美味しそうなお肉が出てきましたけど、こちらはいまブームとなっている熟成肉です。
長期間、肉を寝かせることで旨味が増すというものですけど、11月15日に新たに発表されたのは肉ではなく20日間寝かせたという熟成魚です。
これを実現したあるベンチャー企業の挑戦にWBSが密着しました。
株式会社フードイズム
[blogcard url="https://foodism.co.jp/"]
川崎市の卸売市場「川崎市中央卸売市場北部市場」。
ここで11月15日に発表されたのが…
フードイズムの跡部美樹雄社長、
発酵熟成させた「発酵熟成熟鮮魚」の開発に成功した。
これがその熟成マグロ。
およそ20日間熟成させました。
まったく臭みはないですね。魚が何日か経つと臭ってくる独特の香りも一切しないです。
旨味が濃いですね。普通に食べるマグロよりもちょっと味が濃いです。ちょっと燻製したような熟成感のある味が噛んでいるとちょっとします。
エイジングシート
この熟成魚を実現させたのがエイジングシートと呼ばれる特殊なシート。
こちらのシートには食品を熟成させるカビが付いているということなんです。
シートに付いたカビは腐敗菌をシャットアウトしつつ、旨味成分のアミノ酸を増やします。つまり腐らせずに熟成を進めるというのです。
食肉の場合、通常3ヶ月かかる熟成がこのシートを使えば1ヶ月でできます。
このエイジングシートを明治大学と開発したのが跡部さん率いるベンチャー企業「フードイズム」。
熟成魚
今回の熟成魚はシートを使って川崎市北部市場が生産しています。
いままで肉でやってきたが魚に転用できれば、日本人は魚の文化なので広がり、可能性が出てくる。
チャレンジ開始は5ヶ月前の6月4日。
跡部さんが北部市場へ。
初の熟成魚として選んだのはマグロはマグロでも、
養殖。
養殖マグロ。
一般的に天然より低い評価を熟成で高めようというのですが、
肉は普通に置いても1周間は持つ。
魚は2~3日で色が変わり、酸化臭がすごい。魚の方が扱いづらい。
そもそも魚は肉に比べて痛むのが早い食材。本来熟成には向いていません。
これを肉の熟成と同じ温度の冷蔵庫に…
果たしてうまくいくのでしょうか?
1週間後の6月12日、マグロの状態を確認します。
真っ赤、全然きれい。普通8日目なら真っ黒。
エイジングシートの効果で腐敗菌が付かず表面は新鮮なまま。
肝心の味はどうでしょう。
市場の寿司店で刺し身にしてもらい試食です。
ところが、
変わらない。
味に変化は出ていませんでした。
次が勝負、1週間後どうなるか見てみたい。
さらに8日後の6月21日。
今度は変化が見られるのでしょうか?
生えてますね。
白っぽく見える部分がカビ。
一方、中身は黒く変化していました。
カビの部分を切り落とします。
ベタベタ。
黒く変化した身はねっとりとした感触に。
熟成されたのか傷んでしまったのか…
最後は舌で確かめます。
すごく甘い感じがする。
味が出たね。
舌にまとわりつく。
旨味が増して食感はしっとり柔らかくなりました。
「うま味」がグッと出ているので価値は高い。
ブランディングできれば圧倒的な立ち位置に出る。
川崎市北部市場の仲卸「泉力」の中岡康祐さん、
普通のものに慣れたお客様への訴求力は強い。
完成した熟成魚、後はどこでデビューさせるかです。
株式会社にっぱん
[blogcard url="http://www.uogashi-nihonichi.com/"]
この日向かったのは寿司チェーンの魚がし日本一。
職人たちに熟成マグロを試食してもらいます。
養殖マグロです。20日前から熟成。
20日寝かせたと聞いて職人たち、不安な様子。
熟成マグロの中トロ、赤身を用意。
果たしてプロの反応は…
すごい。
未体験の味に驚いた様子。
魚がし日本一をうんえうするにっぱんの近藤洋一社長は、
養殖臭がしない。中トロ本来の味がする。
雁部幸助営業本部長、
商品化したい。握りでも一品料理でもいける。
素晴らしい完成度。
この日、その場で取引が決まりました。
そして熟成魚が発表された11月15日、魚がし日本一では川崎市などの3店舗で販売を始めました。
熟成マグロと普通のマグロの食べくらべセットは1,200円。
ほかにも銀だらを熟成した焼き物などが店舗に並びます。
お客様の反応は、
おいしい。
口の中でとろける具合が良い。
お客様の様子を見に来た跡部さん、高い評価に一安心です。
「鮮度がいい魚」というだけでなく新しい「旬」をシートで作る。
それにより新しいジャンルの魚が生まれる。
各都道府県で同じ取り組みをし、ブランディングをわれわれが手伝う。