ガイアの夜明け ビジネス関連

[ガイアの夜明け] リメークで生まれ変わる!日本の「伝統」(1)

2016年8月9日

リメークで生まれ変わる!日本の「伝統」

株式会社ふく紗

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愛媛県松山市のいよてつ髙島屋。

ここに変わった素材で作る商品で人気のお店があります。

「ふく紗」。

お客様が見ている婦人用ベスト。国の無形重要文化財に指定されている新潟の小千谷縮で作られています。値段は4万8,000円。

日傘も高級品として知られる奄美大島の特産品、大島紬を使用しています。値段は3万8,000円。

他にもカバンや小物など。

実はこれらの商品は全て着物の生地をリメークして作られたものでした。

私はコートを30着から40着持っている。クローゼットを作ったけど収まらない。

株式会社ふく紗の社長、伊東信二さん(56歳)。

ちょうどいいですね。丈とかどうですか?

主人の父の着物。100年以上経っている布。

こうした思い出の着物をお客様のご要望に応じて作り直すオーダーメイドも行っています。

この女性、中に着ていたシャツも以前「ふく紗」でリメイクしたものでした。

私が生まれた時のお祝いでもらった布。私の思い出の品と言ったら母から30年前に「あなたのよ」ともらった、これだけ。

話してるうちに感極まったようです。

伊東信二社長は独自のリメイク技術で着物をもっと蘇らせたいと考えていました。

昔の職人は本当に高い技術で織られたり、染めたりしているいい素材がある。それを生まれ変わらせると需要がある。

アイデアひとつで驚きの商品へと変貌を遂げる日本の伝統。

その華麗な変身を追いました。

ふく紗本店

愛媛県松山市にある「ふく紗」の本店。

伊東信二社長が倉庫に案内してくれました。

在庫が増える一方だといいます。

ある業者から店が閉店するので買い取って欲しいということで全部まとめて買い取らせてもらった。

ダンボールの中身は一般家庭のタンスの肥しとなっていた着物を買い取ったものです。

汚れや現代風の柄域ではなく、ちょっと半端ものです。

株式会社ふく紗は着物のリメークを20年前から手掛けてきました。

今では6,000種類ほどの商品を作るノウハウを持っているといいます。

しかし、

着物の需要は年々下がっている中で買い取りが増えている。今後は新しい方向にもっていきたい。

着物のリメーク市場はすでに飽和状態。

そんな危機感から伊東信二社長は新たな市場を開拓しようと模索していました。

見ていたのは意外なものでした。

イスラム教徒の女性の服でした。

着物とイスラム教徒の服に共通点があることに気付いたそうです。

着物自体が「肌を見せない」「透けない」「体のラインを出さない」、その3つの要素を含んでいるのが着物。着物もある意味ではムスリム服。

そこで日本の中古の着物をイスラム教徒向けの服にリメーク出来ないかと考えたのです。

イスラム教の女性

6月、東京・渋谷区にある日本最大級のモスク「東京ジャーミイ」。

そこに伊東信二社長とデザイナーの平山和子さんの姿がありました。

四国からわざわざ大きな荷物を持ってやって来たワケは…

イスラム教徒の女性たちに集まってもらいました。

目的は着物を見てもらうためです。

本音を教えていただきたい。着物を手にとって見ていただければと思います。

イスラム教徒の女性が好む柄や色合いを教えてもらおうと考えたのです。

人気の柄にはある傾向がありました。

花柄が好まれるようです。

向こうの人は桜が好きだと聞いたんですが。

花柄は好きです。

ある女性はイスラムの女性が髪を覆うヒジャブとして青い着物地を選びました。

ところが

竜は…

柄はどうですか?

正直に言うと、あまりイスラム教という発想に合わない。これは日本の神様ですよね。

宗教によって信仰の対象が違うため、色々と制約があるようです。

日本で竜は水を司る神だと言われています。

平山和子さんは聞き取った大事なことを書き留めていました。

暑さへの対策も必要なようです。

皆さん着物が好きだと、若干の意見はあったけど方向性は決して間違っていないという印象を受けた。

平山和子さん

愛媛県松山市にある「ふく紗」の本店。

デザインを担当する平山和子さんは早速イスラム教徒の女性用の服を作り始めました。

まず取り出したのは赤と黄色を合わせた明るい色の生地です。

繊細な模様が織り込まれた着物ならではの柄です。

早速パターンをあて、切ろうとすると使いたい部分に傷がありました。

すると何やら切れ端を集め、その中からいくつかの柄を選びます。

それを縫い合わせていくと、1枚の生地が出来上がりました。

それをさらにカットして帯状の布にします。

これを傷のあるところに縫い付け隠していきます。

続いて平山和子さんが選んだ生地は昭和初期に作られた豪華な手縫いの刺繍が入った留め袖。

しかしよく見ると刺繍の糸がほつれています。

職人さんが減っている。手作業の刺繍は貴重だろうなと。

ほつれた糸を白い糸に絡めて1本1本刺繍の中に戻していきます。

10分ほどでほつれが見事に無くなりました。

午後8時、自宅に帰ってきた平山和子さん。

この仕事を任されてからは帰宅後も研究に没頭しているそうです。

見ていたのはイスラムのファッション雑誌。

長袖でゆるいのだったら、みんな同じデザインになっちゃうし、その中でどうやって変化をつけたらいいだろうなとか、新しいものを出した方がいいのかなとか、いろいろ考えている。

イスラム教徒の女性たちがよろこぶ服を着物の生地でどうやれば作れるのか。

平山和子さん、すでに100着以上のデザインを書き上げていました。

しかし、まだまだ納得できるものはできていないようです。

すずめ着付け教室

一方、伊東信二社長。

この日は着付け教室を訪ねていました。

大量に着物を扱うところ、イスラムの服に合う柄を探しに来たのです。

汚れはないです、ただ痛みです。

裂けてますね。

袖が裂けていました。

伊東信二社長、どうやらイメージに近い柄を見つけたようです。

それはイスラム教徒の女性が好む花柄。しかも手書きされたものです。新品なら30万円は下らない生地です。

こういったものが宝物です。

伊東信二社長、手に入れた中古着物を早速、作業中の平山和子さんに見せます。

果たして平山和子さんの反応は?

すごくきれいですね。

平山和子さんも一目見て、この花柄を気に入ったようです。

リメークのため、着物の縫製を解きバラバラにします。

それを作りたいデザインに合わせて何度も並べ直します。

花柄をどう服の中に生かしていくのか…

イメージが完成したら、柄が合うように再び縫い合わせていきます。

一体、どんな服になるのでしょうか?

イスラム教徒向けの服

7月14日、日本の着物をリメークして作ったイスラム教徒向けの服が完成していました。

傷がついていた生地、傷があったのは背中の部分です。そこを隠すように縫われた切れ端の帯、色とりどりの柄を使うことで斬新なデザインにもなっています。

そして伊東信二社長が見つけてきた花柄の着物。花柄を首と胸と裾の3ヶ所に配置して上品なイスラム服に生まれ変わりました。

さらに袖の切込をそのまま使い、通気性を良くした服も作られました。暑さ対策まで考慮しています。

こうして約3ヶ月間で25種類、80着を作りました。

伊東信二社長は上下のセットを1着2万円で販売したいと考えています。

日本の着物地をどのようにアピールするかがカギ。

インドネシア

7月20日、インドネシア・バンドン。

インドネシアの人口は2億5,000万人、うち9割がイスラム教徒で世界で最も多くのイスラム教徒を抱える国です。

そこに伊東信二社長とデザイナーの平山和子さんが売り込みにやって来ました。

今、インドネシアの流行はカラフルな単色のようです。

伊東信二社長が持ち込んだ柄が特徴的な着物地は受け入れられるのか?

触り心地はどうですか?

着物の生地もいいし、日本風の柄も素敵ね。

気に入ったわ。

日本製というのが高付加価値につながる。

インドネシアのイスラム教徒の女性の服の平均価格は約2,000円。

伊東信二社長が設定していた2万円とは大きな開きがあります。

伊東信二社長、営業先に選んだのがインドネシアに約150店を展開する最大規模のブランドチェーン「シャフィラ」。

交渉開始です。

まずは一押しの商品を広げ、着物地の良さを売り込みます。

きれいだね。

着物の生地にはかなり興味を示しています。

しかし、ここで問題が…

この件は今後、社内で検討していきますが、うちの店の今年のテーマはすでにアメリカと決まっているんです。

反応はまずまずだったものの、どうやらタイミングが良くなかったようです。

契約には至りませんでした。

しかしこの後、伊東信二社長の捨て身の策が見事に当たり売り場が大変なことになります。

ブディ・セリム社長

愛媛の会社、株式会社ふく紗は中古の着物をリメークしてイスラム教徒の女性の服を作りました。

インドネシアの首都ジャカルタから2時間の街、ボゴール。

伊東信二社長とデザイナーの平山和子さん、着物の生地で作ったイスラム服を売り込むためショッピングモールを訪れます。

ここでセレクトショップを開いているブディ・セリム社長が商談に応じてくれたのです。

早速、ブディ・セリム社長に商品を見てもらいます。

素材は全てシルク100%です。金糸という糸で刺繍を施し、この刺繍を1点1点針で直している。

これはいいね。

丁寧に作られていることは一目瞭然。

風通しが良くなるように。

インドネシアの暑さ対策もアピール。

反応が気になります。

デザインはいいし、生地も最高です。

評価は上々のようです。

しかし、「契約したい」という言葉が出てきません。

ブディ・セリム社長が自ら店内を案内してくれました。

高級品のコーナーです。

店で一番高いのがワンピースのコーナー。

値札を見てみると、

日本円で1万4,000円くらい。

伊東信二社長が希望するのは2万円。

どうやってお客様に売り込むのか?

そこで伊東信二社長、勝負をかけました。手ぶらで日本に帰るわけにはいきません。

マネキンを貸してもらいました。

一体、どうしようというのか?

場所を提供してもらったので商品を店頭に出す。

商品には自信があります。

そこでテスト販売をさせてもらうことにしたのです。

すると設置の途中から遠巻きに見るお客様がいます。それも1人や2人ではありません。

ある女性は早速試着をします。

すごく素敵。花柄の刺繍もかわいいわ。

伊東信二社長、積極的に商品をアピールします。

いろいろな着物をパッチワークしている。

いろいろな着物を合わせているの?かわいい。

買ってくれました。

わずか2時間ほどの販売でしたが4着が売れたのです。

これが決め手となって今年中の契約を目指し、話が進められることになりました。

日本の着物技術は染めも織りも、すごく技術レベルは高いと思う。研究に研究を重ねて頑張っていきたい。

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