フランス大統領選挙の第1回投票が10日に行われ、マクロン大統領と極右政党「国民連合」のルペン候補が24日に行われる決選投票へと進みました。ウクライナ情勢をめぐりロシアのプーチン大統領と頻繁に会談を重ねるなどして外交面で存在感を示してきたマクロン氏ですが、そのウクライナ情勢がもろ刃の剣となり思わぬ苦戦を強いられています。フランスの大統領選でいま何が起きているのでしょうか。
ウクライナ情勢がもろ刃の剣?フランス 現職マクロン氏苦戦のワケ
10日に行われたフランス大統領選挙の第1回投票。
ロンドン支局
中村航記者

第1回の速報の結果が出ました。マクロン大統領が第1回の投票を通過したということです。
マクロン大統領が投票率27.8%で首位。2位は極右政党「国民連合」のマリーヌ・ルペン候補で23.1%でした。
24日の決選投票は5年前の前回と同じくマクロン氏対ルペン氏の構図となりました。
この結果を受けてマクロン氏が訴えたのは5年前と同じ内容でした。
フランス
マクロン大統領

今後数日のうちに私たちのプロジェクトが極右の恐怖やこの時代の課題にしっかり応えていくものだと皆さんに呼びかけていく。信じてほしい。
反極右でフランス国民が団結するように呼び掛けたのです。
5年前の決選投票ではこの呼び掛けが功を奏し、66%の投票率でルペン氏に圧勝したマクロン氏。
ところが今回、フランスの調査会社はマクロン氏515、ルペン氏49%とする予想を発表。大接戦が予想されています。
マクロン氏苦戦に理由は何なのでしょうか。
デモの参加者

マクロン辞めろ!マクロン辞めろ!
2018年、燃料価格の上昇などに端を発したマクロン政権に抗議する黄色いベスト運動。
ウクライナ情勢によりガソリン価格が高騰していて、運動の参加者たちの怒りはこれまで以上に高まっているのです。
デモの参加者

マクロンにだけは絶対に投票しない。ロシアのオリガルヒ(新興財閥)みたいなやつだ。
民衆のことなんて考えていない。
マクロン大統領はロシアの侵攻後、対ロシア製制裁やEU議長国として外交的解決を目指したことで一時支持率を30%まで上げました。しかしその後、燃料価格など物価高がさらに進み、経済対策や生活水準の向上を訴えるルペン候補に急激に追い上げられたのです。
国民連合
ルペン候補

5年以内にフランスに秩序を取り戻す。
また5年前と異なるのは移民排斥の主張を控え、「脱悪魔化」といわれるソフト路線に切り替えたこと。
そんなルペン氏の追い上げを複雑な気持ちで見ていると人がいます。
フランス北部のアパレル工場。入り口には大きくウクライナの旗が。
ここではウクライナからの避難民を雇っています。避難してきた女性に聞くと…
ウクライナからの避難民

ウクライナのためにいろいろなことをしてくれてフランスに感謝。マクロン大統領に感謝している。
彼女たちを受け入れているこの会社の経営者レネールさんも…
「レネール・コルディエ」
フレデリック・レネールCEO

正直言って怖い。フランスで分断が起きる危険がある。
フランスという国のイメージを考えると国際政治の観点からマクロンが適している。