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[WBS]「物言う株主」が反対で…前代未聞!社長人事を撤回[フジテック株式会社]

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企業の株主総会がピークを迎える中、物言う株主の存在感が大きくなっています。

大和総研の調べでは6月の株主総会で物言う株主の株主提案を受けた企業は43社。過去最多となりました。

そうした中、大手企業のトップ人事に物言う株主から「待った」がかかり、異例の人事撤回に追い込まれる事態が起きました。

そのきっけかが物言う株主が社員らの内部告発を受けて調査した60枚のリポートでした。

「物言う株主」がトップ人事"阻止"!きっかけは…社員の内部告発

東京・渋谷の渋谷スクランブルスクエア。地上47階建てのビルを支えるエレベーターはフジテック製です。

エレベーターとエスカレーターを専業とするフジテックは創業74年、東証プライム市場に上場しています。

フジテック
内山高一社長

すべてのステークホルダーの皆さまの期待に応え、成長と還元を目指していきます。
フジテックをご支援いただきますようよろしくお願いします。

社長の内山高一氏、創業家出身の2代目で20年間トップを務めています。

そのフジテックについて5月に物言う株主として知られる香港のファンド「オアシス・マネジメント」が株主向けのレポートを公開。タイトルは「フジテックを守るために」。

中を見ると掃除をする男性らしき人物。実はフジテックの社員が内山社長の自宅を掃除している写真だといいます。

東京・港区のマンションの写真。1室が7億円を超えるという高級物件でオアシスの調査では内山家の私的利用のためにマンションを取得した疑いがあるとしています。

ほかにフジテックと内山家の関連会社の取引の多さを指摘し、利益相反の疑いなどを指摘しています。

物言う株主のオアシスは株主総会で内山社長の再任に反対することを表明。ほかの株主にも反対を勧めたのです。

「物言う株主」
オアシス・マネジメント
セス・フィッシャー最高投資責任者

私たちの同社への関与を知る人物から内部告発をうけ、内山氏が会社を不適切に悪用していることを知った。
現在の従業員、そして元従業員が名乗り出た。

オアシスによればきっかけは去年末、フジテックの社員や元社員からの内部告発だったといいます。

「物言う株主」
オアシス・マネジメント
セス・フィッシャー最高投資責任者

社内の内部通報制度が機能していないのは明らかだと思う。
内山氏によって会社が悪用されているのは明らかで、皆がそれを感じていて、内山氏を恐れているのだと思う。

このレポートが公表された翌日、フジテックは企業統治上の問題があるとの主張は全く当たらないなどと反論したのです。

事態が動いたのは今月、株主総会で議決権行使を助言するアメリカの大手2社がオアシスの指摘を重要視。内山社長の再任に反対するよう株主に推奨したのです。

するとフジテックは6月8日にオアシスが指摘した取引について今後は原則として行わないと発表。

さらに6月17日には第三者委員会を設置し、一連の取引について調査することを表明しました。

そして6月23日、内山社長の再任などを諮る株主総会を迎えたのですが…

伊大知明宏記者

午前9時過ぎです。
内山社長の代表取締役再任議案の撤回が発表されました。

フジテックは内山社長を再任する議案を株主総会直前に急きょ取り下げ、内山社長は株主の審判を受けることなく自ら退いた形です。

一体何が起きたのか、総会後に土畑雅志取締役がテレビ東京の単独インタビューに応じました。

伊大知明宏記者

オアシス側の指摘をある種受け入れた?

フジテック
土畑雅志取締役

いや、そうじゃない。
取り上げた理由は内山氏本人がこういう状況であるので第三者委員会の結論がでるまでは取締役としてくくらない方がいいのではないか。

伊大知明宏記者

内山元社長、今の肩書きは?

フジテック
土畑雅志取締役

内山氏は取締役でも執行役でもない。会長という形になる。

フジテックによると内山氏について代表権のない会長に就任。

今後、第三者委員会の調査で問題がないことが確認されれば改めて取締役への復帰を株主にはかるということです。

総会後、会見を開いたオアシスは…

「物言う株主」
オアシス・マネジメント
セス・フィッシャー最高投資責任者

私が内山氏に言えることは一つ。
内山さん、権力を乱用する時はもう終わりです。自分で見てください。
株主は声を上げた、これからも声を上げ続けるだろう。

今回、内部告発をうけ独自に調査までした物言う株主。上場企業のガバナンスにも厳しい視線が注がれています。

大和総研
吉川英徳さん

物言う株主が必ずしも正しいことを言っているわけではないので、是々非々で会社も判断して企業価値向上に向けて、どう自社として取り組んでいくか、総会や決算説明会で投資家に対してきちんと説明していく対応が必要になっていく。

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