地域で奮闘する企業を取り上げる企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は広島県福山市からです。徹底した顧客目線で製品開発を進め新たな市場を開拓する企業を取材しました。
食品産業を影で支えるトップメーカー!
広島県福山市。歴史と港町として栄えた町にある業界のナンバーワン企業「エフピコ」の本社があります。一体何の業界なんでしょうか。
中に入ってみると目につくのは商品の容器。この食品用の容器だけで年間1,500以上の新製品を開発しています。
スーパーなどで食品を引き立てるカラーのトレー。このカラートレーを開発したのもエフピコ。トレーで成長を続ける国内シェアトップの企業です。
現場主義で国内シェアトップ
従業員はグループ全体で4,800人、全国各地に生産・物流・リサイクルの拠点を持ち、年間の売り上げは2,000億円近く。純利益は110億円を超えます。
2005年に東証一部上場を果たし、コロナ禍でも売り上げを落とすことなく業績を上げています。
エフピコのトップは…
エフピコ
佐藤守正代表
現場主義。
営業の人間に一番やらなきゃいけないと言っているのは「とにかく売り場に行って売り場を見ろ」「バックヤードに行って作業を見て色々な意見を聞いてこい」。
エフピコは取引先の声を聞き、商品を改善することを重視しています。その声が集約される日報は月におよそ1万件にも及びます。全国各地の声に向き合うべく営業部とマーケティング部が定期的に情報を共有。取引先の要望に迅速に対応しているのです。
どんどん予想してなかった課題がお客様から挙がってくる。
自分だけの知識じゃなかなか解決できない事も多く、困った事があればマーケティング部に何か情報もらったり。
その対策はすぐに開発部にも伝えられ改良に取り組みます。
現場の声から生まれた製品①
例えばこんな製品も。スーパーでよく見る一見すると同じようなお寿司のトレー。これを斜めにしてみるとかたや崩れてしまうのに対し、かたや崩れない。そしてお買い物帰りにありがちな買い物袋が揺らされる状況でも寿司が崩れないようになっています。2つを並べてみるとこれまでのトレーに比べ崩れないトレーは山形の枠を付けることで一つずつ寿司が入るスペースが区切られていました。寿司向けのトレーの主力製品となっています。
現場の声から生まれた製品②
スーパーの人手不足から生まれた製品も。
バックヤードでの悩みとして「人手不足でテープ留めをする手間がかかる」。
テープ留めの作業を減らす。
そこで生まれたのがこちら。一見変わったところはありませんが試しに磁石をフタに付けてぶら下げてみるとどんなに揺らしてみてもフタが取れません。その秘密はフタとトレーにつけられた凸凹。これがお互い噛み合い密着。1つ数円のトレーですが絶えず工夫を加えています。
エフピコ
佐藤守正代表
たかがトレーだけど、されどトレー。
安いと言ってもその中で差別化できている。
一番要望の多い製品は…
そしていま一番多い要望が…
一番問い合わせが多くなってきている原料高騰の対策。
さまざまなものが値上がりする中、機能を変えずにトレーのコストを抑え、価格を安定させたいという要望が最近増えているのです。そこで…
こちらが改良を今考えている形状。
通常の真っ平らなフタにくぼみを入れました。形を変えることで強度を増し、その分厚さを減らせるのです。実際に測ってみるとおよそ3gの減量でプラスチックの使用量を30%減らすことに成功。受け皿の容器も見た目を変えずに軽量化。発泡素材の内部の空気を増やし使用量を大幅に減らすことができました。
現場の声から生まれた製品 新たな市場を開拓
こうした工夫が新たな市場を開拓しています。
それまでのラーメンのデリバリーはひとつの容器に麺と具。もうひとつの容器にスープを入れてラッピングをして2つで1つの商品と。
そこで開発したのが一体型の容器。従来の半分のスペースで済む上に蒸気孔を中皿と外蓋に作ったことで程よく蒸気を逃し膨張してフタが外れることもなくなりました。出前館と開発したこの容器が巣ごもり需要を捉え業績を支えています。
スーパーの使用済みの回収ボックスから食品トレーのリサイクの仕組みを開発したのもエフピコが世界初。環境問題にも力を入れています。
エフピコ
佐藤守正代表
お客様のニーズにあったものを作り続けてさえいれば負けることはない。