アメリカのある業界の雇用者数は1970年代の後半にピークになり、2000年代に入ると急激に減少しています。
これは実はアメリカの製造業の雇用者数です。
衰退する製造業を復活させようとトランプ大統領が保護主義的な政策を打ち出す中、ある新興企業がモノづくりをサポートする画期的な取り組みを始めています。
トランプ大統領
2月のトランプ大統領、
アメリカ製品を買って、アメリカ人を雇おう!国内製造をしやすくする一方で海外移転は難しくするつもりだ。
製造業復活を掲げるトランプ大統領。
工場に海外移転の中止を迫ったり、高額関税を主張したりと政治主導での実現に躍起です。
The Foundery(ファウンデリー)
[blogcard url="http://foundery.com/"]
一方、民間では独自の動きが始まっています。
メリーランド州ボルチモア。先日、製造業の関係者が集まってある会合が開かれました。
エンジニアは、
1970年代、アメリカの製造業は時代に取り残された。
投資家は、
この地で持続可能な製造業を復活させるんだ。安い労働力に頼らないでね。
実はボルチモアはかつてはGMも工場を構えた一大製造業地帯でした。
ところがグローバル化で衰退、製造業で働く人は1990年の41万人から2017年には10万人と4分の1に激減しました。
そんな中で地域の製造業の復活の核をなっているのが「The Foundery(ファウンデリー)」です。
「The Foundery」の施設は2016年の夏にオープン。モノづくりに必要な機械や工具を提供し、1月150ドル(約1万7,000円)の基本料金を支払えば誰でも60種類以上の機械が使い放題の仕組みを作りました。
出資したのはボルチモアに本社を置くUNDER ARMOUR(アンダーアーマー)のケビン・プランクCEO。
モノづくりしたいが資金もノウハウもない人をサポートするのが狙いです。
目指すはモノづくりの起業家養成所。
The Foundery(ファウンデリー)のジェイソン・ハードベックCEOは、
モノづくりではアイデアはあるけど機械が高すぎて買えない人が多い。モノづくりをする起業家をサポートするのが目的だ。
製造業ベンチャー
この中で工房を構えている人もいます。
ジェイソン・フォックスさんはたった一人の製造業ベンチャーです。
壁にはなんとトヨタ流の「改善」を謳った掛け軸、さらに、
ショクニンキシツ。
「職人気質」という日本のタトゥーまで。
この言葉に出会った時、これだと思ったんだ。英語にはない表現だよ。
日本の職人を敬ってやまないというジェイソン・フォックスさんは。
ここで開発した製品が工事現場の労務管理システムです。40台も売れました。カギはアンテナです。
チップが組み込まれたシール、アンテナの横を通ると出退勤が自動的に記録される仕組みです。
いつ誰が出勤したのか把握しにくい工事現場の問題をこれで解決しました。
自分のアイデアをたったひとりでThe Foundery(ファウンデリー)でカタチにしました。
留め具はまず3Dでデザインを作った後、一枚の鉄の板を持って作業場に向かっていきました。水圧を使った機械で型を取ります。溶接して最後に砂を使って加工してアッという間に完成です。
ここに一日中いられるなんて最高だよ。
僅か半年ほどで約2,000人が会員となりました。
政治の力を借りずとも製造業の未来は開けるとThe Foundery(ファウンデリー)のジェイソン・ハードベックCEOは言います。
民間の力でうまくやっているのが分かっただろう。トランプ大統領のように罰則で縛らずとも製造業を活性化する方法はある。