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[モーニングサテライト]「大浜見聞録」激変エネルギー!"藻"の可能性どこまで[株式会社フジドリームエアラインズ]

モーニングサテライト

大浜見聞録です。

今回は航空業界の脱炭素化の動きについてです。聞いたことがあると思いますが「SAF」です。日本語に訳すと「持続可能な航空燃料」ということになりますが、何かというと廃油や一般ごみの再利用など植物の藻の中に入っている成分、油分を航空燃料にしようという取り組みがあちこちで起きています。ロシアへの制裁で世界のエネルギー事情が大きく変わる中でこの藻に注目して国産SAFの実現を目指す動きを取材しました。

藻使用のSAF導入検討!フライトに同乗

大浜平太郎キャスター

これから飛び立つ実際の運航便ですが、今バイオジェット燃料が注入されています。

3月中旬、静岡に拠点を持つ航空会社「フジドリームエアラインズ」は藻の一種であるミドリムシを原料としたジェット燃料を使用し、チャーター飛行を行いました。

今回使った燃料のうち5%がバイオ燃料で、その中に藻由来の燃料が入っています。

大浜平太郎キャスター

いまエンジンの回転数が上がったのがわかります。ここから一気に加速していきます。加速感含めて普通のジェット燃料との違いは正直分かりません。
今離陸しました。非常にスムーズです。機内で拍手が起こっています。

国内に25の定期路線を持つフジドリームエアラインズが藻で作られた燃料を使用するのは初めてです。

富士山静岡空港を飛び立ってから30分、高度5,000mを保ちながら富士山を周遊。1時間のフライトでした。

フジドリームエアラインズは定期便で藻を使ったSAFの利用を検討しています。

課題はコストで現状は企業側が負担する形となります。

大浜平太郎キャスター

新しい燃料はコストでいうと何倍くらい?

フジドリームエアラインズ
楠瀬俊一社長

ジェット燃料1リットル80~100円。いま燃料費は上がっている。SAF1リットル約1万円。
世の中全体の流れとしてお金も大事だがもっと大事なものは地球環境

2050年のカーボンニュートラル社会実現に向けSAFの導入は地域航空会社にとって生き残りをかけた経営課題となっています。

コストを下げるためには大量生産が欠かせません。今回、燃料を開発したユーグレナはバイオ燃料の商用プラントを2025年にも完成させる考えです。

しかし、政府の支援なしでは欧米や中国に遅れを取ってしまうと危機感を募らせています。

ユーグレナ
出雲充社長

民間資金だけでは「新産業・新エネルギー」のような巨大マーケットは育たない。
国がリスクマネーを「呼び水」として供給することをアメリカ・EU・中国は大胆にやっている。
日本は少なすぎる。
SAFマーケットはアメリカ・中国・欧州に全部抑えられますよ
いまそのギリギリ追いつけるか本当に大事なところ。

ホンダ 藻研究に動く!成長スピードに競争力

2013年からこの研究開発を勧めてきたホンダは先月、生産試験の規模を拡大させると発表しました。

すでにミドリムシではない独自の藻の研究と培養装置の研究に乗り出しています。

ホンダ 先進エネルギー研究
アシスタントチーフエンジニア
福島のぞみさん

私たちが開発しているのはホンダ「DREAMO(ドリーモ)」システムという藻を培養する装置とその中で育てている藻の2つになります。

福島さんはコツコツと藻の選別を繰り返すことで低温や雑菌にも強い藻を見つけ出しました。

将来、車両の部品や燃料につなげたい考えです。

ホンダ 先進エネルギー研究
アシスタントチーフエンジニア
福島のぞみさん

「水道水」に栄養素を入れ、滅菌せず、純水も使わず育てられる。

成長のスピードにも大きな特徴があります。一般的に成長の早い部類の藻になると1日2回程度分裂するという事ですが、ホンダの藻は1日に5回分裂するというのです。

ホンダ 先進エネルギー研究
アシスタントチーフエンジニア
福島のぞみさん

雑菌が入ると雑菌も成長し「藻」の成長速度が落ちる。
「DREAMO(ドリーモ)」は雑菌に負けない強さを持っているので高速で育つ。

平太郎の「へぇ~」ポイント!

シンプルを追求、簡単な構造でコストカット。どこでも設置可能へ。

向かったのは屋上。最近完成した培養装置にコストカットの工夫があるというのです。

大浜平太郎キャスター

実際に装置を拝見するともっと仰々しいと思っていました。
シンプルなんですね。コストという意味ではポイントですね。

ホンダ 先進エネルギー研究
アシスタントチーフエンジニア
福島のぞみさん

ビニール袋を2枚入れて「藻」の入った液体と「水」を分ける。

水の入ったビニール袋と培養液の入ったビニール袋を重ねることで培養液自体の温度変化を少なくしているのです。

さらに上から透明ビニール袋を被せるなど温室効果を高め、寒い冬を乗り切ります。

藻の成長に欠かせないCO2の与え方にも工夫があります。薄くて縦長の培養槽の下からCO2を送り込み、藻に触れる時間を長くする工夫です。

一般的な大型の培養プールや攪拌装置を作る必要もありません。

ホンダ 先進エネルギー研究
アシスタントチーフエンジニア
福島のぞみさん

「藻」が吸収したCO2より、設備稼働によるエネルギーのCO2排出が大きくなる。
それでは意味がなくなるため、この装置はほとんど電気を使わず培養できる。

研究チームの中で藻の専門家は福島さん1人。多くのメンバーは車つくりの出身です。

自動車メーカーの強みがさまざまな工夫を生み出したといいます。

ホンダ 先進エネルギー研究
アシスタントチーフエンジニア
福島のぞみさん

私たちの「藻」つくりの強みはさまざまな分野から集まったメンバーがさまざまなアイデアや知恵・技術を使いより良いものを作り出す。
多様な人たちで藻に取り組む。そこが一番の強み

大浜平太郎キャスター

航空機用のジェット燃料、この分野は視野に入っていますか?

ホンダ 先進エネルギー研究
アシスタントチーフエンジニア
福島のぞみさん

ぜひ挑戦したいと思っています。

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