政府は11月19日、財政支出が55兆7,000億円と過去最大となる経済対策を閣議決定しました。
経済効果については実質のGDP(国内総生産)を5.6%程度押し上げると試算しています。
幅広い業界がその効果に期待を寄せる中、あの業界からは慎重な声も挙がっています。
株式会社富士国際旅行社
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政府が11月19日に閣議決定した税制支出55兆7,000億円の経済対策。
松野官房長官。
コロナ禍で傷んだ経済を立て直し、社会経済活動の再開を後押しするとともに成長と分配の好循環を通じて、自律的な経済成長を実現していきたい。
政府が最も重視したのは「社会活動の再開促進」、そして中小企業の支援を含む「新たしい資本主義の起動」です。
特に注目を集めたのは国内旅行の需要を喚起する事業「GoToトラベル」の扱いでした。
去年7月にスタートしたGoToトラベルは新型コロナの感染拡大に伴いわずか5ヵ月で中止。コロナ禍で打撃を受けていた観光業界は政策的な支援が途絶えたことで、中でも中小の旅行会社や宿泊施設などが厳しい経営を迫られました。
今回の経済対策では事業の再開が明記されたものの、補助の中身を見直すことが決まりました。
これまでの仕組みでは1万4,000円を上限に代金を35%割引。さらに6,000円を上限に代金の15%分のクーポンを受け取れました。
新たな仕組みでは代金の割引は30%、上限は1万円に。受け取れるクーポンは定額となります。
例えば平日に4万円の旅行をした場合、自己負担額は従来より7,000円増えます。
一方、1万円の旅行をした場合の負担額は従来より1,000円減ります。低価格帯の旅行のほうが負担額が低くなる仕組みです。
政府は低価格帯の旅行を選ぶ人が増えれば中小の観光業者も恩恵を受けられると説明。
気になるのは再開のタイミングですが…
斉藤国交大臣。
年末年始の感染状況などについて改めて確認をした上で、全国規模でのGoToトラベル事業を再開したいと考えている。
早ければ1月下旬を想定しているとしつつ、感染が再び拡大していないことが条件だと強調。
再開に慎重な姿勢を取る背景には過去にGoToトラベルが感染拡大を招いたと批判されたことがあります。
旅行会社もGoToトラベルの再開に複雑な思いを抱いています。
富士国際旅行社の太田正一社長。
1年半以上、売り上げ95%減が続いている状態。
16人いた社員のうち10人が希望退職。現在6人でやっている。
コロナ禍で売上は激減。今年7月、都内のオフィスを売却し、横浜に事務所を移しました。
GoToトラベルの再開に期待しつつも感染の再拡大や事業の中止といった事態にならないか懸念もあるといいます。
GoToトラベルはありがたいが安全な状況がつくり出せたら旅も自動的に戻ってくるのではないか。
割引の額は小さくても構わないので、できる限り長く。
中小企業にも恩恵があるGoToトラベルになればいい。