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[モーニングサテライト]【Marketリアル】約20年ぶりトップ交代[富士フイルムホールディングス株式会社]

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いまマーケットで起こっているリアルな事柄をお伝えする「Marketリアル」。

今回取り上げる企業は富士フイルムホールディングスです。

8月に発表した2021年4-6月期の連結決算では純利益が573億円と過去最高となりました。

その株価は年初からほぼ右肩上がりで推移し、好調な決算を受けて一段と上昇しました。9月10日には上場来高値となる9,659円を付けています。

こうしたマーケットの評価をどのように受け止めているのでしょか。今回は相内キャスターが6月末に就任したばかりの後藤社長に戦略や事業を取り巻く環境などについて話を聞きました。

富士フイルムホールディングス株式会社

[blogcard url="https://holdings.fujifilm.com/ja"]

東京・六本木の富士フイルムホールディングスの本社。

相内キャスターを出迎えたのは6月に就任した後藤禎一新社長です。

およそ20年に渡って経営トップを務めてきた古森重隆会長兼CEOの跡を継ぎ、社長兼CEOに就きました。

「プレッシャーはある?」

あまりない。

やってやろうという思いが強い。

社長就任後、初の決算を受けて株価は上場来高値に。その分析を聞くと…

「株主の評価をどう受け止めている?」

1Q(4-6月期)の実績が良かったこと。

ヘルスケアに注力していることが実際に数値として見えてきたこと。

将来の成長投資1.2兆円について明確に示したことが株主の心に訴えることができた。

1934年の創業以来、富士フイルムを支えてきた写真フィルム事業。

しかし、デジカメの普及で2000年をピークにフィルム需要が激減。

長年培ってきたこのフィルム技術から生み出したのが独自の化粧品ブランド「アスタリフト」でした。

以後、富士フイルムの成長を支える柱になっているのが医療システムを含むヘルスケア事業です。

2020年度の売り上げは写真関連事業の2倍の規模にまで拡大。

2023年までには全体で1兆2,000億円の投資規模を明らかにしていますが、その中心がヘルスケア事業です。売り上げに占める割合を3割に引き上げる計画です。

なにより後藤社長自身、海外駐在から戻ってこの10年、ヘルスケア事業の中で医療分野のトップとしていち早く医療にIT技術の導入を推進してきた人物です。

最初にメディカル事業部の戦略図というかマップを描いた。

そのど真ん中に「医療IT」と入れた。

まだデジタルトランスフォーメーションとか、そういう言葉がない時代に。

今や世界がしのぎを削る医療技術のIT化。富士フイルムの開発現場を特別に見せてもらいました。

富士フイルムのIT開発担当者。

CR画像からコロナ肺炎に特有の画像をAIで抽出する技術を開発している。

新型コロナによる肺炎かどうか診断を支援するシステム。

すでに医療現場で使われていて、AIで肺の症状を立体的に表示し、素早い診断を可能にするものです。

写真で培った画像技術を持つ富士フイルムは病院での診断画像処理では世界トップの実力。

それにIT技術を組み合わせ独自の医療支援システムを生み出しているのです。

画像技術+IT

この医療IT技術、新たな可能性を加えたのが日立製作所のCTやMRIなどの医療機器事業の買収です。

日立の技術の買収の成果とは一体どんなものなのでしょうか。

ITを医療機器を融合したシステムを開発中。

日立から買収した画像診断機器。そして富士フイルムのAIを用いた医療IT技術。これらを融合すると…

富士フイルム メディカルシステム開発センター、鍋田敏之センター長。

CTで患者を撮影すると操作端末で断層写真が展開される。

このCT画像に開発中の新たな機能を使うと…

骨と内臓が切り出されてきた。

数秒間で3Dに可視化する技術。

これだけではありません。

骨が消えましたね。

画像診断機器+医療IT

買収によって手に入れた高度な画像診断機器と富士フイルムのITによる処理技術を融合させたのです。

そこで富士フイルムが狙うのはグローバル市場です。

「具体的なライバル企業は?」

総合画像診断機器を扱う企業。

"ビッグ3"、GE、シーメンス、フィリップス。

ビッグ3の医療分野における売り上げはいずれもおよそ2兆円と巨大な規模。

そこで富士フイルムはライバル企業にはないある分野で企業買収を加速させています。それがバイオ医薬品です。

アメリカ・ノースカロライナの工場では現在、新型コロナのワクチンの原薬の量産を行っています。

2020年にはトランプ前大統領も現場を視察。

同様の工場はアメリカ・テキサス、イギリス、デンマークにもあり、これまでにおよそ6,000億円の投資を行っています。

医療を中心としたヘルスケアを拡大し、2030年にはグループ全体で3兆5,000億円の売り上げを目指します。

「グローバルの競争は激しいが勝てるか?」

勝つつもりでやっている。

富士フイルムは予防、診断、治療、広い意味でそれを持っている。

そこを組み合わせることで唯一無二の医療ソリューション、唯一無二の診断・治療ソリューションなどを生める状態まできた。

競合他社と真っ向勝負をしなくても絶対勝てる方法はあるし、世界の医療需要はかなり伸びる。

富士フイルムのやるべき仕事は絶対に増える。

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