仕組みに変更しました。
総務省
商品券や家電製品などを返礼品として扱っている自治体に寄付が多く集まっている実情を受けて総務省は4月、資産性の高い商品券や家電製品などを返礼品にしないよう自治体に求めました。
大多喜町では返礼品の割合をこれまでの7割から6割に引き下げましたが、金券での返礼を続けています。
勝浦市
こうした状況を受けて大多喜町の隣の勝浦市も金券の導入を始めました。
勝浦市企画課の軽込一浩課長は
大多喜町は隣なので刺激になった。参考にして独自の感謝券を発行した。
その名も「かつうら七福感謝券」。
1万円寄付をすると7,000円分、2万円の寄付だと1万4,000円分が返礼されます。
「かつうら七福感謝券」は市内の雑貨店やコンビニ、タクシーなど幅広い業種で使用できます。
お礼品のメニューに掲げられない小さな商店でも利用できるようにした。
隣町の金券に対抗するカタチとなった勝浦市。
総務省の指摘については
金銭類似性の高いものは遠慮いただくとのことだが、利用が市内に限定しているので総務省が掲げる商品券に該当しない。