2008年の開発開始から納期の延長を繰り返してきた三菱航空機の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」が7月16日、世界的な航空ショーで初の展示飛行に成功し実質的な世界デビューを果たしました。
ただ、世界の航空機市場に君臨する2大メーカー、ボーイングとエアバスも小型機事業の強化に乗り出していてMRJの行く末は不透明です。
三菱航空機株式会社
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イギリスのファンボロー国際航空ショーに登場したMRJ。
最初の顧客、全日空の塗装が施された機体の横には三菱重工業の宮永俊一社長の姿がありました。
うれしい、感慨無量。
豊島晋作記者、
いまMRJが滑走路に向かって進んでいきます。これから国際的な展示会での初飛行となります。
MRJのデビューだ!
世界の航空関係者が見守る中、離陸。
急上昇や旋回を披露し飛行性能をアピールしました。
美しい航空機だ、クールだね。
静かだね。好きな航空機だよ。
開発開始からこれまで5度納期を延長したMRJ。
初の展示飛行を見届けた宮永社長は、
納入へカウントダウンが始まった。
日本の航空機産業にとって新たな時代の幕開け。
ただ、MRJの前途は容易ではありません。
開発費負担の重さから三菱航空機は債務超過に陥ったほか、1年以上受注から遠ざかっています。
もたつくMRJを尻目にライバルが小型機市場で攻勢を掛け始めました。
The Boeing Company
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ボーイングのデニス・マレンバーグCEOは、
両者の協力は航空機の生産だけでなく深く広い部分に及ぶ。
アメリカの航空機大手ボーイングは小型機に強いブラジルのエンブラエルと提携。
小型機市場への本格参入を決めました。
エンブラエルのパウロ・シルバCEOは、
私たちは客席が76~150席の小型機市場でリーダーだ。
こう豪語するエンブラエルの航空機は?
MRJのライバルとなり得る航空機はこちら、エンブラエルの飛行機。
かなり怖い顔つきをしています。
描かれていたのはサメ。
プロフィット・ハンターと呼ばれる機体でMRJ最大のライバルと目されます。
中に入ると客席は左右に2席ずつ。
MRJと全く同じ座席配置。
少ない騒音が売りです。
Airbus
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ライバルはここにも…
航空ショーで初めてお披露目されるエアバスA220型機です。
ヨーロッパの航空機大手、エアバスがカナダのボンバルディアと組んで発表したA220。
胴体の幅はMRJよりも大きく乗客数も多いですが将来MRJの顧客を奪う可能性があります。
エアバス・ジャパンのステファン・ジヌー社長は、
エアバスのパワーを加えてA220の良さを生かしていく。
エアバスの販売・サポートのネットワークを使って販売促進になる。
MRJの勝算
世界の巨大メーカーが相次いで参入する小型機市場。
すでに納期が7年遅れているMRJの勝算は?
「納期の遅れがエアバスとボーイングに付け入る隙を与えるリスクは?」
それはないと思う。われわれは確かに遅れている。
遅れた分、追いつかれると言われますが、われわれはさらに先に行けるだけの経験をした。
日本の翼は世界で戦えるのか?
大空を巡る競争が本格化します。