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[カンブリア宮殿] 日本のスゴイ工場を発掘!急成長の「工場直販」ブランド

2016年4月10日

本のスゴイ工場を発掘!急成長の「工場直販」ブランド

美しい町並みを観光客が闊歩する岡山県倉敷市。
そんな町の中心部から車で約30分走ったところにある三角屋根の工場。

その工場に多くの人が訪れました。

株式会社タケヤリ

[blogcard url="http://www.takeyari-tex.co.jp/"]

株式会社タケヤリは1888年創業の織物の会社です。

株式会社タケヤリの工場を訪れていたのは工場見学ツアーのお客様です。

工場の中に置かれていた機械は重布織機。
この機械で織られているのは船の帆やテントなどに使用される帆布。

厚さ1.45mmと国内では最も厚い帆布を織ることができます。
生産性は悪いのですが、できた帆布は折り紙つの品質です。

ツアーで訪れたお客様の中にはこの帆布で織られたバックの愛用者がいました。

軽くて丈夫。書類やパソコンも十分入ってストレスなく使える。それで大ファンになった。

ツアーは現地集合・現地解散。
そこまでして見学をしたいと見学者。

日本の技術がたくさん詰まった商品を身につけたいと思って、いろいろ調べる中で工場ツアーをしって見てみたいと思い参加した。

株式会社タケヤリの賀川翔太さんはツアーに参加してくれるお客様に対して

お客様の声を直に聞くことができる機械は我々のような作る側にはなかなかない機会なので。職人さんは商品を使っているところを見るのが楽しいと言っている。

ファクトリエ

[blogcard url="http://factelier.com/"]

工場見学ツアーを企画したのがライフスタイルアクセント株式会社のアパレルブランド「ファクトリエ」。

業界が注目しているブランドです。

ライフスタイルアクセント株式会社

[blogcard url="http://www.lifestyleaccent.co.jp/"]

創業は2012年。

社員数は5名と小さなベンチャー企業。

しかし1年目は1,500万円だった売上は現在では約10億円と急成長しています。

ファクトリエの特徴

ファクトリエの特徴についてお客様に聞いてみました。

同じものを買うならファクトリエを買った方が記事も品質もいい。お買い得感がある。

国産というところが魅力的。

ファクトリエの商品はすべてメード・イン・ジャパン。

株式会社タケヤリの工場で作られた帆布を使用したトートバックも販売しています。

ネット通販

ファクトリエはネット通販専門のブランドです。

東京都中央区にある銀座フィッティングスペースでは試着や手触りを確認することができます。
ただし、こちらでは販売は行っていません。

ファクトリエの大ファンの沼田尚志さんは言います。

Tシャツはすぐに首回りがへたれるが、ファクトリエの商品は何回着てもへたれない。
あとジーパンは買ったほうがいいですよ。縫い合わせがとても丁寧。

沼田尚志さんは先日試着したパーカーをネット通販で購入しました。
購入後の画面には手書きで

お客様へ
この度はご注文頂きまして誠にありがとうございます!!
ご注文、承りました。
世界に誇る日本の一流工場が丁寧に作らせていただきます。
商品の細部にこだわっておりますので、ご堪能いただけると幸いです。
商品発送時に改めてご連絡しますので、引き続き何卒宜しくお願い申し上げます。
ファクトリエ代表
山田敏夫

と書かれた手紙が表示されます。

ファクトリエの仕組み

ファクトリエは工場で生産された商品を中間業者を通さずにネット販売をする「工場直販」です。
現在34社の工場と提携しています。

提携工場の多くはヨーロッパの高級ブランドに納品するなど高い技術を持っています。

商品のタグには「ファクトリエ by 工場名」と作った工場の名前が入っています。
タグに工場名を入れることで高い技術力を売りにしています。

ホームページには職人さんの顔や製造のこだわりなど工場のストーリーが写真付きで掲載されています。

商品のメンズモデルがファクトリエ代表の山田敏夫さんです。

モデルを使うと高くつくのでコスト削減のため自分がやっている。

山田敏夫代表

日本の服は着心地が良く、腕が回しやすいパターンや肌にあたる部分が優しく縫われていたり、目に見えない所にたくさん細かい配慮がある。メード・イン・ジャパンが減少しているなら、すぐにでも手をつけようとと始めた。

衣類の国内生産は25年前には50%近くありましたが、工賃の安い海外に拠点が移り、いまではわずか3%

この危機的状況をなんとかしたいと考え山田敏夫代表はファクトリエを設立しました。

提携する34の工場は山田敏夫代表が自ら探してきました。

HITOYOSHI株式会社

[blogcard url="http://hitoyoshicorp.com/"]

ファクトリエと最初に提携した熊本県人吉市にあるHITOYOSHI株式会社。

高品質のシャツを製造しています。

ファクトリエの仕事に携わる職人さんは

当社のブランド名が入るということは、それだけ責任感も出てくるし、もっと頑張ろうと思います。

やる気を出す仕組み

ファクトリエでは商品の価格設定の権限を工場に渡しています。

さらに中間業者がいないので工場側の取り分も増やすことができています。
一般的なブランドは2割程度ですが、ファクトリエの提携工場では5割。

こうすることで提携先の工場にも変化が起こりました。

今まで決められた金額で作って納品すれば終わりだったのが、世の中の人が買うことを意識し始めるので、どういう縫い方やデザインやシルエットがいいか色々なことを話し始める。それを考え出すのは大きい。

販売価格が決められることで工場は技術を手間を惜しまなくなり、お客様は質の高い商品をリーズナブルに購入することができます。

「このお金ではめて」という言葉がよくアパレルで使われるが、5,000円の商品が原価が20%だとしたら「1,000円ではめて」と言われる。その1,000円の中で生地を買って縫製すると単価が合わないので赤字になる。私がやったのは工場側が今まで培った技術を入れて、しかも工場の名前が商品に入るので全力を注いで「いい物をつくろう」と。
工場がブランドを作る一番のメリットは社内外のモチベーションだと思う。アイデアを出さなかったところが出せば出すほどいい物が作れる。技術力も注ぎ込めるし社員のモチベーションも上がる。

フレックスジャパン株式会社

[blogcard url="http://www.flexjapan.co.jp/"]

長野県千曲市にあるフレックスジャパン株式会社。

1940年創業のシャツ専門のメーカーです。

高い技術で国内外のブランドを手掛けています。

利益を取ろうと上乗せすると結局高くなる。その時は儲かっても売れ続けないと次のオーダーが来ない。いくらで店頭に出すか意識しないといけない。

作り手と使い手の結ぶ活動

ファクトリエでは作り手と使い手の結ぶ活動も行っています。

株式会社ムーンスターの新作スニーカー。

[blogcard url="http://www.moonstar.co.jp/"]

ファクトリエの銀座フィッティングスペースで新作スニーカーの説明をしているのが株式会社ムーンスターの江藤正剛さんです。

スニーカーは革靴と同じように熟練の職人の力がないとできない。それが国産のヴァルカナイズ製法の良さ。

ヴァルカナイズ製法

ヴァルカナイズ製法はスニーカー本体とゴム底を接着するときに使う製法です。

ゴム底を貼ったスニーカーを巨大な釜に入れ、130度の高温で1時間加熱して本体と靴底を接着します。
こうすることでゴム底が剥がれにくくなります。

ただし巨大な設備が必要なので国内でも数社しか使用していません。

この説明を受けた参加者は言います。

高級ブランドに比べたら値段は高くないのに品質は高い。職人さんのこだわりも価値あるものとしてファクトリエはいいと思う。

ファクトリエの目指すもの

メード・イン・ジャパンで日本から世界ブランドをつくりたい。衣食住における日本製の価値は日本の文化そのもの

世界の一流ブランドを作っている工場を厳選している。品質は世界の一流ブランドに負けない。しかし価格は工場が決めて直販なのでリーズナブル。

山田敏夫代表

ファクトリエの山田敏夫代表は熊本県で100年続く老舗婦人服店の次男として生まれました。

大学時代に留学先のパリのグッチでアルバイトをしているときに忘れられない一言を言われました。

「日本には本物のブランドがない」と言われた。ヴィトン、グッチ、エルメスも全部ものづくりからブランドは生まれるという考え方。

海外のブランドは職人さんの手作りから始まり長い年月をかけてブランドになりました。そうしたアパレルブランドは日本にはないと言われたそうです。

山田敏夫代表はそれならば、日本発のブランドを作ると考えファクトリエを作りました。

工場探し

岩手県の二戸駅に山田敏夫代表が工場探しに訪れました。

到着するとタウンページを探して片っ端から電話をかけてアポイントを取ります。

現地に行って工場の中に入ってみないといい工場か、どういう工場か分からない。月の半分くらいは工場を見て回っている。

創業から約4年、訪ねた工場は約550社にもなるそうです。

当日電話をかけて、突然訪問するのは工場のありのままを見たいからです。

株式会社三和ドレス

[blogcard url="http://ginga.or.jp/sanwadress/"]

山田敏夫代表がアポイントを取って訪れたのが株式会社三和ドレス。

冠婚葬祭用のスーツやドレスを中心に海外の10社以上の有名ブランドの服を製造しています。

山田敏夫代表が注目したのは「スポンジング」という工程を行う機械。

スポンジングは伸びた生地に高熱の蒸気をあて本来の状態に戻す工程です。

株式会社三和ドレスの大沢貴規社長は言います。

伸びている生地を元の状態に戻す。3%くらいはどんな素材でも短くなる。

機械自体が非常に大型なので、置いている工場は少ないそうです。

山田敏夫代表が最後に確認したのは「トイレ」。
技術だけでなく整理整頓や衛生面なども工場選びの判断基準になります。

提携を検討するチェックポイントは30を超えるそうです。

山田敏夫代表は株式会社三和ドレスについて

10分の1になった業界で残っているだけで素晴らしい。すごく安定してやっていると思う。

日貿産業株式会社

[blogcard url="http://www.nichibo.net/"]

ファクトリエが新たに提携をする日貿産業株式会社。

国内外のブランドのコートを製造する一流の工場です。

工場内には「真剣だと知恵が出る。中途半端だと愚痴が出る。いい加減だと言い訳ばかり」などといった標語が20以上も貼り出されています。

いろいろな所で目に付いて、それが頭に入ってくる。すごい徹底されている。やるのとやらないのとでは全然違う。どれだけ伝え続けるかが大事。日貿産業株式会社としての道がちゃんと記されている。

日貿産業株式会社の村田孝治社長が提携を決めた理由は

やってみようと思った理由はネット販売。海外展開までやろうとしているので希望が持てる。

ファクトリエが日貿産業株式会社の工場で作るのはトレンチコート。

ファクトリエの買取量

ファクトリエは工場から初回生産量の50%を買い取る。最初は100%買い取っていたが「いい商社」になった。全部買い取るし言い値を通すしいい人だと。そこで50%しか買い取らないと決めた時に工場が初めて市場に対して、この値段で本当にいいのかと主体的に考えるようになった。
やるリスクとやらないリスクがあり、リスクはやることだけをよく言うが、やらないリスクは工場が今と変わらない毎日。従業員が辞めたり、新入社員が入らないとかいろいろなリスクをはらんでいる。やるリスクは計算ができる。工場の原価を計算するとやるリスクは10~20万円くらい。最近は「半分買い取ってくれてありがとう」と言われる。

就職活動

地方の工場では高齢化が進むなか、後継者不足という共通の悩みを持っています。

若い人が入社しても、すぐに辞めてしまいます。

ファクトリエではこの問題の解決に動き出しています。

銀座フィッティングスペースで行われているのは提携工場と東京の学生を集めた就活イベント。

アパレルに興味を持つ80名の学生が参加しました。

今まで工場の就職活動のイベントは誰もやってこなかった。私たちであれば、学校の先生といろいろなつながりがある。学生を70~80人すぐに呼べてそういく機会を作り出すことはできる。
「一緒に日本から世界ブランドをつくる船に乗ってください」と、そうしたら工場に若い人たちが入ってきて長く続く。若返りが必要なので、その循環は率先してでもやっていかなければいけない。

編集後記

山田さんに、意地悪な質問をした。
「日本発の本物のブランドって必要なんでしょうか?」
彼は困った顔になり、しばらくして「そんなこと考えたこともありませんでした。」と答えた。
正解だと思った。正統的な挑戦者は「果たして自分の挑戦に意味があるのか」という迷いなどなく、逡巡もしない。まず行動に移す。
プレゼントされたネクタイを、さっそく収録に使わせていただいた。気をつかってそうしたわけではない。気に入ったからだ。
イケメンでシャイな挑戦者は、誠実に、果敢に、着実に目標に近づいている。

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