[WBS] 「関税ゼロ」見直しの衝撃!日系メーカーは今・・・

ワールドビジネスサテライト(WBS)

NAFTA(北米自由貿易協定)はアメリカ、カナダ、メキシコの3カ国の間で結ばれた自由貿易協定です。この3カ国の間での貿易には関税はかかりません。

そのため1994年にNAFTAが成立して以降、3カ国の間の貿易は急拡大してきました。

中でも恩恵を受けたのはメキシコです。メキシコはほかの2つの国と比べると人件費がとにかく安いです。そのため海外メーカーがこぞって進出していきました。産業の一大拠点として発展してきたのです。

今ではメキシコからの輸出の約8割がアメリカ向けという状況です。

その輸出の中でも最も大きいのが自動車です。進出している自動車メーカーの数は10社。フォードやゼネラルモーターズ(GM)などアメリカのメーカーだけではなく日本のメーカーも数多く進出しています。

現状でメキシコに進出している日経企業は1,000社以上。大変な数です。

トランプ大統領の登場で、その日本企業に衝撃が走っています。

メキシコ中西部のアグアスカリエンテスにあります自動車関連メーカーの集積地に宇井五郎記者が行っています。

株式会社ヨロズ

株式会社ヨロズ
株式会社 ヨロズ 公式ウェブサイトです。サスペンションシステムを通じて新たな価値を生み出し、“ヨロズブランドを世界に”

宇井五郎記者は、

私は今、NAFTAが発行した1994年にメキシコで生産を始めた自動車部品メーカー、ヨロズの工場にいます。こちらではメキシコ人労働者600人ほどが働いていて朝8時を過ぎたばかりですが、たくさんの従業員が製造ラインで作業を始めています。ここは日産自動車が2つの主力工場を置く地域でもあり、ヨロズでは日産自動車向けに自動車の足回りの基本となるサスペンション関連部品を月14万個製造しています。日産自動車の工場に近いこの一帯ではヨロズ以外にもマブチモーターや横浜タイヤなど多くの日本企業が進出しています。

「トランプ大統領がNAFTAの見直しに言及した時、どう思いましたか?」

ヨロズメヒカーナ社の吉原貴宏社長は、

状況は注視しておく必要があると感じた。

「実際にメキシコでの戦略見直すことになりそうですか?」

当社のメキシコ拠点からアメリカへ直接的に輸出しているものはありませんので直接的な影響はありません。状況を注視していく必要はあるが近々の見直しの必要はないと感じている。

「NAFTAがなくなってしまうことになれば、メキシコに魅力は残される?」

メキシコはお客様へのアクセス、勤労意欲、改善意欲の高い人材・労働力確保の容易性、そして産業集積による発展の可能性など恵まれた立地環境を備えている。高い競争力を有している。このような魅力はまだまだ色褪せないと考えている。

株式会社ヨロズは今後もメキシコでの生産を堅持していく方針です。

フォード工場「撤回」に揺れる街

フォード・モーター

Ford – New Cars, Trucks, SUVs, Crossovers & Hybrids | Vehicles Built Just for You‎ | Ford.com
Go further than you ever imagined in a new Ford vehicle, built just for you. See our full lineup.

メキシコでの生産を撤回する自動車メーカーも現れています。その余波はメキシコ中に広がっています。

メキシコの中心部に位置するサン・ルイス・ポトシ。かつてスペイン統治下で金や銀を産出して栄えた歴史ある街です。

この地域ではゼネラルモーターズ(GM)が巨大な工場を構えるほか多くの自動車関連企業が進出し街の経済を支えています。

しかし1月23日のワシントンでトランプ大統領はNAFTAの再交渉について、

適切な時期に始める。多くの人たちに仕事を取り戻す。

トランプ大統領がNAFTAの見直しに繰り返し言及しメキシコで生産するアメリカ向けの自動車に35%の関税をかけると主張したのを受けて戦略を転換したのがアメリカビッグ3の一角「フォード・モーター」でした。

1月3日、フォード・モーターのフィールズCEOは、

メキシコの新工場建設を取りやめる。

フォード・モーターは16億ドル、日本円にして約1,800億円を投じ、この地に工場を建設していました。しかしその計画を撤回したのです。

2018年の生産開始に向け工事を進めていた現場を訪れてみると、

フォードの工場の建設予定地だった所です。骨組みが出来上がっています。ですが工事は完全に止まっています。

フォード・モーターはここで小型車「Fiesta(フィエスタ)」などを生産する予定でした。

建設が完全に止まった現場で撤収作業をしていたメキシコ人に話を聞くと、

驚いたよ、急に全てが終わってしまったんだ。ここではたくさんの人が働いていたのに・・・。トランプ大統領が悪いんだ。

次の仕事はまだ見つかっていないといいます。

突然の建設中止の引き金となったトランプ大統領への反感はメキシコ市民の間でも高まっています。

工業団地担当者は、

一報を耳にしたときは信じられなかった。冗談だと思った。なぜなら既に工事もだいぶ進んでいたので。その後、フォードの部品供給会社からも断りの連絡が来たよ。

販売店

反感の矛先はメキシコにあるフォード・モーターの販売店にまで及んでいました。

ゴンザレスセールスマネージャーは、

これはメキシコで作っている。フュージョンもだ、メキシコで造ってアメリカに輸出している。

メキシコ製の車だとアピールする販売店の責任者。しかし一部の消費者がフォード・モーターの不買運動を始めるなど影響が広がっていました。

フォードに反感を持つ人たちも出てきている。

税の優遇などで積極的にフォード・モーターの誘致などを進めてきたサン・ルイス・ポトシ州経済開発庁のプエンテ長官は、

トランプ氏の政策は短期的目線でしかない。メキシコに進出する企業は50年先を見据えてここを選んでいるのに。

プエンテ長官はフォード・モーターは計画撤回の高い代償を払うことになるといいます。

フォードはすべての損失を支払うことになる。直接的なものだけでなく間接的な損害も全てフォードの責任になる。

宇井五郎記者

宇井五郎記者は、

メキシコの街を見ても本当に立派な高速道路が整備されていて、これからどんどん投資が増えると期待して街づくりが進められてきた様子が伺えました。そんな期待も急にひっくり返されるかもしれない。そんな不安感がメキシコの街を包んでいます。

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