群馬県桐生市。
およそ1300年も昔から絹織物で栄え西の西陣、東の桐生と謳われた町です。
今も昔の面影を残すノコギリ屋根の工場が点在しています。
ベーカリーカフェレンガ
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国の近代化産業遺産に指定されている100年前の織物工場。
レンガ造りのノコギリ屋根です。
中はオシャレなパン屋兼カフェになっていました。
店を経営する「ベーカリ-カフェレンガ」の武田敏央さん。
8年前に取り壊しの危機にあった、織物工場を買い取りカフェに改装しました。
室内には今も昔の名残があります。
武田敏央さんは店内に飾られたポスターを指差して
これは昭和53年ごろ、このレース工場が一番盛んな時に作っていたドレス。世界中から注文が来るような工場だった。
実は武田敏央さんもかつて桐生で織物工場を営んでいました。
しかし経営が立ち行かなくなり止む無く工場をたたみました。
材料を自分で仕入れて織っていた。
桐生市の繊維工業の出荷額は20年前の800億円の約4分の1に縮小しました。
しかし復活に向け新たな動きが始まろうとしています。
有限会社木島縫製
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群馬県桐生市にある小さな町工場「有限会社木島縫製」。
実家の縫製工場を拠点に繊維の町復活に動き出したのは木島広さんです。
小林当織物株式会社
木島広さんが訪ねたのは地元の生地メーカー小林当織物株式会社の村岡謙一さん。
桐生でも1、2の規模を誇る生地工場です。
桐生の織物はごく細い糸で紡ぎだす柄が特徴です。
海外の有名ブランドからも注文が来る高級生地です。
木島広さんが案内されたのはある倉庫です。
そこには生地がうず高く積まれていました。
毎年2回、桐生の展示会にエントリーしている。その都度、新しいものを作っていくので必然的にどんどんたまっていく。
こうした生地は残反と呼ばれます。
カット(柄)自体が桐生の織物の特徴、その辺をうたってもらうとPRになる。
木島広さんはこの残反を活用したビジネスを考えていました。
何もしなければ使われない資源、それを有効活用できる。宝の山で、それが増えていく。
株式会社フクル
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木島広さんは20代で有名ブランドのデザイナーを務め、世界的なファッションショー「パリ・コレクション」にも参加した実績の持ち主です。
2015年、実家の縫製工場を拠点に「株式会社フクル」という新会社を設立しました。
既存のかたちで跡を継いでも、この世界に明るいニュースはない。産業構造自体を変えることで実家や地域産業を残していければと新しい会社で活動を始めた。
桐生市で繊維の町復活を目指す株式会社フクルの木島広さん。
地元の生地メーカーは隈なく回り残反集めに奔走しています。
この辺が今のトレンド。産地の特色が出ている生地がいい。
木島広さんは残反でオーダーメイドのドレスを作りネットで販売しようと考えていました。
通常のオーダーメイドだと約10万円のドレスが3~5万円で提供することが出来ます。
桐生で選りすぐった残反とドレスのデザインをホームページに載せます。
欲しい人は気に入ったデザインと柄を選べば一点もののオーダーメイドドレスが安く購入できる仕組みです。
活用されていないものを生まれ変わらせて資産に変えていける。
ホームーページに載せるドレスのサンプル作りが始まりました。
若手社員に実際に着てもらい着心地をチェックしてもらいます。
裏地とかまとわりつかずにふわっと回りたくなる。
木島広さんは出来栄えに自信を持ったようです。
Le Collier de Perles
[blogcard url="https://www.lecollierdeperles.com/"]
木島広さんが向かったのは市内にあるソフトウェア開発会社です。
受注システムの最終チェックです。
25種類の中から気に入ったドレスのデザインを選択します。
次に60種類のサンプルから生地を選んでもらい、さらにスカート丈などは注文される方が好きに設定できる仕組みです。
4月30日、正午を告げる町のサイレンとともにホームページを公開しました。
待つこと1時間あまり、初日から注文が入りました。
「スペシャルエディション」の生地。4万2,000円のもの。
受注第一号は一着4万2,000円のドレス。残反の中でも最高級の生地が使われます。
新ビジネスが無事動き出しました。
桐生のネットワーク
木島広さんがある会合に出掛けました。
かつての繊維工場を改装したカフェ「ベーカリーカフェレンガ」に桐生在住のデザイナーや商工会議所の担当者が集まりました。
今後はオール桐生で活動を開いて行こうという相談です。
商工会議所の担当者は
桐生は刺繍が技術としてとがっている。刺繍とか染色をフクルのビジネスモデルにどう乗せていくか。
桐生には世界に誇れる素材がまだまだ沢山埋もれているといいます。
つながりきれていない人がたくさんいる。ネットワークができれば別の取り組みも増やしていける。
1着目の制作
残反を使った一点もののドレスを売りだした木島広さん。
5月13日、記念すべき1着目の制作が始まりました。
木島広さん自らが残反の裁断します。
それを熟練の職人がインターネットで受けたお客様の注文通りに縫い上げていきます。
記念すべき第一号の仮縫いが完成しました。
最高の残反を使ったオーダーメイドです。
仮縫いの段階でお客様に届けて試着をして頂き微調整をします。
このシステムにもこだわりました。
「Le Collier de Perles」ではサービス開始から立て続けに4件の注文が入りました。
次々に仮縫い作業に取り掛かっています。
残反が減る、資産を有効活用する。この1着が第一歩のスタートだが、1,000着、100万着とつながるようにしていきたい。
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