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[WBS]【イノベンチャーズ列伝】「水の底」は巨大市場!?

2020年4月14日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

世の中にイノベーションを起こそうとするベンチャー企業に焦点を当てるイノベンチャーズ列伝。

今回の舞台は海底です。海底で人類が見たことのある領域はテニスコートに針1本分と例えられるほど僅かでほぼ未知の世界です。

今回は人類未踏の水の底で新たな産業を起こそうとするベンチャー企業が登場します。

株式会社FullDepth

[blogcard url="https://fulldepth.co.jp/"]

神奈川県藤沢市。

あるプロジェクトが動いていました。

潮はいまどっちに走っている?

海に投入したものが今回の主役「水中ドローン」です。

水中ドローン

空ではなく水の中を漂う。そして深く潜る。

深海250メートル。海底のリアルな姿を映し出します。

それを見ているのは新江ノ島水族館の飼育員たち。

カナドかな。

おもしろい。

歩いている。

探している。エサを探している。

新江ノ島水族館の展示飼育部、八巻鮎太さん、

深海にどんな生物がいるか観察して調べている。

網で取るとどういう形で生きていたか分からない。

見ることができるのは水中ドローンの強み。

従来はこうした深海調査を自前でする手段がありませんでしたが、水中ドローンの登場で頻繁に行うことが可能になったといいます。

この水中ドローン、およそ28キロと2人いれば使える手軽さです。

これを開発したのがベンチャー企業「フルデプス」の創業者、伊藤昌平さん(33歳)。

深海を自分の作ったロボットで見たいというのが最初のきっかけ。

伊藤昌平社長

海へのこだわりは子供時代から。たまたま好きになったものが深海魚でした。

筑波大学でロボットを研究していた2009年、小さい頃に図鑑で見ていた深海魚とテレビで再会しました。

深海生物がテレビに映っていて、いつも通り面白いなと思った。

何で写しているんだろうと、自分で作ってみようと。

深海を調査する水中ドローンの開発を始めると意外な事実が分かってきました。

深海に限らず、陸の近くや浅い海を含め、海底は全て未知の成果だったのです。

水中ドローンを使って簡単に当たり前に水中のことが分かるようにできれば人の役に立てるのでは。

彼らの拠点を訪ねました。

中に入るとまず目に飛び込んできたのが…

オフィスの1階に実験用のプールを設置している。

「いつでも実験ができるように?」

はい、そうです。

ドローンを操作する手元をよく見ると、

ゲーム用のコントローラー。

右側のレバーを上げると浮上し、下げると沈む。もちろん旋回もできます。

2時間も練習をすれば自由自在に動かせるようになるといいます。

カメラはフルハイビジョンの高精細。

推進機は7つ搭載しています。

ただ意外にも開発で一番難しったポイントは…

水中は電波が通らないので有線で船や陸とつなげて使用する。

潮の流れでケーブルがたわみロボット自体が浮いてしまう。

波の抵抗を受けない極細で、かつ切れにくいケーブルを開発。

このケーブルだからこそドローンが自在に動けるのだといいます。

海の産業革命

3月下旬、伊藤さんが向かったのは、

立ヶ畑ダムを見に行きます。

神戸市の水道用に建設された100年以上の歴史があるダム。

ここになぜ水中ドローンが?

潜水士の担い手不足、人手不足が問題になっている。

水中の作業は過酷なのでどんどん人が減っている。

水中ドローンで機械化できないか。

ダムや港などの水中インフラに欠かせない老朽化の点検。これまでは潜水士が全部目で確認するという膨大な作業でした。

しかし、水中の様子をドローンが先に確認し、補修が必要な時だけ潜水士が潜れば人手不足を解消でき、コストも減らせます。

そのほか魚の養殖施設へ育ち具合をチェックするなど漁業の現場でも活躍し始めています。

さらに将来は海底の姿をデータ化することで海の産業革命を起こそうとしています。

「ストリートビュー」のようなものを海底で完成させるのが夢。

水質、海流、環境情報、資源はどのくらいあるのか、どのくらい汚れているのか。

今後も人は海と付き合い続けていく。水中ドローンは必要になるのでは。

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