エビ、ユニクロの服、さらにiPhoneに温水便座、こうした私たちが生活をしていく上で身近な衣食住の製品ですが、実は一部で手に入りにくい状況が続いています。
その背景にはある共通点があるということですが、一体どのような理由なのでしょうか。
株式会社フーディソン
[blogcard url="https://foodison.jp/"]
東京・日本橋にあるニコ・バインミー。ベトナムサンドイッチの専門店。
人気メニューはエビとアボカドを使ったサンドイッチです。
「緊急事態宣言が解除されて客入りは変わった?」
ニコ・バインミーの原久仁子店長。
ちょっと増えてきたかなと思う。
近隣の人出が戻ってきたことで売り上げは2割ほど戻っているといいます。
しかし、今ある不安が…
「それは何?」
こちらがタイ産のエビ。
今年の6月に入ってまた上がって、15%ぐらい価格が上がっている。
悩みのタネは看板メニューに使う輸入エビの価格高騰です。
6月に1箱2,080円だった価格は現在2,400円に跳ね上がっています。
このまま値上がりが続くのは不安。値上げをせざる得ないかもしれない。
なぜ輸入エビの価格が上がっているのでしょうか?
水産物の小売りや飲食店向けの卸を手掛けるフーディソンのバイヤーに話を聞きました。
フーディソンの仕入れチーム、星野健一郎リーダー。
春くらいからアメリカや中国など経済が正常化した国の需要が高まる一方で作る側がコロナの影響があったため相場は思い切り上がった。
ベトナムやタイ、インドネシアは養殖エビの生産が盛んで日本はその多くを輸入。
しかし、コロナで供給が滞り価格が上がっているのです。
特に今はベトナムの影響が大きいといいます。
南部最大の都市「ホーチミン」などで3ヵ月近くロックダウンが行われたためです。
そのベトナム産のエビにはこんな特徴が…
これはすしに乗せられるようボイルして殻をむいてある状態。
回転ずしなどでよく使われている。
ほかにも天ぷらやフライ用に真っすぐに伸ばした伸ばしエビなど丁寧な加工をしたものがベトナム産の最大の特徴。
こうした細やかな加工を担う工場がロックダウンで稼働停止になったのです。
フーディソンはエビの需要が高まる年末に向けてほかの産地のエビで代替する方針です。
先週から飲食店からの注文がすごく戻っている。
急きょ、例えば国産のエビを150ケース押さえたりしている。
そういうことをみんなすると思うのでより在庫が貴重になっていると思う。
ベトナムのロックダウンの影響はこんなところにも。
住宅設備機器の販売などを手掛ける交換できるくんでは…
交換できるくんの田中顕執行役員。
温水洗浄便座を始めとした一部商品が品薄になっている。
ロックダウンの影響でTOTOやLIXILの製品に使われる部品の生産が滞り納期が大幅に遅れているのです。
横浜市にある倉庫を訪ねると…
交換できるくんの酒井克知常務。
通常は高く積み上げている倉庫だが品薄によってこのような状態。
以前は床一面に高々と積み上げていたという商品の在庫は2割以下まで減少。
そのためお客様から依頼された便座の交換工事は最低でも2ヵ月待ちの状態です。
ただベトナムではホーチミンで今月からロックダウンが一部緩和。今後の生産の回復に期待を寄せています。
待っているお客様がたくさんいるのでいち早くサービスが提供できるようにメーカーと連携して万全の態勢を整えたい。
生産減少の影響はほかにも。
アップルの新型スマートフォン「iPhone13」の一部の機種ではカメラの部品を製造するベトナムの工場が操業を中断したために供給が滞る事態に。
いま購入しても手元に届くのはおよそ1ヵ月後です。
また衣料品大手ユニクロを展開するファーストリテイリングも現地の工場での生産の遅れから一部商品の発売を10月中旬に延期しています。
幅広い製品に影響が出ていることについて専門家は…
第一生命経済研究所の主席エコノミスト、西濵徹さん。
白物家電も日本は純輸入国。アセアンやアジアの国々に依存している部分がある。
今後の見通しについては…
ベトナムは依然としてワクチンの接種率が極めて世界的に見ても低い状態。
来年ももしかすると後半まで悪影響が長引くことも考えないといけない。