西日本豪雨を支援する動きでいま「ふるさと納税」に注目が集まっています。
大手サイトの「ふるさとチョイス」のホームページ。

被災地に寄付するページが立ち上がっていて午後11時現在で7億9,000万円ということで8億円近くの寄付が集まっている状況です。

このふるさと納税の寄付について街で話を聞いてみました。
ふるさとの納税
「ふるさと納税」の寄付は?
通常はどこに届けているか分からないのでハッキリしてくれたらありがたい。

自分のお金がどう使われるか分かるからサイトを使うと思う。

こちらのサイトを見てみると、自治体ごとに募集のページがあるので自分が寄付したい自治体に直接寄付が出来るという事で利用が増えています。

ただ、それだけではありません、
ふるさとチョイスの運営会社と自治体が協力して被災地の負担を減らす「代理寄付」という仕組みを作ったことでより多くの寄付が集まるようになっています。
その裏側を取材しました。

岡山県倉敷市
[blogcard url="http://www.city.kurashiki.okayama.jp/"]
被災地のひとつ、岡山県倉敷市。

7月18日も被災者への支援活動が続けられています。
星佑紀記者、
真備町にある救援物資の集積所ですが、中では物資の分配作業が行われています。

作業をされている方を見ると埼玉県と書かれています。

作業をしていたのは埼玉県や奈良市の職員たち。

県内外のほかの自治体から来ていました。
倉敷市の職員だけでは人手が足りないからです。
さらに職員の業務の負担になりそうなのが「ふるさと納税」による寄付金への対応。

復興には不可欠な寄付金ですが、一方で受領証明書やお礼状の送付といった多くの事務作業が発生します。

しかし今回その負担が軽減されているといいます。
倉敷市税制課の髙田秀則課長主幹は、
茨城県境町の自治体の方にやってもらえるということで寄付の受け付け後、事務を即時対応してもらえるので大変ありがたく思っている。

茨城県境町
[blogcard url="http://www.town.sakai.ibaraki.jp/"]
茨城県の境町役場。


実は境町は豪雨災害で被害を受けた岡山県倉敷市と広島県向けの寄付を代理で受け付けています。

寄付の証明書の発行が自治体の職員にとっては大変な作業。

煩雑な受付作業を引き受ける境町。
7月18日午後9時時点で7,600件以上、1億4,000万円以上が集まっています。

境町の橋本正裕町長、なぜ他の自治体の請け負っているのか?

被災直後に職員がやることは罹災証明や消毒、安否確認。

今やるべき仕事がいっぱいある。

どこか業務を代わってあげることで他の仕事ができる。

実はふるさと納税の代理受付の生みの親は橋本町長です。

2015年の「平成27年9月関東・東北豪雨」。

境町もおよそ1割が浸水するなど大きな被害を受けました。

こちらが関東・東北豪雨の際に寄付を頂いた災害支援の受領証明書になります。

被害直後、境町にもふるさと納税が殺到。
1,000件以上の寄付がありましたが、これが職員の負担になったといいます。

ふるさと納税を頂くということなので感謝の気持ちはあるが、12月までに証明書を発行したり、受け付けたり、職員はそういう業務に従事しなければならない。

その辺は課題だと思った。

関東・東北豪雨の半年後に起きた熊本地震。

その時、橋本町長はふるさとチョイスを手掛けるトラストバンクの須永社長に事務手続きを代行する仕組みを提案したのです。

境町は熊本などの被災地に代わってふるさと納税の代理受付を実施。
2週間で5,000件以上、1億円以上の寄付金を被災地に届けました。

被災した自治体の職員は大変だと思う。

できるところが代理で受け付けて全額届ける。こういう仕組みが全国に広がってほしい。

ふるさとチョイス
[blogcard url="https://www.furusato-tax.jp/"]
実際、ふるさとチョイスのサイトを通じて今回、代理寄付をしている自治体は全国で21ヵ所に上ります。

その中には2016年に熊本地震があった熊本県や同じく2016年に鳥取県中部地震があった鳥取県など、過去に被災した自治体が積極的に代理寄付に取り組んでいるのです。
そのなかで7月18日、ふるさとチョイスを運営するトラストバンクは新たな取り組みを発表しました。
災害支援における即時受付です。

トラストバンクの須永珠代社長は、
被害が甚大であると確認された場合、弊社の判断で専用ページをオープンさせる。

タイムロスを埋められる。

これまでの仕組みは被災した自治体から要請を受け、やり取りをした後、寄付専用ページを掲載していましたが、やり取りをする中で掲載するまでに時間がかかっていました。

新しい仕組みではまず自治体と即時受付の契約を行います。

災害発生後、自治体と連絡がつかない場合でもトラストバンクが特別警報などから判断し寄付専用ページを自動で立ち上げます。

「すぐに受け付けられないと困るのか?」
被災直後は自治体は対応に追われている。寄付金の観点では直後のほうが集まる。

実は寄付金を集めるには世間の関心が高い災害直後から動くことが重要です。

過去には災害発生直後に専用ページを立ち上げた自治体と5日後に立ち上げた自治体の間には寄付金に7倍もの差がついたこともあるといいます。

今回の西日本豪雨でも災害発生から2日後に専用ページを立ち上げたのは1自治体。
茨城県境町が代理で開設しました。
多くの自治体は災害発生から4日以降にページを開設。

時間のロスが発生していたのです。
西日本豪雨で被害を受けた京都府は即時受付の契約を結ぶことで合意しました。

須永社長は今年度中に47の全都道府県と「即時受付」の契約を結ぶことえを目指します。

「連携の動きが広がっていくと考えている?」

今回の豪雨でも85を超える自治体が災害支援の仕組みを活用している。

今後も代理寄付・即時寄付が多くの自治体で広がっていくと考えている。
