コンビニエンスストア大手のファミリーマートと回転寿司大手のスシロー。この2社がそれぞれ新たな戦略を打ち出しました。
共通するキーワードが「中食」です。外食と違い調理された惣菜や弁当を買って家などで食べることをいいますが、その市場が伸びてきています。
2016年の市場規模が9.8兆円と10年前と比べて26%も増えています。
小売りから飲食業界まであらゆる企業が売上の拡大に頭を悩ませている中、数少ない成長分野として注目されている中食。
コンビニと回転寿司の大手は、ここを攻めるためにそれぞれ、どのような戦略を打ち出したのでしょうか?
株式会社ファミリーマート
[blogcard url="http://www.family.co.jp/"]
ファミリーマートが開いたマーケティング戦略発表会。
澤田貴司社長は、
ファミリーマートの中に商店街をつくった。その名も「ファミ横商店街」。揚げ物、焼き鳥、惣菜、中華まん、おでん、活気ある商店街のような場所をレジの横に出現させる。
社長に就任してから初めて事業戦略を発表した澤田社長。目玉として発表したのが「ファミ横商店街」です。
「今までとどう違う?」
ファミ横商店街というくくりでつくり直した方が伝わりやすい。
加温コーナには看板商品であるファミチキ、常温コーナーには2016年9月に経営統合したばかりのサークルKサンクスの人気商品である焼き鳥を投入します。全部で約30種類の食品を揃えた店舗内の小さな商店街。中食市場を狙うべく6月末からレジの真横に展開します。
「レジ横はどういう存在?」
客数と客単価があって、最後の1品で単価が変わってくる。レジ横はとても重要な売り場。
コンビニ大手3社の中でファミリーマートの店舗数は業界2位。しかし店舗あたりの1日の平均売上高、いわゆる日販は52万3,000円と業界3位でセブン-イレブン、ローソンに遅れを取っています。
街の声
「どのコンビニを使うことが多い?」
セブン-イレブン。セブンカフェが好きなのと惣菜がおいしい。
ローソンだと甘いスイーツが売りだったりするが、ファミマはそこまで。
その一方でこんな声も、
他のコンビニと比べてもファミチキとかすごくおいしい。
ファミチキとか買う。
澤田社長はただ店舗数を増やすのではなく、看板商品であるファミチキを軸にして1店舗あたりの売上を増やす戦略で反撃を仕掛けることにしたのです。
ファミチキ
「ファミチキを主役にする理由?」
伝わりやすい。一番知られている物を、さらにアクセル踏んだ方が伝わる。
売れる商品を売れるときに圧倒的に売る。この発想は澤田社長がユニクロの副社長だった時に柳井正社長から叩き込まれたものだといいます。
ユニクロのフリースは誰でも知っている、すごいプロダクト。ヒートテック、ライトダウン、すごいブランディング。フリース、ヒートテックみたいなものをコンビニでもどんどんつくりたい。
「ファミチキはユニクロのヒートテック?」
柳井さんから学んだのでトライして具現化したい。
株式会社あきんどスシロー
[blogcard url="https://www.akindo-sushiro.co.jp/"]
一方、回転寿司大手のスシロー。グランドオープンした東京・五反田の店で宅配サービスを実験的に始めました。
あきんどスシローの営業部、前田欣也さんは、
気軽で利便性が良いデリバリーはお客様にとって価値あるもの。
サービスの提供にあたりアメリカのウーバーが展開する料理宅配サービス「UberEATS」を活用。五反田店と南池袋店の2店舗で実施します。
宅配するのはマグロやサーモン、エビなど11種類が入った「並盛り合わせ(1,080円)」や「鯖の押し寿司盛り合わせ(1,730円)」など合計4種類の専用メニューです。
ウーバーと提携して中食市場を狙うスシロー。この取り組みで次の成長のタネを探るといいます。
スシローはこれまで郊外の幹線道路沿いに展開してきましたが、2016年秋から都心型店舗の出店を開始。郊外型店舗に比べるとテイクアウトに課題があったといいます。
郊外型店舗では「父の日」やお盆など、家族が集まる特別なシーンで大量のお持ち帰りをするニーズが多かったが、都心店舗ではそういったニーズがあまり見受けられない。
都心型店舗では売上が少ないテイクアウトを宅配で補えないか探る考えです。
中食市場ではまだ宅配を求めているお客様がいるのではないか。状況を見て今後の展開を考えていく。