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[WBS]福島原発事故の避難者訴訟!なぜ?最高裁「国の責任」否定?

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東京電力・福島第一原発の事故による避難などについて最高裁が6月17日に国の責任を認めないとする初めての司法判断を示しました。

原発事故で各地に避難した人たちが国と東京電力を相手にこれまでに損害賠償を求め全国でおよそ30もの裁判を起こしていました。

電力会社について過失の有無にかかわらず賠償責任を負うことが法律で定められていて、福島・群馬・千葉・愛媛で起こされた4つの裁判で東京電力はおよそ14億円の賠償責任が確定しています。

一方、国の責任については二審で「ある」「ない」で分かれていました。

争点は国が巨大津波を予測できたか、そして東京電力は対策をとらせれば事故は防げたのかの2点です。

最高裁はなぜ今回国の責任を認めなかったのか、そしてこの司法判断が今後どのように影響していくのでしょうか。

原発訴訟 国の責任「認めず」!最高裁判決に避難者怒り

原告側
馬奈木厳太郎弁護士

全く受け入れられない。
結論を導いた判断の過程が全く被害に向き合っていない。

判決を受けて憤りをあらわにする原告側弁護士。

最高裁は6月17日に福島第一原発事故の避難者をめぐる裁判で国の責任を否定する統一的な判断をしました。

判決では国が東京電力に必要な対策をさせていたとしても事故が発生する可能性が高かったとしました。

司法担当
野村博佳記者

争点は国が巨大な津波を予測できたのか、そして東京電力に対策をとらしていれば事故を防げたのか。
このうち津波を予測できたのかについては判断を示しませんでした。
一方、対策をとらせていれば事故は防げたかについては否定しました。その理由として実際に発生した自身が政府の機関が公表した予測などよりもはるかに規模が大きく対策をさせていたとしても津波による大量の浸水は避けられず事故を防ぐのは困難だったと判断しました。

愛媛訴訟原告
渡部寛志さん

思いもしない、考えたくもない判決が出てしまい非常にがっかり。
東京電力だけに責任を負わせ終わらせてしまう。
社会の誤りも正せないまま終わってしまう。

群馬訴訟原告
丹治杉江さん

国の責任を認めないんだと思った途端、裁判長の声は耳に入ってこなかった。
こんな国に原発を動かす、規制権限を持つ資格はない。

この判決に政府は…

松野官房長官

国の規制権限不行使が違法とはいえないとする判決が出されたと承知をしている。
引き続き被災れた方々に寄り添って福島の復興再生に全力で取り組みたい。

原発事故の賠償問題に詳しい大阪公立大学の除本理史教授は今回の判決で原発の安全面への影響も注視する必要性があると指摘します。

原発事故の賠償問題に詳しい
大阪公立大学
除本理史教授

国の責任が認められなかったことで3.11前の原子力安全規制は問題はなかったとなると、反省して改善していく方向に向かっていなかい。
原発を再稼働していくことがあった場合、どのような負の影響をもたらすのか懸念される。

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